①-1
ピピピピーーー、と目覚まし時計の機械音が部屋に響く。
そして、その音は次第に大きくなり
バン!
と、言う音ととも目覚まし時計の機械音は止んだ。
目覚まし時計に手を置く様にしたまま、ベッドの上ををもぞもぞと動く。
「……まだ、ねむい」
そう言いながらも、ゆっくりとベッドから起き上がり少年は着替えを始めた。
すると、ちょうど着替え終わったのを見計らった様に大人の男の声が聞こえる。
「ご飯できたぞー!」
「はーい!今行くー」
少年は大きな声で返事をすると、部屋を出て行った。
「おはよう、ダッジ」
体格の良い、大男が先ほどの少年。自身の息子、ダッジへ声をかける。
「おはよう、父さん」
ダッジも朝の挨拶を父親に済ませる。
2人は親子なのだが、体格があまりにも違いすぎる。
片方は熊の様に大きくたくましく、もう片方はウサギの様に小さくか弱く見える。
「もっと食べて大きくならないとな!ダッジ」
「大きくって、まだ高1だし165あれば十分だよ。これから伸びる」
「それは、どうだろうな。ダッジは母さんに似ているからなぁ」
ハハハ、と体格に合った大きな声で笑う。
「そうだね。まあ、別に母さんに似ていることは良いことだよ。僕の誇りだ」
そう言い、父親よりも少し若く見える女性の写真を見つめた。
「おはよう、母さん」
「さ、冷めないうちに食べなさい」
「うん、父さん」
「どうして、僕は他のこと違うの?」
幼い頃、父に良く聞いていたこと。
「それは、母さんがお前を思っているからだよ」
父さんは決まってそう言っていた。
僕を産む時に、亡くなった母さんが今も尚、思ってくれていると。
それが強すぎるあまりに、僕の体は他の人と違うとーーー