第725話「結・時空航行術用GPS〈星詠み〉」★
豆知識
名前◇時空航行術用GPS〈星詠み〉
希少◇SSR
分類◇機巧星系「7つの宝輪」_最果ての軍勢_GPS
解説◇時空移動が難しすぎるので、ギルド『最果ての軍勢』が最古来歴1年に作った。
太陽と月と7つの巨大人工衛星、合計9つの星から〈情報〉を多角的に受信し、自身の時間や位置を正確に測る為のスマホ型の機械。分類としては小道具。今後一般人にも普及させるつもりだが、出来上がったばかりなので持ち物として所持している人は数えられるぐらい希少性が高い。長くなるので省略するが。本来、衛星は光と形と色と影しか表現できず、一般人には目視で確認できる〈星詠み術〉はそこまでだが。このGPSを使うと、人工衛星から送られてくる〈電波と念波〉からより精密&高度な〈情報〉を読み取ることが出来る。
その7つの衛星情報と自然物である太陽と月の情報という9つの情報を多角的に受信&処理し所持者に提供するのが、この時空航行術用GPS〈星詠み〉である。
1つの衛星につき基本的な、緯度、経度、高度とプラス、ファンタジー特有の特殊な事象の情報がGPS〈星詠み〉が有ると理解が容易になる。
所持者は現在のところ、まずBIG4。信条戦空、湘南桃花、真城和季、天上院咲。GMである天上院姫、現実世界で天上院家を守るための警察官、風見正義。それと、多想世界での咲のマブパートナーである機械種のアセンブラ。必要最低限であるが以上の7名である。
◇
《咲は、EWのカレンダーと時空航行用GPS〈星詠み〉を手に入れた!》
咲は姫からカレンダーの画像データウインドウとGPS機械を手渡された。姫はそれはもう説明がしたくてしたくてしょうがない顔でウズウズしていた。メッチャ考えたらしく、自信作らしい。
「じゃあ説明してもらおうかしら、お姉ちゃん」
「おう! 待ってました!」
何せ姫は5つの情報を一気に出したかった所を、1つずつに分割して提供するのだ、辛抱出来ない姫にとって、もったいぶる体の身震いが止まらない。
姫は咲にオタク特有の早口で説明してくれた。
まず抑えておきたいところは。このEW世界のカレンダーは13ヶ月有るということだ、基本的に時間速度が等倍の時……つまり加速度も調整できるのだが、現実世界の時間速度と同じ場合。28日間で1ヶ月とし、13ヶ月で1年間の時が過ぎるカレンダーとなっているファンタジーになっている。つまり28日間は固定、それが13回繰り返され、終わったら1年間と換算される。
曜日は月火水木金土日曜日……ではない。
そもそも現実世界と回っている星が違い、その名称も違う。
太陽と月は自然放法則に従いそのまま、自転と公転を繰り返すのだが。他の惑星が違う。否、そもそも惑星ではない。
正式名は〈巨大人工衛星〉……、そう人が人工的に作った星なのだ、それが曜日となりカレンダー化されている。何故か?
理由はこれまたスケールの大きな話で。ギルド『最果ての軍勢』がこの多想世界でGPSが使えない、という名目で。最古来歴1年に作った。とか常識外れな芸当をやってのけた。
GPSとは、グローバル・ポジショニング・システムの略称で。それの異世界版であると思えば良い。
まず、惑星と衛星が必要になって。目視で確認できる惑星と波動を観測できる衛星が必要だったのだが、それを両方作るのがめんどくさくて、なら1つに合体すればいいじゃない! という非常識な発想で、惑星レベルのドデカ人工衛星を作ってしまった。……1年間で。
というわけで、太陽と月と7つの衛星の説明に入ろう。
機巧星系「7つの宝輪」
7曜日の総称。最果ての軍勢が最古来歴1年から出現させた巨大人工惑星、これらが現代のカレンダーとなっている。地上から目視で見える惑星。そしてGPSとしての役割も持っている。
風星、花星、駒星、紅星、数星、夢星、心星、とある。
それぞれからレンダーの風曜日、花曜日、駒曜日、紅曜日、数曜日、夢曜日、心曜日。となっている。
次に各星の説明に入る。
太陽と月はそのまま、自然の物理法則で動いている。そこは自分で調べて、と姫は言う。
太陽、自転するし公転もする。
月、自転するし公転もする。
風星、EW地図上の北に位置する衛星。自転するが公転はしない。
花星、EW地図上の南に位置する衛星。自転するが公転はしない。
駒星、EW地図上の西に位置する衛星。自転するが公転はしない。
紅星、EW地図上の東に位置する衛星。自転するが公転はしない。
数星、EW地図上の中央に位置する衛星。自転するが公転はしない。
夢星、この衛星も特殊で、主体性の有るキャラと同機している。現在は湘南桃花だが、この人間の天空に〈有り続ける星〉として設計されている。
心星、この星も特殊で物語の主人公と同機している。つまり現在の天上院咲の天空に〈有り続ける星〉として設計されている。ある時は信条戦空だったり、またある時はオーバリミッツだったり、現在は天上院咲だが時代や物語を跨いでも主人公と同機し見え続ける道標の人工衛星なのだ。
再度説明するが、本来、これらの衛星は光と形と色と影しか表現できず、一般人には目視で確認できる〈星詠み術〉が存在する。これは最古来歴1年、今現在歴1年、最未来歴1年でも機能している。
そしてこれらの惑星だけでも多機能で、元来、白黒・モノクロしか観測出来なかった星、という物体から新たに〈色〉まで観測できるようになった。
つまり一般人でも風星、花星、駒星、紅星、数星は目視で自分の居る位置から、光を通して形を変え、色を変え、影を変えて衛星が表現し、人々に天空から情報を与えてくれる。
ここまでは通常の巨大人工衛星の見方だ、一般人でも肉眼で観測出来る。
それらを踏まえて次はGPSの説明。
先に話した通り、現在9つの星の情報を受信し、読み取り解析して情報を提供してくれるのがこの〈星詠みGPS〉だが。太陽も月も7つの衛星もファンタジー的な事象・性質・星質が発生する。
太陽と月は判らないが、人工衛星である7つの星からは〈電波と念波〉という波動をこのGPSからは観測・機械があれば読み取れる。
具体的に言うと、電波はそのまま電話機が出来ること全て出来るし。念波はエスパー、超能力で出来る事が全て受信出来る。他にも機能があるかもしれないが、現在具体的に説明出来るのはそこまでである。
咲は、長い姫からの説明を聞いた後に自分なりに空航行術用GPS〈星詠み〉の使い方をまとめる。
「つまり、例えば。これがあれば東西南北中央の位置・天候はもちろん、夢星の情報を受信したければ桃花先生に実際に会ったり聞かなくても、体調、心情、行動なんかも擬似的に読み取れる……て認識で良いの? 心星は今、私と同機してるって事は、私の情報を空から読めるって事よね?」
咲は一瞬「私のプライバシーは?」とか思ったが、先に姫が言う。
「皆の道しるべになるし、何よりこれを使えば〈守れる〉ってのが大きいかな。多想世界での話だから、咲の現在のログイン時間、15時から21時まで光る星って事になる。放課後クラブだしな。これが9つの星の内の1つの情報って訳さ!」
「……、なるほど1個の星だけじゃ心もとないけど、これだけ情報が空にあれば他の一般プレイヤーも東西南北以外の道標に成り得るってわけね……本当に考えられてるわね……」
何で数千年間も巨大人工衛星を維持出来てるねん! とかいう最果ての軍勢のチート能力はこの際考える必要は無いとしても。それが可能ならば出来るカレンダーだよね。という事は解る、非常に考えられた内容だった。
「ふむ、これがあれば時空を超えても迷わなく成るって認識で良いの?」
「いや、たぶん迷うと思うけど。迷った時の道標になる。が正しいな」
頭が良い……というか頭の回転が速い天上院咲は理解できたので応用として別の話をする。
「例えば、現在書いてる〈報告書〉あるじゃん? その情報は星だとどう映るの?」
姫は真面目にこの先起こるであろう回答を示す。
「咲と同機してる心星のGPS情報を読めば、リアルタイムであやふやながら情報が解る。桃花先生と同機してる夢星のGPS情報を読めば、報告書の【結果論】だけ読み取れる、つまり完成した報告書までじゃな。それらを照らし合わせて今後の行動をどうするかはプレイヤーに委ねられる」
咲のため、というより皆のための星とカレンダー何だなと言うことが姫の言葉から読み取れた咲。
「そっかー、つまり一般人は今のところ〈光の星〉までってことかー」
「まあ現実世界・多想世界の全員にこのGPSあげても良いんじゃが。出来上がったばっかりじゃし、不特定多数過ぎて一気に量産はリスク大きいなって思ったのも事実じゃ」
さすがギルド『最果ての軍勢』、やることのスケールが違うな、と咲は思った。




