第730話「起・再定義確認」
第2の街雲の王国ピュリア。
「さて、〈2つの運命の糸〉と〈3つの浮遊城〉の再定義についてだが……」
「内容が複雑化しちゃったけど、元ネタが判ればこっちのモノだね」
「ん~どっちも同じぐらい優先度高いなあ~……」
時間と空間の話なので内容が真っ二つに割れている。
桃花がゲーム画面とも現実画面とも区別がつかないウインドウを開きながら。GM姫に確認をする。
「思考して設定を繰る前に聞いておきたいんだけど、もう敵襲とか奇襲はないよね?」
「両方想定外のゲームシナリオだからな、ゲーム進行中ならともかく今は調整中……、ゲーム盤が止まっている状態での確認作業だ。その状態で攻撃してくるなら基本ルール違反だよ」
仮に敵が居たとしても情報としては両方の城を守り抜くか、大事な人達を守り抜くかに双方注力しているはずで、今更暴れ足りない奴らも居ないだろう。
皆、陽動とか露払いとかストレス霧散をしてくれている。
四獣王ジゲンドンとか五獣王命王蟲の件はあったが、今は大人しいものである。
「じゃ、まずは足場固めってことで空間から行きますか」
始まったのは〈3つの浮遊城〉の再定義からだった。内容は簡単、この場合名前だけ固定すればあとは終わる。
第1浮遊城ヒルド、第2浮遊城リスク、第3浮遊城サキ。
命名者は天上院姫、その場の物語で居た主人公名の方があとで忘れた時に思い出しやすいから、という理由だそうだ。
再定義としては、これらの浮遊城は日本語どころか多言語でその意味や姿形、色彩が補強され続ける所、結界外で大本は一緒だが解釈の仕方が変わること。
なのに元ネタは自分達で、この場合ゲームマスターだが、その者が手を加えない限り元ネタは変わらずあり続ける。
そして、マルチバース。並列世界や多世界線では、1本の線に今後は〈3個浮遊城が存在する〉という定義確認。
次は運命の糸、切ったりくっつけたりすることが出来る。色々な時間軸の呼び名があるが、ここでは〈元の世界の時間軸〉と呼ぶことにする。この時間軸は1次創作と2次創作が含まれるが、ここは意識的に創作したので問題はない。
問題が有るのはピンクスズ、蒼スズちゃんが冒険した。簡単に言うとリレー漫画の時間軸の定義はしていない。
基本的にリレー漫画自体をやることは問題無いのだが、他者の意識や、この場合、
〈徒〉の介入が多かった時系列の連結体、チェーンであったこと。
吸血鬼大戦の事を切り離して考えていた原作者、それを切り離さないで繋がっていると観た徒との衝突など、中々見過ごせない不純物の多い現象だったことがうかがえるが。徒らは原作者より灼眼のシャナを重視した、それが正しいと思い原作者を軽視した。などのことからコントロールが効かなくなった事が挙げられる。
そして、不都合やマズイと思ったものは非公開やデータ削除なども勝手にやる。
などなど問題が多発した事から、企画主は自粛する所まで来ている。
もちろん、徒? との共存を思い描いて遊んでいたスズちゃん達には何の落ち度もない。問題だったのは、それを自分達がコントロールしていることを知らなかった事。
誰も教えてくれなかった事。アドバイスも無く、1人だったこと。など様々な負の連鎖があげられる。
「まあ桃花の祭りも楽しかったしスズちゃんの祭りも楽しかったが、毛色が違うもんな」
と、桃花は今は思う。
トドメに灼眼のシャナの読書内容が、2巻あたりで停止していたこと。その謎の難解さが拍車をかけた。
咲は一つの解答を桃花に投げかける。
「つまり、灼眼のシャナっていうデッカイチューブの中にピンクスズと蒼スズちゃんの時系列線を入れ込んで、桃花さんの運命の糸に繋げば、徒も言うことは聞くので問題解決するってことですか?」
「ん~……理屈ではそうなるのかな?」
と、GM創造神は言う。
桃花は咲の返事にただ頷く。
「ただ、基本的にあいつら【人間じゃない】から……、スズちゃんズが活動するとなると人間は窮屈かもしれない」
だが繋げられるという判断だった。
「う~ん……あとは〈またね〉から〈おかえり〉に繋げれば良いのか」
桃花先生は頭を使って、普段は緑色の運命の糸を繰るのだが。【この時だけは紅蓮色に運命の糸を変えた】、念の為に〈AZ型の運命の糸〉だとも再定義する。
アリスと桃花との紅蓮色の運命の糸はこれで繋がったので。
同じように、桃花とオーバーリミッツの紅蓮色の運命の糸を繋ぎ治す。
この再定義確認でBIG4、信条戦空、湘南桃花、真城和季、天上院咲。そしてスズちゃんズの運命の糸は〈始まりの物語から終わりの物語までの時間帯〉まで耐えられる耐久力になるはずだ。今現在の理論的にも実践的にも問題はない。全てをまとめる必要はない、重要なのは動画の範囲内、時間軸の有る流れの中だけだ。
「うん、これなら1番から28番までの動画内までなら耐えられる運命線かな」
あとはGM姫の最終意思決定で、これらの再定義は物語内に組み込まれた。




