第80話「防衛戦~サイクロン~」
デブリポイズン・ギドラドラゴンの手前で。スズとリスクにサキは合流した。リスクが「連係行くぞ!」と叫ぶ。女子二人は「「おーけー!」」と声を合わせる。
リスクが空気を圧縮させる。
「ビックバンバースト! 次! リセット!」
魔法障壁で防がれて届かないが、スズが月の光を吸収し放つ閃光。
「月閃! 次! リセット!」
負けじとサキの多属性剣劇の連続技が乱舞する。
「森羅万象の円舞! トドメだぁあー!」
バギン! と魔法障壁の割れる音がした、魔法障壁は自然回復するので今が攻撃時である。と、そこにロケットランチャー。≪機動戦機ノア≫のサブマシンガンが火を吹く。
「おーいサキ! 俺を忘れてもらっちゃ困るなー!」
「ギュウオオオオオオオオオオ!」
「エンペラー! 忘れてた!」
「えー!?」
「だって今の今まで喋らなかったからさー!」
エンペラーはサキと同じギルド『放課後クラブ』のメンバー、仲間である。
と、そこで反感を買ったのか。ギドラドラゴンはゾンビ達を風で巻き上げて【ゾンビサイクロン】を作る。
サキは何処からツッコめば良いのか解らなかった。
「シャーク・トルネードもビックリだよ!?」
その【ゾンビサイクロン】は巻き上げるだけではなくまるでゾンビをマシンガンのようにズドドドド! と乱射して豪華客船を打ち落とそうとしてきた。防御と攻撃が一体となった【ゾンビサイクロン】である。
「気にすんな飛び込め―! あー飛ばされるー!」
「バカー!」
「フォトンブレードで斬っても霧がないぞ!」
「天候を味方にしたのね! いや天候がゾンビ?」
海は一面走るゾンビ一色。風で巻きあがるゾンビ、雨落ちるゾンビ。マシンガンゾンビ。滅茶苦茶である。豪華客船の方はまたもや大量のゾンビで埋め尽くされた。甲板もゾンビだらけである。それを冒険者達は迎え撃つ。
サキが苦笑を浮かべて誰に言うでもなく大声で怒鳴る。
「こ、こりゃあ時の都『京』が苦戦するわけね!」
エンペラーがロボットの中からメニュー画面でサキに付け足しする。
「ボスキャラもパワーアップしてるがな! ついでに俺達プレイヤーもパワーアップしてるぜー! 行くぞ! 機動戦機隊前へぇー!」
どこのだれか知らない冒険者達が「おぉー!」とロボットに乗って、マシンガンを連射しながら特攻を始めた。その数8機。
「ファイアー!」
「吹き飛べ―!」
「だらっしゃー!」
ズドンバコンドカン! とミサイルの嵐が舞い散る。だが【ゾンビサイクロン】の風を突破できなかった、否。破壊しても再生してくる。
「これじゃ霧が無いわね! よっしゃ【雷速鼠動】!」
雷そのものなったサキは遠雷のごとく【ゾンビサイクロン】をくぐりぬけ。
「よう!」
とデブリポイズン・ギドラドラゴンの顔面正面で話しかける。
「ギュウオオオオオオオオオオ!」
何故か話が通じた。何を言ってるか解らないがこのモンスターは喜怒哀楽で言うと、喜の声色を放っていた。




