[アングラ儲け話]合法ハーブのネットショップ
「合法ハーブは合法じゃありません!」論はお断りです。
日本は法治国家ですから法で規制されていないものは合法です。そんな合法な商品をネット上で販売するお手伝いをしていた時代のお話と、どのように終わっていったかを書き留めます。
今では脱法ハーブ/ドラッグ と呼ばれ強く規制されていますが、規制が強化される1-2年前はアングラな雰囲気がありつつも、中学生がタバコを吸うような感じで真面目な社会人が好奇心から手を出すといった空気がありました。
私はアングラに強い会社でネットショップ関連の仕事をしており、複数の合法ハーブ販売者さんとお会いしました。
いわゆるヤンキー/ジャンキー 丸出しの方と会う事はなく、日サロで肌を焼き、刈上げツーブロックな感じのマイルドヤンキー。稼いで成り上がりたいという、合法ハーブを商材として見ている起業人。そして素人系アダルトビデオを製作している怪しい会社が、新規の怪しい事業として選んだイケメン。
最後のアダルト業界の人が、かなりイケメンで印象に残っています。普通のナンパなら8割成功すると豪語していました。当然です、そのナンパした人をエロビデオに出演するよう説得するのですから、その前段階の普通のナンパなんて出来て当然なのです。
…渋谷にいるイケメンは危険です気を付けて。
さて、販売者側の人たちですが共通するのは「合法ハーブを常用してない」事です。
どんなものかと試用したことはあっても自分の趣味・依存性で利用する人はいませんでした。その点を疑問に思い尋ねたら「ラリってる相手なんて信用できないべ」、「こんなもん、使う奴がバカなんですよ」といった反応が返ってきました。
彼らは皆、ビジネスの付き合いとしては無茶を言わず、金払いの良い良い顧客でした。
合法ハーブの利益ですが、全盛期の中堅どころネットショップで月商200万といった感じです。利益率は仕入れ値により大きく変わりますが「5割を切るくらい」と説明されました。仕入れのツテとグレーゾーンな商売である事をクリアできるなら、素人でもできる美味しい商売であったなと思います。また、ネット販売で「ショバ代払え」といった類の脅しはなかったそうです。
さて、次にお話ししたいのは顧客、つまりハーブの利用者の方々です。残念ながら彼らに直接会ったことはなく、販売データからの推測や売り手側からの話になります。
合法ハーブの販売方法ですが、ピザの宅配のように直接届けるという手法もありました。特に夜のホテル街向けのサービスで、電話一本ですぐさまお届けという客が多い地域でのみ可能な手法でした。この宅配を利用するのは、いわゆる普通の方々が多いそうです。普段からハーブを利用している訳ではないので、当然手持ちなんかなく、お酒を飲んだ解放感と、セクロスの時に使うと凄いと聞いて好奇心から利用するというパターンです。
エロは偉大なり。そんなこんなで一般人にも認知されていきます。
合法ハーブで一儲け、そんな時代にも終わりがきます。その原因について端的に述べると次のようになります。
当局が本気で規制したから
ハーブが一般に認知され始めたから
世論が規制に向いたから
ハーブが原因の死亡事故が起こったから
アングラはアングラらしく陰に隠れてこっそりするべきなのに、多くの人に合法ハーブが知られ興味を持たれてしまった。出る杭は叩くし、表に出るアングラも叩かれる。合法ハーブの一昔前にマジックマッシュルームという幻惑キノコが流行り規制されたように、合法ハーブも規制されたのです。
しかし、幻惑キノコと合法ハーブの違いは、合法ハーブが様々な種類の化学物質であるという点です。ある1つの成分を「これは違法です」と規制しても、組成式を変えた別の成分を作成し新たに「合法」な商品を作り続けました。
このような違法認定と新成分のいたちごっこは1年近く続くのですが、包括指定という「類似成分もざっくりと禁止」という手法により終止符が打たれます。
このような法による規制が始まるとともに、サーバーへの締め付けも始まりました。「まだ」合法な商品にも拘わらず合法ハーブのネットショップは日本のサーバーから締め出されたのです。
日本のサーバーがダメなら海外です。東南アジアやロシア系のサーバーを利用します。しかしそれも数か月で締め出されます。この段階で当局の本気っぷりと、同業のネットショップも軒並み廃業している事がわかります。
これで白旗です。本気でやるならアフリカのサーバーとかありますが、商売の規模が先細りであることも考えると、これ以上は無駄である事を顧客に報告します。この報告を聞いた顧客は皆、素直に事業を畳みました。規制されるのは予定調和であり無理をするつもりはないと。
マジックマッシュルームが規制されても合法ハーブが流行ったように
合法ハーブが規制されても、次の何かが出てくるだろうと。
その次のなにかでまた儲けるさ、という言葉を残して。