番外編 女子会②
アルロンの代官屋敷は、作りこそ田舎の小規模旅館の様な慎ましい大きさだったが、誰の趣味だか不明だが、浴室だけは広く立派だった。
見方を変えれば、そのことがより一層旅館らしく見える要因と言えなくもない。
その不釣り合いに大きな湯船には、エルフのフィリーと魔族のソフィアが、肩までゆっくりとお湯につかって寛いでいた。
「ねぇ、ソフィア?」
フィリーが珍しく言い難そうに口を開く。
「どうしたフィリー?」
ソフィアは三姉妹の長女だからか、何処か人から頼られやすい雰囲気がある。
そのソフィアの優しい声音に励まされたのか、フィリーは言葉を続けて、
「あの、昨晩ユーキとしたあとって、まだ痛い?」
ソフィアは苦笑交じりに、
「うん、だいぶ良くなったけど、まだ少し痛い気がする。特にワイバーンに乗ってた時は、結構痛かったなぁ」
フィリーは少し安心したように、
「あ、そうなんだ、良かった。私もまだ少し痛くて…」
「まぁ、あんなに硬くて大きなものを挿れられたんだから、仕方が無いさ」
「え、そうだよね?なんかおっきかったよね?」
ソフィアは再び苦笑し、
「他の比較対象を知らないから何とも言えないが、我も大きいとは思ったよ」
フィリーはしばらく黙ったあと、
「ねぇ、また次も痛かったりするのかな?
ユーキのことは好きだけど、毎回あんなに痛いのは、ちょっとなぁ…」
不安そうな声を上げる。
「私だって初めてだ。聞かれたって、それは、分からん」
「だよねぇ〜」
フィリーは口まで湯につかって、ブクブクと泡をたてる。そういう意味では、唯一の経験者であるヒルデにあとで聞いてみようかしら?と思いつく。
ふと、浴室の外で誰かの気配と物音がして、浴室の扉が開かれると、ユーキとことを終えたラミィが入ってきた。
「あれ、ヒルデと一緒じゃないのか?」
とソフィアが声を掛けると、
「まさか?あの方と一緒にいると、自分の色々所が気になって仕方が無くなるので、極力ご一緒したくありませんわ」
そう言うと、風呂桶で身体を流し、静かに湯船に入ってくる。
「確かに、相手は天使だもんなぁ…。女の私から見ても、ほんっと完璧な容姿だもんね」
フィリーの発言に、ソフィアもウンウンと頷く。
「…ですから、お薬で眠って貰ってる間に、お先にユーキ様とさせて頂きました」
シレッと言うラミィに、フィリーとソフィアは目を丸くして見つめあい、
「…こっわ!」
思わず呟くフィリー。
今度はソフィアがラミィに、
「ところで、その、痛くはなかったのか?」
ラミィは少し考えながら、
「最初は凄い痛かったけど、途中からは無我夢中で、最後は痛さよりも気持ち良さの方が断然勝りましたわ」
どうやら感じ方は人それぞれのようで、ラミィはさほど痛くない様子だ。
「これって、治癒魔法掛けると痛みが治まるのかな?」
ふとフィリーが呟くと、
やめたほうが良いとラミィが即答する。
「下手をすると完全に治癒してしまい、また次も、最初の時と同じになってしまいますわよ」
「え〜、それはヤだなぁ」
「まぁ、普通の傷と一緒ですわ。モノの本によれば、一週間もすれば痛くは無くなるそうですから、とにかく自然に任せるのがいちばんです」
続けて、見た目は清純なラミィは小悪魔な笑みを浮かべながら、
「そのあとは、自然と佳くなるだけかと思いますわ。何しろユーキ様は、とてもお上手な方ですから」
そう言うと、まるで先程のことを思い出しているかのように、自らの身体を抱きしめるラミィ。
「え?ど、どんな感じだったの?」
そんなラミィの様子に、興味津々に食いつくフィリー。
話はいつの間にか、お互いの具体的な行為や感想の暴露大会となり、とてもではないが他人に聞かせられるような話では無くなってしまった。
かくして3人は、新たな強い絆で結ばれたのであったとさ。
めでたし、めでたし…?
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