第722話「起・韓紅の星王」
現実世界、西暦2037年11月14日19時30分。
多想世界、最古来歴600年、第2の街雲の王国ピュリア。
VSバルバトス戦は激闘を繰り広げていた。
咲と姫、アセンブラとトレントは身体能力だけでバルバトスを抑え込んでいた。
「ホウ……身体能力だけでここまでやるとは……! なかなかだなぁ!」
改めて、こちら側はスキルを使用するとどこかの時空へランダムで飛ばされてしまう、それの対策はしたが咲達こちら側はスキルが使えない事により決定打に欠けていた。一撃必殺の決定打が無いのだ。
《ピンポンパンポン! 運営により、体質のアップデートが入りました》
前もって予習・練習しておいた体質相性の実装をこのタイミングで聞く。
バルバトス・ダイスロールの体質は元滅。
天上院咲の体質は文法。
天上院姫の体質は環境。
「何だあ? このマークはぁ~?」
バルバトスはいきなり現れた体の×印のアイコンマークを知らない。
「よし、体質が実装された!」
咲の体質は文法、姫の体質は環境。アセンブラの体質はAI、トレントの体質は自然だった。
バルバトスの特殊効果によるスキルが使えない状態はそのままに。
文法と環境の体質攻撃は等倍。自然体質の攻撃は無効に、AIの攻撃は抜群になった!
「アセンブルくんの攻撃が有効だよ! そのまま押し切れ!」
「ぬう!? 何だ!? 急に体が痛みを感じるようになった!?」
これならあともう一押しで倒せる! そう思った矢先に……!
唐突な、敵側の無慈悲な野生の援軍がやって来た。
《四獣王ジゲンドンが現れました!》
四獣王ジゲンドン、体質は時空。
「ビヒイイーーン!」
とっさに出てきた大怪獣に対して、慌てて姫はタイプ相性表を見る。
「ヤバい! 咲の文法攻撃は時空に対して無効だ! わしの環境は効くが!」
「マジで!? じゃあジゲンドンはお姉ちゃん相手して! 私はバルバトスを抑える!」
同様に、自然体質のトレントの攻撃は時空のジゲンドンには等倍で当たる。
「咲とトレントはジゲンドン! わしとアセンブラはバルバトスじゃ!」
「おう! わかった!」
2対1の2グループにとりあえず分かれたが、いきなり圧倒的不利になった。
と、その時!
「ギイイイイイイイガアアアアアアアゴオオオオオオンンン!!!!」
けたたましい爆音の咆哮が鳴り響く。
《四獣王ゴッドジーラが現れました!》
四獣王ゴッドジーラ、体質は全王。
「げえー!?」
「また2匹でたー!?」
四獣王ゴッドジーラ、どういう理由や経緯があるのかは知らないが、全身が氷漬けのまま動いている。
フリーズボルトとコールドフレアを両方撃てるような背格好だった。
「おお! アレが我らが神! ジゲンドン様じゃないか! ハハハハ今日は何と愉快な日だ! その上ゴッドジーラまで見れるとは! 時空王と破壊神! どちらが強いのか!?」
バルバトスは私達放課後クラブ4人は眼中に無さそうである。
いきなりジゲンドンが出てきて虚を食らったが、ゴッドジーラが出てきてくれたのならば話は別だ。
「咲、さっきの通りバルバトスに集中しよう! ジゲンドンはゴッドジーラに任せるんじゃ!」
「わかった!」
再び4人体制でバルバトスを迎え撃つ姿勢に入った。
「何をしようと無駄だ、破滅は避けられん!」
咲は七人の侍のような、長い間を使った。
そして目覚める、目覚めの力だ、最悪の結末を回避するために眠っていた力が力を手助けしてくれる。そして咲は言う。
「どうかな? だいたい解ったし、星と時間の力……星王の力、今ここで使わせて貰う。あんたとの運命は今日この場で閉店だ!」
「ふん、何を血迷ったか! 未来の運命は変えられない! 私にプレイヤーの攻撃は通らない!」
「じゃあ古い言葉を教えてあげるよ! ルールは破るためにあるってね!」
言って、天上院咲は真昼ノ剣と真夜ノ剣の星の記憶を開放した。
「文法型の心氣……! 〈韓紅の星王〉!!!!」
ゴ! と力の本流が流れ出す!
それは、表と裏、過去と未来の力を合わせた星の力だった。
付け加えると、トリックルームを使った時間差逆転の秘技だった。
「なに!? この私が!? プレイヤーごときに痛みを!」
瞬く星の熱量と共にキラキラ輝く韓紅色の残光の熱光線をバルバトスに浴びせる。
「あんたに付き合ってる暇はないんだ! さっさと消えろー!」
「ぬおー!? この私が!? こんな所でー!?!?!?」
バルバトスは訳も解らぬまま、星の力によって――消えた。
バルバトスが消えたことを察したジゲンドンは状況が不利だと察知した。
ゴッドジーラも「今回の所は見逃してやる」と、喉を鳴らして言っている。
お言葉に甘えるかとばかりに、四獣王ジゲンドンは時空を歪ませて姿を消した。
「お、終わった……」
1つの運命の決着が、終わりを迎えた。




