創造神、温かい食事に触れる
「よし、いつまでもそんな恰好ではだめだろう、マウラ見繕ってきてくれるか? あとジェフ、お前はナギ君を工房に案内してやりなさい」
「おぉよ! さぁいこうぜ!」
そういうと手を引っ張るって連れていかれてしまった。
「ふふっ、楽しそうねアナタ、じゃぁ私は行ってくるわね」
「あぁ頼んだよ、私は後片付けをしているよ」
……
工房に着くなりジェフはナイフ(とかいうもの)を持ち何やら作り始めた、俺はというと工房の中の作品の数々を眺める。
椅子に机、踏み台から食器まで木製の雑貨が所狭しと並んでいる、ふと目を別の机に向ける……そこにはやたらと精巧なクエビコの像がある、やはり信仰が厚いのか光の中で見たクエビコは実物と比べて2周り美麗だった。
「おーい、ナギにいちゃん、ちょっときてみろよ」
そう呼ばれてジェフのところに行く。
「これ、これからおまえが使うやつな」
とカップ(とかいうもの)と皿を作ってくれたのか手渡された。
「ありがとう?」
「あぁ? なんでしつもんなんだよ、まぁいいや、まだしょっきたりないだろ? そこでみてな、すぐつくってやるからさ」
イシシっと笑うその笑顔で、その言葉でなんだが家族に迎えられた気がした。
そして作り始めたのは……なんだろう?(きっと食事に使う道具ななのだろう、使ったことは無い、虚ろな過去の記憶によると、いつも素手で食事をしていたからだ)
まずは木片をそれっぽいサイズに大きめのナイフで切りだす、そして小刀を使って大まかな形まで成型する、その後は板の先端に窪み部分を含め細かい部分を彫刻刀で削りだす。
その後は金鑢(とかいうもの)から初めてだんだんと目の細かい鑢に持ち替えていく……そしてなにやら長い物はものの数分で完成した。
そしてそれを手渡されると……。
ぴこーん!というのが正しいのかはわからない、とにかく頭の中に働きかけるような通知音が鳴り響いた。
『木工』『木工:切断』『木工:彫刻』『木工:研磨』とかいう文字の映像?が眼前に現れた。
なにがなにやら分からない『木工』を枝葉の先頭というか囲むように『木工:切断』『木工:彫刻』『木工:研磨』が線で繋がっているようだ、その文字は灰色でくすんだ感じがする、ちなみに『木工』だけは白い文字だ。
考えるが答えは見つからない、明日にでも教会でクエビコとかいう神様に聞いてみるか……?
「ナギく~ん? ジェフ~? 夕飯できたわよ~、いらっしゃ~い」
……
食卓、そこに先に走って行ったジェフが渡したのか、マウラさんは新しい食器に料理を注ぎ込んでいるのが目に付いた。
「さぁ、ナギ君ジェフの隣に座るといいよ」
目の前にはマウラさん、隣にジェフ、斜め前にロベルトさんという形で席に着く。
「へへっ、かあさんのめしはさいこうだぜ? な?とうさん!」
うんうんと頷くロベルトさん、それほどに美味しいのか。
「あの……、これはどう食べればいいですか?」
「「「???」」」
マウラさんとジェフは心底分からないような顔をしてハテ?っと首をかしげている。
「あぁ……そうか、ナギくんはおそらく『虚』だったのだろう、さらに『奴隷』だった……、二人は『虚』を知っているかい?」
二人そろって首を横に振る。
「『虚』というのはだね、極度に自我が薄い状態であって自分のほとんど意志で行動することはできない奇病だ、更に奴隷という環境だったのだよ? スプーンなど使ったことが有るわけもないし、ほぼ食べさせてもらってたのだろう」
そう言い終えると3人は憐れみを含めたように俺を見てきたがそもそも何の記憶もないのだ、そう考えているとマウラさんが悲しそうな顔をした。
「そうね……ナギ君、これから全てを学んでいけばいいのよ、まずはスプーンの使い方からね?」
そしてそのスプーンなるもので白い汁を掬って口に運んだ。
それを真似してぎこちない動きでスプーンを使い、スープを口に運んだ。
「美味しい」




