創造神、祈りをささげる
「それでは、ナギ君こちらへどうぞ」
そう促されて神父さんの言うままに7体の石像に囲まれた祭壇へと歩いて行った。
石像が見つめてくるような気がするその場所に来ると何か重苦しいような空気を感じた。
「では、こちらで祈りを捧げてください、そうすると洗礼は完了いたします」
促されるまま祭壇の中央に行き、片足を引いた姿勢で跪く、そして(よくわからないが)神様に感謝を捧げる。
『えぇぇ……と? 神様、俺は見知らぬ商人の人に助けられたおかげで、ここまで来ることが出来ました、ありがとうございます?』
心で念じるように祈るや否や、視界が光に包まれていくと、茶色い衣をまとった背の低い老人が真っ白な世界の中に立っているのが見えてきた。
『お……? 来たようだな主……じゃなくて、ナギ殿、もう13歳になってしまったのか、まったく……あの方は……じゃなくて、普通は10歳の誕生月に洗礼に来るものなのだが、特別に力を与えよう(元は貰ったものだし、少しお返ししよう)ではないか』
ふむぅ……どうしたものか、主神様……ではなくてこのナギという依り代は全く力がないぞ、このような体では加護を与えると力があふれて大変なことになってしまうではないか……、だがどうにかしてその御力を取り戻して頂かなくてはいけないのだ、うむぅぅ……そうだ、加護だと今は力が強すぎるが聖痕として一時的に力を橋渡しする形であれば……うむ、そうだ、これしかないだろう!
『ごほん……、ナギ少年、洗礼式は完了した、さらに土神クエビコである私の寵愛の印である聖痕を与えよう、この聖痕があれば大地に関わる魔法や作業をするときに補助効果が発揮されるだろう、さぁナギ君、この世界でもがんばってくれ』
そう言い終わるとともに、再度視界が光に包まれていき、視界は元の教会へと戻って行った。
「洗礼は無事に終わったようですな、よかったです、それでは引き続き奴隷契約の更新を行いましょうか」
奴隷契約の更新をする魔法は光属性らしい、基本的には神父など、聖職者でないと使えない魔法らしい
※悪意を持って教会に来ていた場場合洗礼は失敗します
そう言うと神父さんはこの村に似つかわしくないような豪華な飾り石のついた錫杖を構え、姿勢を正す。
神父さんがその姿勢のままになにやら呪文を唱えていく、そして首輪についていたタグが光に包まれると、茶色い板だった物が真っ黒な板へと変色した。
※黒は借金100%、白に近ければ返済目前の印になる
茫然としている中、借金奴隷が返済したお金がどう使われるのかの話になった……主人が健在の場合は主が引き取ったときの2倍の金額を収めることで解放される、そして主が所有権を放棄(更新しなかった)場合は購入時の半額を収めることで奴隷階級からの解放をされるのだ。
返済したお金から全国の孤児院に金銭を配給をする仕組みが出来上がっている、それは各地のギルドや教会に分配されていく、そしてそのお金を元にして救われる人がいるということを前提として罪や借金を洗い流していくことになるらしい。
ともかく、返した借金から全国の孤児院などに金子を配給をする仕組みになっていて、それによって罪や借金を洗い流していく、一括でなくても問題はなく利息も無い、だが借金が残ったまま死んでしまうと来世(後世)で不幸になるという言い伝えがあり、みな解放を目指すそうだ。
「これにてナギ様は準借金奴隷となります、今後の成功をお祈り致します」
どう見ても自分より年上にしか見えない老人が頭を下げてきてなにやら気まずい気持ちになる。
たははっと右手で頭を掻こうとすると、後ろで見守っていた商人さんが目を見開き叫んだ。
「ナギ君! それは聖痕じゃないか!!」




