第81話「防衛戦~フェーズ2~」
ズガン! とドラゴンのアッパー攻撃によって空中の更に上空へ吹き飛ばされるサキ。落下中の遊泳時間が発生したので。のんきにも【鷹の目】を使ってみた。
鷹の目、ボスキャラとはすこし離れた豪華客船の方を上空から見下ろす。ギルドランクA以上の魔法剣士のジャンルしか見る時間が取れなかった。空中遊泳の数秒視界ジャックじゃ物理的に無理があった。だが、だいたい学習できた。そして短くひと言。
「なるほど」
今までで1番速いタイミングで、1番ジャンル的に正確で、1番VR戦闘に浸ってるプレイヤー【最果てのしたっぱ】さんの行動を視界に捕らえて学習できた。
「あれ? ちょっと待って【最果てのしたっぱ】Aさんが【ゾーン】入ってるって。ヤバイってアレは」
その【ゾーンに入った最果てのしたっぱAさん】は【ゾンビガトリングガン】の【第3階層の北方面】をズドンと一掃してしまった。
「……あれは、やばいって……私は、天上院咲は関わらんとこ」
何故か固く誓った。まあどっかの誰かさんみたいに進化とか出来ないんですけどね、人間やめれないです。【最前線攻略組】はやっぱり色んな意味でめんどくさかった。
硬直状態だった【鷹の目】効果を解くサキ。
「ぬ、この自由落下。タイムラグがあるかな? でもジェットジャンプに頼り過ぎるのもなぁ……」
てことで、自分で思考錯誤してみることにした。さぁ、実験を始めようか。
一緒に自由落下してるゾンビを対象に技のテストすることにした。
「【太陽・大回転剣】だぁあー! 1回転! 2回転! 3回転! 4回転! 5回転! 6回転!」
空中で体と思考がグルグルと6回転して、大きな硬直タイムが発生した代わりに。【現実が追いついた】。
技が終わってから気づく。
「技は覚えられたけど、こんなことやる必要あったのかなぁ?」
サキにはその効果のほどは検証しようがなかった。いつも通りの、のほほんタイムが発生した。
「キシャアアアア!」
デブリポイズン・ギドラドラゴンの火炎放射がこちらに迫って来た。すかさず軽量版ミラーシールドを構える、物理技も特殊技も反射させる盾はこのぐらい屁でも無かった。
キュイイン! と【力】を吸収し火炎放射を跳ね返す。ギドラドラゴンは半ゾンビ状態なので炎での攻撃は有効なようで効いている。
「キシャアアアア!」
「よし! このままぁ! 必殺! 超天元突破! 巨神殺し!」
ギドラドラゴンに対して、巨大な雷の斧を落雷のようにふり抜いた。決定打だった、これ以上ないぐらい完璧に。ドラゴンのHPを半分にまで減らせた。
と、その時。ピコンとステータス画面からフェーズ1終了の音が響いてきた、10分が過ぎたのだ。
「お、もう10分過ぎたのか。これなら案外順調に行けるかな……?!」
そう思っていた矢先、休みも入れず。間髪入れずフェーズ2が開始される。ゲーム的なアナウンスがプレイヤー全員に流れる。
【北のモンスターとは別に、東・西・南から新たなデブリポイズン・ギドラドラゴンが接近してきます! 迎撃してください!】
「ふぁあ!? さっきの4倍になった!?」
もはや完全にサキ一人の手で処理できる領域を超えていた。
「「「「キシャアアアア!」」」」
東西南北からゾンビの高波が押し寄せてくる。八方塞がりだった。
【最前線攻略組】の戦闘がさらに激しさを増す……。