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忘却の創造神が新世界で無双する  作者: かぼす
創造神、巡礼す
16/28

元奴隷、千里灯台物語(中)

 衛兵に連れられて灯台に着いた、何故か街の住人もぞろぞろとついて来たが仕方がない。


 聖痕にちなんだ灯台なのかは分からないが、火属性の紋様が灯台の入り口から少し離れた広場にある石碑に刻まれていた、遠目に何か書いてあるように見えたのでそれについて聞いてみたが知らない言語なのだそうで内容は分からないらしい(俺には読めたのに)、その石碑からは灯台の入り口横まで線で繋がっているような形状になっているようだった。


 灯台の中、そこそこ長い階段を登っていく、壁沿いに単純な螺旋状に設置されているわけでは無く、壁から離れたりまっすぐ進んだりと、不思議なつくりをしている、さらに手すりに手をついて登っていたので手すり上面には何やら線がずっとつながって描かれている事に気が付いた、所々に丸や四角、三角やギザギザ模様、さらには象形文字などが少しくぼんだように刻まれているようだった……。

 

 そして頂上へとたどり着いた、そこには大きな台座に乗せられた魔石と呼ばれるものが鎮座していた、その台座にはさっきまでの手すりと同じように黒い溝がつながっていた。


「さぁ坊主ここが千里灯台の頂上だ、魔石を起動させてみろ」


 隊長さんに促されるままに魔石に近づいていき、上を見上げた……あれは?


「本当にここが頂上なんですか? 上のガラスのところに魔石みたいなのが見えるんですが……、上に行けそうな気がするんですよね」


 思った通りの事を言う、それだけなのだが何やら驚いている。


「はぁ? どこから上に行けるって言うんだ?」

「確かに上には何かあるようですが、行く方法がないですよね」

「ナギ君? あ……なにか心当たりがあるんですね?」

「あぁそうだよアッシュ、下にあった石碑の碑文なんだけどね、読めちゃったんだ」

「読めたっ……のですか?」

「遠くだったからギリギリだったけどね、試す価値はあるんじゃないかな? ちょっと石碑のところに行ってくるから待っててよ」


 周囲のざわめきが大きくなってきた……そんな中反対意見を出してくるのは大抵このタイプの人なんだろう。


「おいガキ! 一人で下まで降りて逃げようだなんてそうはいかねぇぞ? 一人で行かせられるわけがないだろうが」


 ……確かに、いまは火の聖痕を持っているのかどうかそれを証明しないといけない状況だな……だったらこれしかない。


「わかった、じゃああんたと隊長のおじい……おじさん? 付いてきてくれるか?」


 見張りを付けるのが一番確実、さらに公正に判断してくれそうな人を連れていく、この人選なら不正の余地も逃亡の余地もないだろう?


「な……あ……あぁ、そうだなそうするか」

「うむ、私も異論はないぞ、さっさと行くぞ」


 ……


 さすが衛兵、武闘派だな皆でぞろぞろ登る時と比べてはるかに早く降りて来られた。


「じゃぁ石碑に行くぞ? 疲れてないよな?」

「うっせぇ黙ってろ」

「うむ、問題ない、行くぞ」


 石碑の前に立つ、そしてその碑文を確認しなおす。


『火の証を持ちし者、この地に熱と灯を(もたら)さん』

『土の証を持ちし者、この地に大地の恵みを(もたら)さん』

『水の証を持ちし者、この地に湧き出る泉を(もたら)さん』

『風の証を持ちし者、この地に軌跡と奇跡を(もたら)さん』


 ……火土水はなんとなく分かる、風の『軌跡と奇跡』ってなんだ? まぁ今はそれはいいな、続きだ。


『いずれかの証を持ちし者、碑の中央にその証を当てるべし』


 遠くから見えたのはこの一節だ、これならいける。


「おいクソガキ! 早くしやがれ! その場逃れだったんじゃねぇのか?」

「トルカ! いい加減にしないか! だが坊主も突っ立ってないで早くするのだ」


 そうだな、ではやってみるか……石碑の中央に、手の甲を下にして……!?


 !? 突然石碑が光りだした……なんだ? 物凄い魔素が吸われてる感じだぞ……火だけじゃない、土もだ。


「お……おい! クソガキ! どうなってんだ……ってそんな場合じゃねえか大丈夫なのか?」

「トルカは落ち着け、光は落ち着いて来ただろう、今迄の業の犠牲者とは違うようだぞ、そもそも石碑にたどり着くだけでも大したものだろう……な、なんだ?」


 突如地響き……それだけじゃない、灯台が光り始めて周囲に突起がグルグルと生えてくるようだ。


 数十秒後、地響きと発光が収まり塔の外部を螺旋状に登るような外階段(・・・)と、頂上まで伸びるようなベインバンブー、その横には塔の周囲の石畳を火柱が押し上げるように、これもまた階段のように足場を形成していた。


 かざした聖痕か加護の属性によって頂上への行き方が変わるのか? 水だと――氷の階段で……風だと吹っ飛ばされてる?


「な……なんだよこれ、ご先祖様の記録にある炎の回廊なのか……」

「すごい光景だなこれは」


 二人は茫然としていたがとにかく頂上に行かなくてはいけないのだ、土でできた階段を上って千里灯台の頂上へと昇り立つ、そして本当の頂上からガラス越しに地上を見下ろした。

さて、風の齎すものはわかりますか?

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