表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/786

第91話「VS黒の騎士ブロード」

 何もかも身軽になって帰って来た始まりの街『ライデン』。最前線のギルドが新しい大陸に到着したようだ。人々は速く行きたい速く行きたい。みたいな感じで話題になっている。

 そんな中、そこで妙な噂を聞きつけその場所へ行く。


◆果たし状『黒の騎士ブロード』へ。お前と勝負をしたい、場所は闘技場で待っている。時刻は……。


 サキはしょりゃあもう摩訶不思議そうな顔で看板を見る。

「何これ、どっかの時代劇かな?」

 どうやら【最前線攻略組】ギルド【四重奏しじゅうそう】のメンバー黒の騎士ブロードへの挑戦状のようだった。

 一風変わったその果たし状は、むしろ周囲の笑いものにされていた。

「最前線組のブロードに勝てるわけないだろう」

「看板を立てるだけ無駄無駄、そもそもこの街には居ないって」

「可哀そうな人、きっとバカなんだわ」

 そんなことを聞きたくもない小耳に挟んでしまったサキ。サキは何か違和感を覚えた、ズキリと頭痛がする。それはオーバーリミッツから螺旋弾を食らった時のことを想いだしていた。

「何か……、ひっかかる……」

 というわけで、どこの誰だか知らないプレイヤーの所へ行く。黒いコートに身を包んだプレイヤー。

「あの……、えっと。とりあえず顔を見せてくれませんか?」

「……、お前に用はない」

「あいやでも、……私ブロードさんのフレンドだから呼べるし……こんな古典的な。とりあえずお名前だけでも……」

 言うと、少年は顔をピクリと上へと上げる。

「……ッ……エイジ、エイジだ」

「え、は……えぇ!?」

 摩訶不思議な事だが、それはちょっと前まで自分が居た立ち位置のように思えた。たぶん2週回ったぐらいの立ち位置だ。1回目はエイジさん本人、2回目はどこかの悪役のボス。オーバーリミッツの螺旋弾がそれを脳裏に強く焼き付かせる。

「なら、呼んでくれるのか?」

 戸惑うサキ。どうすればいいか解らなくなって混乱する、あたふたする。会っちゃいけない相手に会ってしまったようなそんな動揺だった。

 全身が固まる、冷や汗が流れる。その時。

「呼んだか」

 ブロードがやって来た。サキは慌てる。

「や! 呼んでない!? 私は何もしてない何も……」

 ブロードはサキを無視して続ける。

「VRの中じゃ俺に勝てないことは明白だろう、エイジ」

「それでもだ、それでもお前に俺は挑まなきゃならない」

「良いぜ、それでお前の気がすむってなら相手になってやる」

 引っかかっていたものが繋がって、むしろわけが解らなくなって混乱する彼女の姿がそこに居た。


 ――……そして……決着がつく。一瞬だった、一瞬で終わってしまった。


 ブン、と剣をしまう音が響く。

 唖然としていたサキ、何かが。また何かがひっかかる。

「ブロードさん、ちょっと質問良いですか」

「ああ、なんだ」

「あなたは、今エイジさんに勝った。……ですよね」

「あぁ、そうだな。観てたろ?」

「あなたは、私の知らない所でゲームマスターを倒してますよね?」

 何を言っているのか解らなかった、支離滅裂な質問を投げかけていることも解っていた。

「……」

「あなたは、私の知らない所で妖精を倒してますよね?」

「……」

「あなたは、私の知らない所でオーバーリミッツと戦って負けましたよね?」

「……」

 そして決定的な一言を告げる。

「あなたは、私の知らない所で。私のNPCを倒していますよね?」

 どこがどうなってそういう思考に繋がるのか解らなかった。だが黒の騎士はちゃんと言う。

「そうだ。俺はこのVRという世界を一方通行で、諦めずに歩き続けた」

 しばらく間があって……白の魔法剣士は言う。

「……、なら。私はやっぱり、あなたと白黒つけなければならないと思います!」

 決意が、覚悟に変わった。接待ゴルフをするつもりは毛頭なかった。

「この勝負、負けられません! あなたに、黒の騎士ブロードにデュエルを申し込みます!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
・よければブックマーク、評価、感想などよろしくお願いします!
・こちらも観ていって下さるとありがたいです。
名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ