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①-18

「はあ、疲れたー」


 日が暮れ始めたので、ラボまで戻った僕は椅子に座って休憩をしていた。


「ここってソファとかベッド欲しいよね」

『一応、別室に空海さまの仮眠用ベッドがありますが』

「いや、人のだし勝手に使えないよ」

『では、空海さまにお伝えしておきます。ソファかベッドですね』

「いや、怒られそうだし言わないでおいてちょうだい」

『分かりました』


 アビスとの会話が終わったタイミングで扉があく。


「ソファな、考えといてやるよ」

「聞こえてたみたいだね」


 まったく、タイミングが悪いなあ、もう。


「いや、お前がここに来るようになってから俺も思ってはいた。ここはもともと俺だけだったから別に設備なんざ俺が納得できる程度しか用意してねえ」

「それじゃあ、買ってくれるの?」

「そうだな、一応予定としてはな」

「やったー!」


 いやあ、前からただの椅子ってのは少し辛かったんだ。やわらかいクッションのソファがあればゆっくり休める!

 僕は小さく拳を握り喜ぶ。


「それじゃあ、今日は一旦帰ってまた来るよ」

「ああ、気をつけてなー」


 この時の僕は後で話せばいい。

 いや、むしろ人違いだっただろうと勝手に楽観的に考えていた。




 家に帰り、いつものように過ごす。父さんに関する疑念は消えないけど、でも心のどこかできっと間違いだ、気のせいだって思っていたんだ。

 僕は前と同じようにベッドに寝ているかののようにする。


「これでいいかな」


 僕は二回目ですでに手馴れているのを自分で感じ、もしかして自分にはスパイ活動とか、それ系の才能もあるんじゃないかと一人喜んでいた。


「さて、それじゃあいってきまーす」


 僕は自分が寝ている部屋に向けて小さく挨拶をして出ていく。



 湊が部屋を出て行ってから10分後、父親は扉を叩き、湊が部屋に居るかを確認しに来ていた。ノックを数回して返事がないので、扉を勝手に開け、部屋の中をのぞく。

 そこには眠りにつく湊の姿があったが、父親はそれに近づき、触れた。


「ッチ、やっぱりそうだったか。あのガキ、夜は出かけるなって言っただろうが」


 苛立ちを隠すことなく、それをベッドを殴るという行為で発散した。


「昨日の奴は俺の息子だったぞ!ハッターどうする!計画を変更するか!?」


 父親は扉の向こうへ話かけていた。

 すると、扉がゆっくりと開き、昨日の男が現れる。

 ハッターは芝居がかっているようなゆっくりとした歩きで部屋に入り、中を見渡す。そして、天井をみると、


「ああ、これだね」


 天井に着けられていた機械を指さす。

 父親はそれを近くにあったもので叩き落した。


「こいつか、こんなもんうちの息子にゃ作れねえ!協力者がいるな……」

「ハハ、目星は付いている。なあ、マリアンヌ」


 無言で扉から昨日の女性が入ってくる。マリアンヌは入ってすぐのところで止まり、


「いかがいたしましょうか、マッド・ハッター」

「いかがもなにも、このまま続行さ。さあ、薬もあと少しで出来る」


 そうして、三人は部屋を出て行った。



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