①-14
「スーツに付いてるカメラの映像だ。これを改めてお前に確認してもらいたい」
ラボに戻ってきた僕に空海が聞いてきた。まだスーツも着たままなのに。せめて脱いでからでもいいだろう?
だけど、仕方がない。きっと、聞かれていたのだろう。
「これが、そうなのか?」
空海は僕が確認をしやすいようにズームをかけ、ノイズも取り、見せてくる。
僕はそれに対して、
「いや、違う。どうやら勘違いをしていたみたいだ。焦って見間違えたんだと思うよ。初めてだったから緊張してたのかな」
「そうか、なら良い。これから戦っていく相手が湊の親父さんだったら」
そう言いかけて止める。気になった僕はついつい、聞いてしまった。
「僕の父さんだったら?なんだよ、言いかけて」
「いや、お前の親父さんだったら、それでも気にせず俺は倒す」
「……ああ、分かってるよ。僕もそのつもりさ」
「でも、違うんだろ?」
空海が明るくそう言う。
「ああ、まったく。犯罪者と父親が似てるなんて不幸だよね」
「まったくだ」
僕たちは笑いあう。本当の事が僕は分かっている分ひどく滑稽に感じてしまうが、だけどまだバレるわけにはいかない。
僕が自分で確かめないと。
「それじゃあ、今日は帰るよ」
「ああ、気をつけてなヒーロー」
僕は急いでスーツを脱いでいく。
「また学校で!」
僕は急いでラボを出ていく。