第八十五話 ラミィ=マルキオーネ
今回は大人の話になります。
紳士の皆様のみお楽しみ下さい♪
郡都アルロンの南方、ミューゼル川の支流より数キロ奥に入った沼沢地の森の中で、ツワーナ村のリザードマン達は龍たちの襲撃の爪痕を前にして、その深刻な被害に呆然としていた。
今朝方、見たこともないほどの巨大な成龍が突然村に飛来し、その下敷きとなった家々は、土台となっている樹木ごと粉々に打ち砕かれてしまった。
ここまで破壊されては、その家々を再建する事は非常に難しいだろう。
ただ、不幸中の幸いだったのは、早めの退避が功を奏し、多少の怪我人はでたが、死者もなく、人的損害が殆ど無かったという事だろうか。
とは言え、これほどまでにこの村が深刻な損害を受けたのは、この村始まって以来の事であった。
ツワーナ村に戻ってきたオドエーツェは、取り巻きの若者達と共に村の各所に残る様々な足跡を調査していた。その後、捕虜達の所在を確認するべく村の外れにある半地下牢を訪れる。
だが、その半地下牢の扉は外側から何者かの手により破壊され、そして当然ながら、今朝までは確かに居た10名の捕虜の姿は、既にそこには無かった。
辺りの地面には、明らかに捕虜達のものとは違う方向から来た、人間のものらしき複数の足跡も残されていた。
『おい兄弟、あっちには成龍とは別の龍の足跡も残されてた。恐らくワイバーンのものじゃねーかな?』
オドエーツェの右腕とも言われている、幼馴染みのボフーノもやって来た。
『兄弟、見てくれ。そこの扉を』
オドエーツェがボフーノに半地下牢の入口を見せると、ボフーノもまた、
『あぁ、多分鋭いナイフか何かで外から抉じ開けられてるな。見たところ、龍がやった訳じゃなさそうだ』
と、オドエーツェと同じ見立てだった。
考え込む様子のオドエーツェに、
『…これってもしかして、あの龍達は捕虜を取り戻すために、人間どもの差し金でこの村を襲ってきたって事なのか?』
とボフーノが問うと、オドエーツェは厳しい表情で『あの成龍が襲ってきたタイミングで、偶然に人間共がワイバーンでやって来て捕虜達を助けた…、何て事はあり得ない。そもそも、捕虜達の足跡は成龍の周辺で消えていただろ?
信じたくはないが、全て人間共の仕業と考えるべきだ』と答える。
この村を襲った成龍は、とにかくバカでかい巨大な体躯をしていた。
もし人間共がこの襲撃を主導したとすれば、そんな化け物みたいな巨大龍を、たかが人間如きが意のままに操っていたと言うのか?
オドエーツェには俄かに信じ難いことだったが、事実を客観的に俯瞰すれば、自ずと結論はそうならざるを得ない。
もし人間どもがその様な力を持ち、奴らがその力で再びこちらに攻めて来るような事があれば、仮にワイバーンまでは何とか対処出来たとしても、成龍に対しては成すすべがない。
――もしかしたら、これはツワーナ村だけの問題ではなく、我等リザードマン全体にとっての由々しき問題なのではないか?
オドエーツェはそこまで考えると、
『おれは長老の所に行って、この事を報告しようと思う。兄弟、一緒に来てくれないか?』
『もちろんだ』
そうして2人は、連れ立って長老の元に向かった。
オドエーツェとボフーノが長老の家に着くと、そこには長老と共に、孫娘であるヘレターレが居た。
普段からオドエーツェと何かと反りの合わない彼女は、彼の顔を見ると、明らかに敬遠するような表情を浮かべる。
そんな彼女の様子が視界に入るが、オドエーツェは敢えて無視して、長老への事実の報告と自分なりの見立てを話し始めた。
オドエーツェの話を聞いて、長老であるズマリーディの顔も険しさを増す。
今まで、人間と彼等リザードマン達は陸地と沼沢地で棲み分けがなされ、ほとんどお互いに干渉することなく生活していた。
ところが、ここ最近のごく僅かな間に、少数ではあるが人間たちがこの村まで押しかけて来たり、また恐らくは人間たちの手先となった龍達の襲撃を受けたりした。
その意味するところは、或いは人間たちは、この自然豊かな沼沢地にまで野心を抱き始めた、ということなのだろうか?
『オドエーツェよ、もしそなたの思うところが正しいとすれば、この問題は我等ツワーナ村だけでは対処しきれるものではない。
わしはこれから巫女と共に首都に向うことにする。
お主と、そして孫娘ヘレターレよ、わしに従いて道中の伴をせよ』
長老ズマリーディがそう宣言すれば、この村のリザードマン達は必ずそれに従わなければならない。
オドエーツェとヘレターレは、お互いに不満げな顔を浮かべるも、
『長老のお導きの通りに』
と恭順の意を示し、その日のうちに彼らが首都と呼ぶ中心都市マジラ・ヤ・ジョトへと旅立っていった…。
所変わって、南ブランデン郡の郡都アルロンでは、まだ夕食前の時刻から、ラミィはユーキの部屋を訪れていた。
服装は、いつもの魔族らしいボンテージ調の黒いドレスではなく、ゆったりとしたクリーム色の厚手のガウンを纏い、お風呂上がりらしく黒紫の髪をアップに結い上げていた。
もともと魔族姉妹は皆、整いすぎるほどの顔立ちだったが、それぞれ系統が少しづつ違っていた。
長女のソフィアは目鼻立ちのクッキリした男顔系の美人で、三女のシオンはクリっとした瞳が印象的な元気な美少女という感じだった。
黙ってさえいれば、次女のラミィも、優しい雰囲気をたたえた清楚で可憐な美女だった。
そのラミィと僕は、僕のベッドに並んで腰掛けていた。
「何だかこうして二人っきりになるのって、初めてだよね?」
ラミィはこの部屋に入ってきてから、まだ一度も口を開いていなかった。
彼女が何をどう思っているのかは全く分からなかったが、とにかく沈黙を破りたくて僕は口を開いた。
やがてラミィはうつむき加減の顔を上げて、まっすぐ僕を見つめてきた。
「ユーキ様は、臥龍山脈での私達との誓いを覚えていますか?」
唐突に彼女は問いかけてきた。
僕は慌てて、
「もちろん、覚えているよ」
朝焼けの臥龍山脈で、彼女達三姉妹は僕に終生の忠誠と献身を誓い、僕は主としてこの先ずっと彼女達を慈しむことを誓った。
もう随分前のことなのに、つい昨日のことのようにも思える。
「お姉様だけじゃない。あの時から、私もこの様な日が来るのをずっとお待ちしていました。
私の全てを、我が主に捧げられるこの時を…」
そこには、普段の彼女の諧謔に満ちた振る舞いは微塵もなかった。
慈愛に満ちたその瞳は僕を捕らえて離さず、彼女の真摯な想いが痛いほど伝わってくる。
「ラミィ、本当に今まで有難う。そして、これからも宜しく頼みます」
僕の言葉に、彼女は軽く頬を染めながら恥ずかしそうな笑顔を浮かべて、
「私のこと、ずっと可愛がってくださいね…」
そう言って彼女は僕の手を取り、僕の頬に軽くキスをしてくる。
僕もそれに応える様に、彼女の雪のように白いツルツルの頬に口づけた。
ラミィはくすぐったそうに鼻を鳴らしたあと、急に僕を軽く睨みながら、
「…何だか、手慣れた感じですね?」
僕はとっさに何と言って良いか分からず、「え?あ、ごめん」と思わず謝ってしまう。
「そう言えば、昨晩はフィリーとお姉様のお二人とお楽しみだったと聞きましたわ」
プイッとそっぽを向くラミィ。
確かに彼女の言う通り、昨晩は正にこのベッドの上で、フィリーとソフィアの初めてを奪っていた。
「なんか、やっぱり変だよね?毎日こんな事して、しかも複数の人とか別の人とかさ?」
そもそも、前世である現代日本の常識と倫理観からすれば、僕は間違いなくクズ認定だろう。そう思うと、急速に罪悪感と自己嫌悪が頭をもたげてくる。
加えて、前世では30過ぎの陰キャ童貞属性だった訳で、我ながら余りのギャップに自己同一性を見失いそうになる。
精神的に落ち込みはじめた僕を見かねたのか、ラミィは僕の手を取り、
「ごめんなさい、意地悪言って。私だってユーキ様を好きすぎて独り占めしたいから、つい…」
そして、キラキラと輝く瞳で照れくさそうに、
「ユーキ、さま。もう意地悪なことは言わないから、機嫌直して、あの…優しくして下さい」
ゆっくりと長いまつ毛が伏せられ、ラミィは僕が一歩踏み出すのを待ち受ける。
そのまつげの先の細かい震えが、彼女の緊張を物語っていた。
そんな可憐なラミィを前にして、僕の中のもう一人の自分が、自らの罪悪感と自己嫌悪を捻り潰す。
仮にここで止めたとしても、それはラミィを深く傷つけるだけかも知れない。
そんな言い訳とも言えない自己弁護を頭の中で繰り返しながら、僕は優しく彼女を抱きしめた。
彼女の華奢で柔らかい身体を抱き寄せると、ラミィは抵抗することなく僕の胸に顔を埋める。彼女の首筋から、花のような甘い香りが漂う。それは、清楚で可憐な彼女の外見にとても良く似合った香りだった。
僕は腕の中に納まった彼女の頤を指先で優しく持ち上げ、そのままラミィの唇に自分のそれを軽く合わせた。
その切ないほど柔らかな感触に、どうしょうもなく胸が高鳴る。
「…これが、キス?」
問いかけるような眼差しで僕の顔を見上げる彼女は、少女のようにあどけなく見えた。
普段の彼女は、その見た目と裏腹に下ネタ的な言動が多い印象だが、実際には男女の仲について、何も経験したことが無いのかも知れない。
「どう?嫌な感じ?」
すると、彼女は子供の様に頭を振って、
「ヤじゃない。…もっとしてください」
と、今度は自分から顔を寄せてくる。
僕達は小鳥のような軽いキスから始めて、やがてお互いの唇を唇で啄むように少し長いキスに進む。
そうして、彼女の呼吸に吐息が混じり始める頃を見計らって、僕は彼女の唇を割り、舌先を彼女の口内に滑り込ませた。
んぅうっ…。
彼女は一瞬驚いたように繋いだ手の先に力が入るが、ゆっくりと唇を開き僕の舌を迎え入れてくれた。
僕等は言葉もなく、お互いの舌と舌を絡め合い、ひたすら貪るように唇を重ねる。
静まり返った室内に、僕と彼女が奏でる湿った卑猥な音だけが響く。
んっ、ハァハァ…。
ようやく僕から開放されたラミィは、身体に力が入らない様子で、再び僕の胸に顔を埋めてくる。
僕はそんな彼女の華奢な身体を抱きとめ、優しく背中を撫でて落ち着かせる。
そしてゆっくりとベッドに押し倒すと、あらためて本格的なキスと耳や首筋への愛撫を始めた。
ラミィは目を閉じ、僕の一つ一つの動きに敏感に反応しながら甘い吐息を漏らす。
徐々にガウンの襟元が乱れ始め、雪のように真っ白で滑らかな肌が露わになってきた。
その白い輝きに吸い寄せられるように、僕は彼女の腰帯を解いて、一気に彼女のガウンの前を広げる。
僕の眼の前に、一糸纏わぬラミィの美しい裸身が現れた。
それは本当に、息を飲むほど美しい光景だった。
あ、ぃやっ…。
恥ずかしさからか身をよじろうとするラミィだったが、僕は確りと彼女の両腕を押さえて、その身動きを封じる。
やがて彼女はささやかな抵抗を諦め、首元まで羞恥に赤く染まりながら、僕に全てを曝け出す。
僕もまた、彼女を見下ろしながら衣服を全て脱ぎ捨てて、あらためて彼女の身体に覆いかぶさった。
彼女はなるべく身体を見られたくないのか、僕の首に腕を回し、その柔らかく温かい身体を押し付けてくる。
僕はその腕を優しく振り払い、片手で彼女の両手首をつかんで彼女の頭の上で抑えた。
だめっ、いじわるっ…
僕は抗議の声をあげる彼女の唇を唇でふさぎ、彼女の豊かな胸に優しく手を当てる。
心地の良い弾力が、僕の手の平を押し返してきた。
んんんっ
僕の指先が彼女の柔らかな胸の固い先端に触れると、びくんっと身体を震わせ、塞がれた唇から、くぐもった声をあげる。
だが僕は容赦なくその先端を重点的に攻めてみた。
先端の付け根の、薄桃色にぷっくりと膨れた部分を、わざと先端に触れないように指先で円を描くように軽くなぞる。
そして十分に焦らしたあとで、指先の腹でピンっと先端を弾くと、彼女は身体を捩り、細く長く甘い鳴き声をあげた。
彼女の反応から、焦らされると弱いんだろうとあたりをつけた僕は、片方を舌先で、もう片方を引き続き指先で、左右同じ様に円を描いて先端の周りを丁寧になぞり続けた。
そして不意に先端を弾いたり、軽く甘噛みをしたりという刺激を執拗に繰り返すと、彼女の反応は徐々に激しくなり、特に先端への強めの刺激が来ると、鋭い泣き声をあげるようになった。
僕は片方の先端を軽くつねりながら、もう片方の先端を何度も何度も甘噛みする。
だめっ、いやっ、え!?だめぇ〜!!
彼女が僕の頭を強く抱きかかえて身体を弓なりにしならせると、一瞬硬直したあとにガクガクと身体を震わせ、突然力尽きた様にベッドの上に横たわった。
夕日が差し込む部屋の中で、彼女の荒い呼吸音だけが響き渡る。
多分、だと思うけど、彼女は胸の尖端への刺激だけで、登りつめてしまったみたいだった…。
※最後までお読み頂き、まことに有難うございました。
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