①-19
「なあ、空海。僕はこれからどうすればいいんだ?」
ラボのモニターで僕の部屋で起こった光景を二人で見ていた。
「それになによりもどうして僕の部屋にカメラがついているんだ!?」
空海は顔色一つ変えずに、僕をにらみつけ言う。
「それは、、お前が昨日嘘をついたからだ」
「嘘をって……」
僕はこの時、昨日聞かれたことを思い出す。そして、頭を掻きむしりながら、
「ちがう、違うんだ!ただの見間違いだと思っていたんだ!」
「嘘を吐くな、スーツのバイタルとかもろもろをな、測定させてもらった。すぐにお前が嘘を言っていると分かったよ」
空海が吐き捨てる様に言った。
だけど、それはつまり空海は初めから僕の事を疑っていたんだ。僕に黙って、コッソリとウソ発見器にかけるような真似をして。
僕は頭に血が上って、反射的に口に出す。
「何だよそれ!僕を試したのか!?仲間じゃないのか!僕たちは!」
「仲間だぁ!?俺の作ったモノを兵器にして乗っていた奴はお前の父親だったんだぞ!」
「そんな事僕が知るかよ!僕だって、僕だって!」
僕と空海は立ち上がり、今にも取っ組み合いの喧嘩をするところだった。
この時は僕も空海も頭に血が上っていた。だから、僕はついつい、言ってしまった。
「元はと言えば、空海!お前が兵器の元になるようなモノを作らなきゃよかっただろ!」
「ああ、そうだな!だけどな人間には必要な物なんだよ、バケモノのお前には分かんねえだろうがな!」
僕は言ってしまった、と。空海も同じような顔をしていた。怒っているけど、焦っているような、そんな顔を。
だけど、僕はもうここにはいられない。言ってしまったからには、言われてしまったからには。
僕は貰ったばかりの眼鏡型ガジェットを机に優しく置いた。
「まさかこんなに早く解散するとは思わなかったよ」
「ああ、俺もだ」
「安心して、ここの事は誰にも言わないから」
僕はそのまま出口へと向かう。
「じゃあね、空海」
「ああ、じゃあな湊」
僕たちは目を合わせる事無く、分かれた。




