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第十九話 魔族三姉妹

臥龍山脈の麓に広がる平原の一角で、僕は野営をしていた。

周囲の物音と言えば、名も知らぬ虫の音と、焚き火のはぜる音だけだ。


その焚き火を挟んだ僕の向かい側には、若い魔族の女性三人が、毛布に包まれながら肩を寄せあい、僕の淹れたお茶を飲んでいた。



「良かったら、これも食べて下さい」


先程近くの小川で採った、川魚の塩焼きを試しに彼女達に差し出してみた。

すると、全員が意外なほど大人しく受け取り、神妙に食べ始める。


彼女達と一緒に良く焼けた魚の塩焼きを食べながら、僕は実に途方に暮れていた。



━━━これから、彼女達をどうすれば良いんだろう?





今を遡ること数時間前、彼女達は親の敵である僕を殺すため、使役する魔物と共に真正面から襲い掛かってきた。

僕はそれを返り討ちにした訳だが、どうしても彼女達を殺すに偲びず、結局は峰打ちで気絶させた。

その後、僕はこの場所から離れても良かったが、あえて彼女達のすぐ側で野営をして、彼女達の目覚めを待った。

目覚めれば、彼女達は再び襲って来るのは分かりきっていたけど、僕はあえてその襲撃を受けて立つ積もりだった。



どの様な理由が有ったにせよ、僕が彼女達の父親を手にかけたのは事実で、そして彼女達が僕のことを許すことはあり得ない。

とは言え、僕も領主だ。簡単に彼女達に殺される訳にいかない。

だから、彼女達の心が折れるまで、何度でも襲撃を受け続けようと思っていたのだ。

でも、彼女達は、たった一回の襲撃で心が折れてしまったようだ。




そのうち、僕らみんなが川魚を食べ終わる。

そして周囲は再び、沈黙の支配する所となる…。






あ、ダメだ、この生殺し的な緊張感が耐えられない!

三人もの女性相手に無言のまま過ごすなんて、どうして良いか分からなすぎて頭の中がパニックだ!


僕は意を決して問いかけた。

「これから、どうするつもりですか?」


三人はお互いの顔を見合せると、真ん中に座った、恐らく一番の年長お思われる女性が重い口を開いた。

「我らの力は遠く及ばず、結局は貴様に一矢も報いることは出来なかった。

かくなる上は、……もはや貴様の(めかけ)となるしかあるまい。」



え?いま何て言った?

『めかけ』?『かたき』じゃなくて?

『めかけ』って何?意味分かってんの?

それとも『めかけ』って書いて別の意味が有るとか?

『強敵』と書いて『とも』と読む、みたいな?


激しく困惑する僕をどう思っているのか知らないが、真ん中の女性が更にとつとつと語り始めた。



まず、彼女達は魔王ローキの最高幹部、四天王筆頭のガルガティウスの娘で、名前をソフィア、ラミィ、シオン という。

ちなみに今それを語り始めたのは、長女のソフィアだ。


魔王以下、ほぼ全ての主要な魔族を僕に殺されて以降、魔族たちは身を寄せあって細々と暮らしていたそうだ。


ただ、元々が連帯感が薄い魔族のこと、自分達の惨めな境遇を、無謀な戦いへと向かわせた魔王ローキのせいにし始めたらしい。

その彼等の不満の矛先が、魔王の右腕だった彼女達の父親と彼女達に向かうのに、それほど時間は掛からなかった。


『責任を取って、極悪人(=僕)を倒してこい!』とか、『父親殺されて平気な顔してんじゃねーよ』とか、そりゃあ散々な言われようだったらしい。

気性の荒いソフィアはそうした挑発につい乗ってしまい、他の魔族達の前で、『必ず極悪人(=僕)を殺してやる!』『万が一極悪人(=僕)を殺せなければ、三姉妹とも奴(=僕)の妾にでもなってやる!』と啖呵を切ってしまったらしい。


それで、僕を倒せなかった彼女達は、三人とも僕の妾になったらしい。


ヤッパリ、イミワカンナイヨネ?





「イヤイヤイヤ、それって、ただの売り言葉に買い言葉でしょ?真面目に、守る必要なんか無いですよ。

だいたい、親の敵に負けたからといって、その敵の妾になるなんて、どんだけ自分達を安売りしてるんですか?

魔族ってそんなに馬鹿なんですか?」


という僕の正論は、直情径行のソフィアには微塵も通じない。


「うるさいっ!たかが人間ごときにつべこべ言われる筋合いは無い!

そもそも貴様はホントに人間か?何だあの規格外の強さは?単なる化け物じゃないか!」


きつめの美人に面と向かってキツイこと言われると、本当に心に刺さる。

『単なる化け物』って……。



「私達は、もう行く宛も有りません。そして、ユーキさんには、この先何百年掛かろうと勝てる気がしません。

先ほど貴方が剣を携えて私に近寄って来たとき、余りの恐怖に軽くイッてしまいました。

もはや、私達は貴方のものになるしか無いと思います」


清楚な美人の外見のラミィが、軽く頬を染めながら、初めて言葉を発するのを聞いた。

そして、その発言内容は姉のソフィア同様ぶっ飛んでいた。って言うか、姉より頭おかしくない?

何?軽くイッたって?



「私も、さっきはホントに死んだと思ったよ。ま、そんな訳で、お姉ちゃん達と一緒に可愛がってね?

依怙贔屓(えこひいき)とか、やだかんね?」


はい、コケティッシュな魅力凝縮のシオンちゃんの発言です。


なぜだろう、彼女達の発言を一通り聞いた後だと、やはり長女のソフィアが一番まともに思えてくる。



「と、とにかく、行く宛が無いなら僕と一緒に来てくれて構いません。

ただ、妾の件は全力で遠慮させて頂きます!

本当に無理ですから!!」


僕は必死に抵抗するが、


「なんで?ユーキはオトコが好きなの?」無邪気な顔で、変なこと聞くな、シオン!別にオトコが好きな訳じゃないよ!


「それなら……童貞さん、でしょうか?私達、優しくしますよぉ?」はい、清楚な見た目のラミィさんの、全く清楚じゃない発言です。

いえ、それも外れ!キチンと済ませてますから!


「それなら、何が問題なのかさっぱり分からんっ!

最早貴様の思惑などどうでも良い!

これは魔族のプライドの問題だ!

男なら覚悟をきめろ!

長女として、最初に私を抱け!!

女にこれ以上恥をかかせるな!!!」



ソフィアがすっくと立ち上がり、焚き火を回って僕の目の前に立つ。

そして、いかにも魔族らしい黒い革製のボンテージドレスを脱ぎ捨て、あっさりと一糸纏わぬ姿となった。

ただ、その瞳は、強気の発言や態度とは裏腹に、女性として男に裸身を晒す羞恥に潤んでいた。



「貴様、魔族は、抱けぬか?」


ソフィアが睨み付けてくる。

確かに魔族の中には、腕やら足やらの数が人族と違う者とか、肌の色が青や紫とか派手な者もいる。

でも、彼女達は、黒紫の艶のある髪と真っ白な肌を持ち、唯一人と異なるのは、頭の左右から突き出た、細く湾曲した小さな角だけだ。

おまけに、三姉妹とも驚くほどの美形だった。


魔族、と言うか、彼女達を抱くことに違和感はない。ただ、女性を抱くことに慣れてないだけだ。


僕がそう言うと、ソフィアは「これからは私を、飽きるまで抱け。」と言い放つ。



気付かぬ内に、言葉を交わすだけの時間が終わろうとしていた。




僕も立ち上がり、ソフィアの折れそうな細い腰を抱きすくめ、ゆっくりと地面に押し倒した……。


次回掲載は、2/20 0時を予定しております。

宜しくお願い致します。


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