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忘却の創造神が新世界で無双する  作者: かぼす
創造神、巡礼す
19/28

元奴隷、海千山千を紡ぐ

「???が戻って来たぞ!」


 防衛のためその船を見張りに行ったはずなのだが、なにやら喜々とした雰囲気でその船を港へと出迎えていた。


 その漁船は『型が古いのだが』この町の物だったそうだ、なので町の人なのだということでとりあえず空き部屋に遠し、見張りを付けたうえで簡単な食事を振舞ったそうだ、詳しい話は明日にするということになった。

 

 ……


 さて翌日、なにやら様子がおかしかった、昨日は夜も深く周りも暗かったため気が付かなかったらしいのだが、その異変には明るいところで見た町民たちはすぐに気が付いた、町人たちが言うにはその4人は26年前に遭難して行方不明になったらしいのだが、それにしてはあまりにも若すぎる……彼らに聞くと遭難はしたと思うがまだ数日程度だったというのだ、とにかく……さらに詳しく落ち着いて事情を聴くために町長の家に行くこととなり、そこでさらなる驚きに見舞われることになる。


「おはようさん、町長はいるか? 昨日の件で来たぞ」

 

 町長の家に着き使用人の人に漁師さんが挨拶をすると町長さんを呼びに走る、直ぐに俺や漂流者、漁師さんたちの待ち受ける応接室へと走って来た、そして町人と漂流者とで状況の確認をしはじめる。


「さぁ、では海で何があったのか話をしてくれ」

 

  彼らは数日の予定で漁に出た、遠いといってもいつも通りの太陽、いつも通りの風や潮の流れ、たしかに遥かな海ではあるが勝手知ったる庭のようなものだ、だがその庭でいつものように漁をしていたのだが一つだけいつもと違うことが起きた、陸とは逆方向からとても濃く白い霧が現れたのだ、たちまち深い霧に包まれてしまい方角を失ってしまった一行、そのまま数日の間はかすかに見える月灯りを頼りにさまよっていたのだという、そして数日後……目の前に果てしなく大きな滝が出現した。


 その滝はこの町に伝えられるおとぎ話に出てくる船乗りの墓場への入り口『絶海』だという。


「絶海だと?」

「さすがにそれは……」

「ふえぇぇえ?」

 ……修道士さんも来てたのか。


 さすがにそれは……と町の人達は笑い飛ばそうとするが、漁師のリーダーの男はそれを一瞥したあとにさらに話を続ける。


 目の前にはひたすらに広がる滝、その滝の底は見えず、奥の方をいくら凝視しようとも霧以外の物は見えない、巨大な滝のはずなのにその滝つぼに落ちる水の轟音すらも聞こえない、まさにおとぎ話の通り『絶海』で間違いないのだ。


 もうその流れに身を任せてしまい、その未知の世界を一瞬でも見てみるのも悪くないかと考えていたところ、まさに光明が差して来た。


 突然背後からまばゆい灯りが一直線に伸びてきたのだ、白い霧をものともしないその灯りに手招きされるように進路を取り、少しするとこの大陸が見えるところまでいつのまにかたどり着いていたというのだ、もちろん灯りの元は千里灯台の灯りだったのは言うまでもない。


 これこそ灯台のふもとの碑に書かれていた風の神『軌跡と奇跡』の御利益である 奇跡=灯台の灯と、奇跡=神風によるものだったのだと後日カグツチこっそりと聞いた……俺はまだ風の聖痕はもらってないんだけどな。


 それからしばらくお互いに話を交えているが、漂流者がこの町の話を聞き、たった数日しか経っていないと思っていた間に26年もの時が丘では経過してしまっていたことを知り、驚愕すると同時に悲嘆に暮れていた、その家族も危機がした名前を頼りに途中からここに呼ばれており、再会を喜ぶと同時にその状況に神妙な空気になっていく。


 そうしていると漂流者の4人のうち2人、いや……3人に突如変化が現れはじめた――。


「お……、おいあんたたち」


 一人の老人がそれに気が付くと、本人たちもそれに気が付き軽い悲鳴をあげる。

 

「うぉぁ?」

「体が……どうなってやがる」


 その変化とは……老化だ。


 大人の町民曰く、保護した時から今までは26年の時を過ぎていないかのように若い姿を保っていたらしい……だが変化が発生してからの3人はその年月を感じさせるように体や顔にその衰えを如実に示すような風貌へと変化していった。


 そのなかでたった一人、フラムと呼ばれる少年だけは年を取ることも無く保護した時の風貌のままの姿でぽかーんとしているのだった。


 ……


 『海千山千』

 

 本来の意味であればずるがしこい事なのだが、この半島での意味はよそとは違う。


 海で白い霧に包まれると千分の一の速度で時が進む、山で黒い霧に包まれるとその逆で旋盤の速度で時が進む。

 

 ファウンダー半島にそびえる絶界山脈、その山で黒い霧を通して生命力を吸収して力を蓄えた聖獣が千年に一度絶海へと降りるとき多大な魔力を放出することから発生する神秘の現象が白い霧。

 

 千という数字に関わりの多いこの町には、きっとまだ千にまつわる物語があるのだろう。


相変わらず会話が少ない・・・

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