第83話「防衛戦~第2形態~」
簡潔に結果だけを話そう。北のデブリポイズン・ギドラドラゴンの【尻尾から蛇が生えてきた】。鷹の目ではない事だけは一応念押ししておく。
流石に動揺し、混乱しそうになったサキだったが頭の中を冷静に。目の前の事に集中することだけに専念する。リスクとスズとブロードとレイシャがその尻尾の蛇に物凄い速さで翻ろうされている。はっきり言って滅茶苦茶速い、目でも追えないし体も初動を封じられる。もちろん【サキ1人では追いつけない】スピードだった。
(あの尻尾切って焼いて食ったら美味しいのかなあ?)
とか心の中で念じたが「いやいやネーダロ!」というツッコミしか出てこなかった。そんなことするんだったら【バナナを食ってたほうがまだましだ】という思考にとりあえずは落ち着いた。
バナナは美味いかと聞かれたら「いや、別に普通……」というテンションの低い回答しか出来ない。そんな【割とどうでもいい】思考をゴミ袋に捨て、意識を再起動する。「なぜ私はこんな思考をしているんだ……」という謎だけを残し、戦闘を再開する。深く深呼吸をしブレスする、この北のドラゴンとの1戦ではサキだけがそれを出来る特権でもあった。
「心を無にし、雑念を捨て、集中しろ。集中……集中……!」
流されるな。心を鬼にして前へ進め! それだけで希望が生まれるんだ!
「よし! いくぞ! 【雷速鼠動】!」
天上院咲は右手の剣に気持ちを込めた。サキは機動戦機の肩に乗っている、その機動戦機はジェット噴射で浮いている。だから下のゾンビが這い上がって来る事は無い。
「ギジャアアアア!」
モンスターというより怪獣は体内を毒々しい緑色の発光が口の方へと集まってゆくのが解る。
――瞬間、怒号と共に毒のレーザーがサキ達や豪華客船ミルヴォワールを襲う。
キュイン! ズドン! サキ達は大きく吹き飛ばされ、豪華客船の張り直した多重魔法障壁も破壊され、船に直撃した。
『方位北! 第1階層から第3階層の大型ガトリングガンが破損しました!』
サキは余裕がもうほとんどなくなり焦ていた。本陣が攻撃されたのだ。やっぱい焦る。
「あーもう下のゾンビ達で無双とかしたかったけどそれどころじゃないね!」
「のんびりしてられないな!」
「よし! 一気に型をつける! 必殺! 超天元突破! 巨神殺し!」
巨大な雷の斧が北ドラゴンを襲う。もうHPは4分の1減った。
「これでトドメだぁー! フォトンレーザー!」
エンペラーが乗っている、機動戦機ノアのコアから光輝く粒子が集まり射出! 青白い衝撃波と共に波動砲が炸裂する。
「ギジャアアアア!」
流石にこれらは耐えられなかったようで、北ドラゴンはポリゴン片となって爆発四散する。
「やった! 勝ったー!」
北方面のゾンビ達も消えてゆく。
ピロリンと【アイテムがドロップしました】の表示が出た。
◆モンスター撃破報酬アイテム
魔術師の奇跡書
種類:アイテム、合成素材
効果:岩属性、付加した素材に対して【鈍足】効果付加。
加工例:軽量版オールド・ミラーシールド。防御に成功した際に相手に【鈍足】効果付加。
科学者の理論書
種類:アイテム、合成素材
効果:雷属性、付加した素材に対して【加速】効果付加。
加工例:ネオライト・フェザーソード。通常状態で自身に【加速】効果付加。加速は4段階まで加速可能。
エレメンタルオリハルコン
種類:アイテム、合成素材
効果:風属性、【妖精の加護】付加。【巨大化】【縮小化】無視の貫通効果。
巨大化による攻撃力アップや縮小化による回避率アップを無視して攻撃が当たるようになる。
相手の巨大化縮小化もリセットされ通常状態に戻る。
加工例:リセットジェットブーツ




