①-13
「よく見えない!」
『赤外線センサー始動、失敗』
失敗、というのが聞こえた。それに合わせる様に空海の焦った声も聞こえる。
「どうした!?」
『どうやらあの煙にジャミングされているようです。肉眼、またはそれと同程度の物でなければ見ることが出来ない様です』
「とりあえず、中に入るよ!」
「ダメだ!危険すぎる!」
「でも、父さんが!」
「その前にさっきの三人を捕まえろ!話はそいつらから聞く」
「……了解」
僕はさっき機体から出てきた男が本当に父さんだったのかを知りたかった。だから、僕は後から来た男たちを追いたかった。
「ジャック・ラビット、腕に特殊ワイヤーが装備されている。それを使って縛り上げろ」
「ああ、分かった」
目の前の画面に使い方が出てくる。
煙から少し離れると、だんだんと煙が晴れてきた。
『男を三人確認。丁度良く固まっていますよ』
「ああ」
僕は説明通りに左腕を前に出す。すると、バシュッ、という音とともにひも状のものが飛び出す。
それは飛び出すと男たちを囲むように飛んでいき、輪になるようにつながり、ぎゅっと縮んだ。
「な、なんだこれは!」
「ボス、動けません!」
「なんなんすかコレー……・」
無事に三人まとめて捕獲することができた。
「尋問を頼むぞ」
僕は男たちに近づき、ボスの胸倉をつかむ。
「さっきの奴らとの関係は!?」
「あ?」
「答えろ!」
僕はつい腕に力が入ってしまい、ボスの首が少し締まる。
「し、しらねえ!あいつらから声をかけてきたんだ!本当だ!な、何も知らねえ!」
苦しそうにボスが答えると、僕は手を離した。
「他に知っていることは?」
「だ、だから、何も分からねえよ!」
僕は一旦空海の話を聞こうと思ったが、
「早くそこを離れろ!パトカーが近づいてきている!」
「分かった」
警察にバレるわけにはいかない。僕は仕方なくその場から離れ、物陰で様子をうかがう。
男たちは警察が近づくにつれて騒ぎ出すが、警官はそれを無視するようにパトカーに押し込んで帰っていった。
「一体、誰が通報したんだろう」
「今調べがついた。発信源は不明、匿名の通報の様だ。多分、ハッターとか言われていたあいつの仕業だろうな」
「僕らがここから離れなければならない状況を作ったって事?」
「多分な、まあいい。今日は一旦引き上げるぞ」
「了解」