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忘却の創造神が新世界で無双する  作者: かぼす
創造神、創造す
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創造神、客寄せパンダになる

 食事が終わると、身の回りにある物の使い方を教えてもらった。

 

 皿やカップの持ち方、スプーンに似た形状だが全く使い方の違うフォークの使い方、さきほどジェフが木を切るときにしていたのに似た使い方をするナイフや包丁、あとは井戸からの水の汲み方とトイレの使い方といったところだ。

 

 そんなに道具の使い方は知らないのに、不思議と試しに使ってみるたびに使い方がなじんでいく、これには教えてくれたマウラさんも驚いていた。

 

「そういえばナギ君、13歳って聞いたけど……やっぱり背が低いわね」

「それはしょうがないだろう、虚だったうえに奴隷だったんだ……ろくに食べ物は食べられなかったんじゃないか?」

「えぇそうね、でもジェフが8歳で130センチくらいだけど、ナギ君は少し大きいくらいよね、しかも身も細いし」

「まぁそれを気にしても仕方がないだろう、これからはウチを手伝ってもらいながら健康になってもらえばいいだろう? さっそくジェフも兄が出来たようで嬉しそうだしな」


 少ししんみりとしてはいたが、今後の憂いはないかのような空気に包まれて夜は更けていった。


 ……


 翌日、出店の手伝いでロベルトさんの横に待機していたのだけど……どうしてこうなった。

 

 目の前には人、人、人。

 

 途切れることは無く店に人が並び、接客をするロベルトさんと俺、品物を倉庫や工房まで取りに走る俺とマウラさん。

 

 在庫の補充を何度かしたにもかかわらず、その列は途切れることは無い。

 

 ……

 

 時は数刻遡る。

 

 

 早朝、日が昇ると同時にパーシモン一家が活動を開始した、その物音に起こされた俺がリビングへと向かうとさっそくマウラさんが声をかけてきた。


「あ、ナギ君おはよう! 朝食はテーブルの上にあるからそれ食べちゃってもらえる?」


 軽く頭を下げる。


「む、だめよ? ナギ君! そういうときは、『いただきます』とか『ありがとう』とか言わないと! ……ほら」


 そうなのか、そういう挨拶はしたことが無かったな。

 唯一つ、奴隷商に言われて挨拶のために覚えさせらた『よろしく、お願いします』しか無かった。


「ありがとう?」


 そう言いながら首だけペコリと下げた。


 それを見ると嬉しそうに

 

「そう、それでいいわよ、『どうぞ、召し上がれ』」


 朝食は黒パン、奴隷時代に食べた記憶がよみがえってくる……がその横にはモノ芋とミルクをつかったポタージュとかいうスープがあり、そこにパン浸して食べるととても硬い黒パンが嘘のように柔らかく感じられ、食べ物も食べ方次第で全く違うものになるのだと、心底不思議に思った、そんな時だ。

 

「あぁ、ナギ君? 今日は君には店番の見習いというか私の仕事の様子を隣で見ていてもらうぞ、マウラとジェフは在庫の管理を頼むぞ、特にジェフ! お前の作品が売れたら小遣いは弾むから頑張れよ!」


 それを聞いて目を輝かせるジェフ、臨時報酬が貰えるかもしれないのだ、それは嬉しいのだろう。


「おぉ! わかったよとうさん! やってやんぜ!」


 ……


 そして少し時は経ち、パーシモン家の前に設営された仮設屋台は完成し(のぼり)が着けられた……その前には既に長蛇の列が出来ている。

 

 なんでだ? ロベルトさん達の商品はそんなに凄いのか?

 

 そして迎えた開店、なぜか先頭は神父さん。


「おぉ! クエビコの神よ! ナギ殿に貴方様の加護のあらんことを!」


 そしてその後ろにいた少し顔の似ている……修道女?


「あぁ! クエビコ様よ! ナギ様に祝福を!」


 なんだ?! 二人そろって……、その横でロベルトさんが笑っていた。

 

「まったくあなた方親子(・・)はいつも面白いな、だが宣伝ありがとう感謝するよ、後ろを見てみてくれよ寄付に期待していてくれ」


 二人は後ろを向き、その長蛇の列を目にするとニヤリとして俺の方に向き直し


「ナギ殿(様)、我々教会一同はあなたを応援しております、頑張ってください(ませ)」


 ほぼシンクロするようにまくし立て、教会の方に走って行った。

 

 ……

 

 そして現在に至り、その後も飛び交うように品物が売れていき、俺が買った人と握手をしていき……?!

 

 商品はほぼ売り切れ、並んでいた人は名残惜しそうに店を去って行った。

 

「いや……売れた売れた!」


 っと、ロベルトさん。

 

「さすがに……疲れたわね、夕飯外食でいい?」


 っと、マウラさん。


「とうさん! とうさん! おれのが、すっごいうれたよ!」


 っと、ジェフ。


 なんでこんな人が来たのか、首をかしげる俺。


「毎年初日はある程度売れるが、これはナギ君様様だなぁ……さすがにクエビコ様の聖痕持ちだ」


 もっと首をかしげる俺。


「ん? わからないか? この土地の守護神は土の神であらせられるクエビコ様だぞ? そのクエビコ様のご加護を受けたのにも等しい聖痕を持つナギ君が現れたんだ、誰でも恩恵にあやかりたいと思うのも仕方がないだろう? だからこその握手サービスだ」


 そして屋台を初めて正面から見て気が付いた……店に括りつけられた(のぼり)には、『クエビコ様より聖痕を賜りし少年のいる店、握手サービス付き』っと大きく書かれていた……そして開店したのと同時に神父という教会の権力者によるサクラ行為、物の使い方や常識は知らない俺でも、売れた理由が理解できた気がした。

 

 だけど、不思議といやな気持にはならなかった。

借金完済まで25000ルーク

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