番外編66「桃花の本格的な治療②」
ある日の放課後……。
「〈時を調律する心臓〉を起動してから5時間しか眠れない?」
「うん、何か根本的に設定ミスなのかな? 確かに5時間寝て回復はするんだけど8時間睡眠じゃないから、いっつも寝不足なの」
天上院姫と湘南桃花の会話はいつもの場外乱闘だった。
場外乱闘が常習化しているのは良くないが、こっちは緊急性が高かったのでしょうがないのだ。
「ちなみに何時から何時?」
「22時から3時の5時間だね~自然に起きるの……」
なるほど、午前零時前にはちゃんと寝てるが、起きるのが早くなってる状況か……。
「たぶんそれだと、時間と空間に体内時計が引っ張られてるんだろうな、動画の」
設定上、〈回復トリガーの設定可能。〈睡眠後昼間の12時までに〉徐々に全回復など条件設定可能に。〉と設定されていた。
「だから……、8時間就寝しないと100%回復しないってカスタマイズしないと寝れないんだろうな。具体的には、就寝後1時間で12.5%、世界の存在の力が回復しする。みたいな、これなら8時間で100%だ」
だから回復トリガーの設定はこうだ。この場合午前零時も昼間の12時も関係ない。
〈回復トリガーは。就寝後1時間で12.5%存在の力が自然回復する、つまり8時間睡眠しないと100%存在の力は回復しない。回復内容は存在の力、復元の力、体力・精神力、経済力、その他もろもろだ。射程範囲は世界全体〉
「こうすれば、8時間睡眠を最優先とし、時間と空間も100%回復するみたいな感じ。5時間睡眠なら62.5%の回復だな。ちゃんと寝ないと100%回復しない、と設定すれば普通は8時間寝れるだろ」
「これでちゃんと寝れるかなあ~?」
「このルールだとちゃんと寝かさないと困るのは世界の方だから、桃花のせいじゃない……まあ1個人の運命共同体なのは変わりないが……もうちょいいじくるか」
いじくるのは桃花というより、双矢鏡の構造上の設計だ。
桃花は作者と重ねて被ってるという裏設定と時計の件、そして鏡の件で桃花が2人居れ、互いを修正し合うことで自身をメンテナンス出来る関係性。
「とりあえず、こっち側が62.5%就寝できたら、あっち側も62.5%回復する。って設定でいいよな? 大事なのは8時間睡眠だから」
間違って、こっちが50%しか寝れなかったからこっちで50%寝たことにする、だと話がややこしい体。
てわけでカスタマイズしていじくった設定がこちら。
まとめると、カスタマイズはこうなる。
〈時を調律する心臓〉現在の設定。
〈回復トリガーは。就寝後1時間で12.5%存在の力が自然回復する、つまり8時間睡眠しないと100%存在の力は回復しない。回復内容は存在の力、復元の力、体力・精神力、経済力、その他もろもろだ。射程範囲は世界全体〉
〈この件は双矢鏡と連動しており、こっち側で8時間寝たらあっち側でも8時間寝たことになる、寝不足だと互いに寝不足になり、双方100%回復しない〉
「よし、これで動かしてみよう」
言って、姫は桃花の時計の針を動かし始めた。
「あの、再三言うけど私は機械じゃないからね?」
「わかってるって」




