第731話「承・Q.E.D.~再証明終了~」
「これにて私の再証明は終了します。咲ちゃんは再び冒険に出てもいいです。何か他に知っておきたいことってあるの咲ちゃん?」
桃花先生は問題集に対しての解答集を提示し終わった。
咲は再確認するように言葉を反芻する。
「以上を持ちまして。変態うさぎが幻想入りの1番目から28番目までの問題集は全て解けます。という証明終了宣言と受け取って良いの? この方程式で問題ないと」
桃花先生はくたびれかけた女のように返答する。
「そうしないと締まらないでしょ? 時が動き続けることを想定してなかったけど、咲ちゃんのログや、最果ての軍勢の陰陽五行論。四重奏の件はまだあるけど、とりあえず1から28までは問題ないことを証明しましたっていう解ですね」
それは〈問題の3話〉に対する解答だけでは留まらず、この先の終わりまでを膨大な文字数と紙とペンが必要だった事を意味する。
果てしない思考修正の旅だった。
勿論、一番の功労賞は天上院咲である。
天上院姫はGMとして全てを見通してから気長に言う。
「長かったなあ~~~~……」
「うん、長かったけど自然数としては終わったよ、29からは知らない」
それだけでも凄い功績のように見えるのは、きっと目に見える成果物が目の前に有るからだろう。
咲はこれまでの桃花先生の事を労いながら。この定義に何か名前を付けたほうが方が良いんじゃないかと、提案する。
「名前が理論になっちゃうのなら〈湘南理論〉とかになっちゃうのかな?」
姫はソレに対してツッコミを入れる。
「それを言うと内容の殆どが〈天上院理論〉で出来ていることになるけど……まあいいか……」
100万文字を超えたあたりからその文字数を数えたくなくなってきている3人がいる。ブロードは事の顛末を見守ったが。まあ本当に皆頑張ったと思う、というのを肌で感じる。
「お疲れ3人とも……、何かさっきまで咲とバトルするとか言ってたけど。一回ログアウトするか?」
GM姫は号令を出す。
「うん、一回全員ログアウトでもいいかな。大型メンテナンスでも良い」
〈桃花理論〉の証明終了と同時に、大型メンテナンスで一回インターバル。良い区切りだろう。
〈運命の糸〉と〈雲の王国ピュリアの性質〉の再定義が終わった事による証明終了により、一回全員ログアウトして解散となった。
◇
現実世界、天上院家。
VR機『テンジョウ2』を頭と手から外して深呼吸する咲と姫。
「終わったか……」
「うん、終わったよ。これでまた想定外が出たらもうお手上げじゃな……」
「流石に想定範囲を地球全土まで拡張した後だからね……これ以上の予想外はゴメンだわね……」
咲はトバッチリに対して呆れとため息で返す。
「それでも地球は回ってるってな……」
何が言いたそうだが、自転と公転は続く訳で、天気も変わる。
「まあ〈安全装置〉? がちゃんと機能することを祈るしか無いよ。誰かが手で留めている状態だとしてもね……」
とはいえボツネームも勝手に動くこの状況下では何が起きても不思議ではないが、何だかんだで何とかなるような気がしないでもない。
「体は大丈夫か?」
「ん~……よくわかんない」
今はとにかく一回休憩して、心と体を休めようと。そう思った。
「すう、……はあ……」
一休み&一呼吸、深呼吸してから思った咲は一言間を開けて……。
「ドーナツ食べたい」
そんな感じで日が沈んで就寝タイムとなった。皆安眠した。




