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忘却の創造神が新世界で無双する  作者: かぼす
創造神、巡礼す
24/28

元奴隷、失われた信仰心を取り戻す糸

少し開いてしまいました……、とある有名ゲームのだいぶ終盤の修正中なのです……、休日出勤なのです。

 翌日、風鈴と住民の硬直を説明していたおかげで神父さんと修道士さんが風鈴を聞かせて回る作業を手伝ってくれることになった、自分の街が止まっている状態なのだから手伝う以外にはないのだ、快く手伝ってくれた。

 

 5人で協力して十数人は起こすことが出来たのだが、その日の夜に持ち帰った状況を整理してみると教会から離れるにつれて起きる人が少なくなっていることに気が付き、その翌日も街中をまわったのだが、この日は誰も起きることが無かった。

 

 そんな沈んだ空気の夜のこと、修道士のモチルがとあることに気が付いたことで状況が変わって来た。


「ねぇ神父様、この風鈴なんですけど……教会の上についてるやつと似てませんか?」


 神父は驚きの表情でモチルを見た。

 

 俺たちも驚いているし、思い返してみるといままで寄ったすべての地域の教会には屋上に鐘が設置されており、夜明けから日没まで6等分した時間で時を告げる役割を持っていたのだが、そういえばこの街では全員固まっていたので当たり前ではあるのだが聞いたことは無かった。


「確かに……この模様は屋上の鐘楼に瓜二つのようだ……確かめよう」

※ここでいう鐘楼は、独立した建物ではなく屋上に設置するタイプです


 そう言って教会から出て教会の裏にある階段から屋上に5人で登る……そこで見た物は、風鈴とまったく同じ模様をして風鈴を何倍にも大きくした鐘だ、(ぜつ)(中につるされて鐘にあてることで音を出すパーツ)は付いているが、揺らすための紐が付いていないようだ。


「やっぱりクリソツじゃないですか神父様」

「そうだが……鈴緒(すずお)(揺らすための紐)が付いていないじゃないか、本来なら私達教会の人間が管理しないといけないはずだろうに、私ですら一度も鳴っているところを聞いたことが無いぞ……」


 詳しく聞くと、神父さんが教会を聞く以前からこの街では鐘を鳴らすことはなく、教会には葬式や結婚式の時に人が訪れるだけであって祈りに来るような人はほとんどいなかったらしい。


「とりあえずこの鐘を鳴らしてみたらいいんじゃないですか? 神父様! 風鈴よりもどう見ても効果ありそうですし」


 その言葉につられてまた鐘の方を神父さんは見るのだが、表情は曇ったままだ。


「やっぱり……鈴緒(すずお)? というものが問題なのでしょうか」


 アッシュが神父に聞くと渋い表情のままに頷く。


「あぁ……そうだな、この鈴緒という紐が問題なのだ、確か教会に残っていた記録では普通の糸をまとめたようなものでは取り付けた瞬間にボロボロになってしまうようなのだ」

「じゃぁほかの教会では紐には何を使ってるんだろう? ねぇアッシュさん知ってますか?」

「いや、私は知らないな……」

「アラクネだ」


 神父さんが間に割り込む。


「アラクネという蜘蛛の縦糸が素材だ」

「ふぇぇ? それって上半身が人型で下半身が蜘蛛っていうアレですか?」


 ……どこの街でも「ふぇぇ」を聞いてる気がするな……。


「あぁそうだ、この半島にもアラクネは棲息しているのだ……というかほぼ全世界の紐はここから輸出されたものだった(・・・)らしい」

「だったとは?「だった?」「ふぇぇ?」」


 3人が同じように反応する、それに答えるように神父さんが話を続けた。


「ここ、ライズとポルカ、ダサーラを繋ぐ街道に囲まれるように霧を発生させる霧幻平原、そのどこかにあるダンジョンの中にアラクネの巣があるらしいのだが……そこまで行って戻れる冒険者がこの半島に来ることが無くなってしまったのだが、見栄を張ってよその街に出すことを優先していたら、この街の分が無くなってしまった……という記録が残っているのだ……」


 見栄を張っていたら自分たちの分がなくなっただけか、なら取りに行けばいいってことだな。


「じゃぁ俺たちで採りに行きますから、その場所を教えてください」


「はい?!」

「えぇ?!」

「ふぇぇ!?」


 なぜかみんなに驚かれる……。


「いやナギ殿……アラクネはAランク級のバケモノです、個体ではBランクですが人並みに知能があるため統率の取れた行動をするのです、蜘蛛なだけに粘着性の糸を出しこちらの機動力を奪ってくることでランク以上に討伐が大変な魔獣なんですよ」

「そうなんですか、でもなんで人並みの知性があるなら話し合うとかできなかったんですか?」


 4人が一斉にこちらを見てくる……やりにくいな。


「魔物だから……としか言いようがなかったですね、話し合う発想なんてどこにもありませんでした」

「ナギ君、魔物だから狩る、素材が取れるから狩る、そうしているうちにあちらも当然のように反撃してくるようになった、単純ですがこういうことだと思いますよ」

「俺はよくわかんないけど、魔物っていう時点で討伐対象だと思うな」

「当然です」


 そういうもんなのかな、でももう何年も取りに行ってない様子だし、なんというか直感だけど何とかなりそうな気がするんだよな。

「やっぱり行ってみようと思う、アッシュとフラムも付き合ってくれるか?」

「私は奴隷という立場なので本来なら断ることは出来ないのですが、危険な目に合わせてはいけないというような法律があり、それを破るとナギ君までも神の裁きを受けてしまうので、念のため残っていた方がいいと思います」

「俺は大丈夫、蜘蛛相手なら火の魔法を使えるナギさんなら弱点突けると思うし」


「ですが2人で行くというのは賛成できません、街からだれか……」

「あぁ! それなら神父様、マーロックさんはどうでしょうか? 元冒険者ですしなにより『アリアドネーの洞窟』を踏破した経験もありましたよね!」

「そうかマーロックさんがいたか、確か今日の風鈴で起きていたはずだ、だが……年齢がな、確か今年で76じゃなかったか?」

「そんなのあの人には関係ないですよ「最近の若いモンはたるんどるのぉ」とか言いながら若手をシゴイテいたじゃないですか」

「……むぅぅ、確かに……いいだろう、モチル、呼んできてくれ」

 

 モチルはその言葉を聞くとすぐに教会を出ていき、ものの数分で老人を連れて戻って来た。


「おいモチル! なんなんじゃ突然教会なんぞに引っ張りおって」

「ほらほら私のことはどうでも良いですから、神父さん! 説明お願いします」


 よほど急いできたのか、修道士さんは肩で息をしている。


「マーロックさん突然申し訳ない、こちらの2人がアリアドネ―の洞窟に行きたいというのですが、案内をお願いできないでしょうか」

「!! ほう……アリアドネ―か懐かしいな、それで行きたいという2人はこやつらか……」


 そう言うとまじまじと俺とフラムを見てくる。


「こいつらか……アリアドネ―で通用するかどう……か? いや、わしはこいつらと一緒に行きたいぞい」


 このマーロックの言葉で俺とフラム、マーロックの3人が、アリアドネ―の洞窟へと挑むことが決まったのだった。


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