第74話「海底ダンジョン3」
「サキ! そのままちょっとでも良いから突き刺せ! 電撃が通るかもしれん!」
咲は、なるほど! と思って味方の電撃ビリビリを纏いながら。構わずフェザーソードを突き刺した。まるでマスターソードを地面に突き刺し治して子供時代に戻るように。姫は続ける。
「そのまま雷速鼠動を使えー! 効率が良くなるぞー!」
「おお! そりゃ良いねえ! よっしゃー!」
咲は雷速鼠動を身に纏い、周りの電粒子を一身に集め。フェザーソードの剣先に力を込める。
ピカシュン! とレールガンでも撃ったかのような。雷鳴が轟いた。
それを観ていた冒険者達は、見様見真似で雷速鼠動系統の技を発動し。咲の加勢に入る。全体として、新海刀龍王ネオ・カジキマグロドゴンを倒そうとする手際がよく進み、効率が上がった。
効率とは費用対効果の比率であり。
この場合咲の労力に対して得られる結果。すなわちネオ・カジキのHPが大きく減り勝利へと近づいた事を指す。
余談だが。効率化の対義語はおもてなし、らしい。
それらを理解した上で、冒険者のメンバーは柔軟に歩を進んで駆け上がる。
「おわっと!」
馬乗りになっていた咲は地面に落ちる、そして間髪入れずにネオ・カジキの剣閃が孤を描いた。
咲は扱いやすく効率化した軽量版ミラーシールドを盾にガキン! と音が鳴る。ミラーシールドの中に水の波紋のような衝撃波が波を打ったと感じ耐える咲。その後ピキイン! とネオ・カジキは反動により反射に成功し、敵モンスターは後ろへよろめく、どころか。そのまま後ろへ重い体が倒れた。
「やった! 軽量版のミラーシールドでもちゃんと弾けた!」
やっぱりあの人が特別だったんだと実感出来た瞬間であった。
あの人とは太陽のオーバーリミッツの事である、螺旋弾の威力は不思議な未知の力で。咲には理解出来ない、というか全容を掴めないでいた。
そんな中での防御成功である。咲としてはこの上なく嬉しい出来事だった。
ラッキーとばかりにネオ・カジキをズッパズッパと手際よく攻撃する咲、今度はマウントポジションを取った形だ。
そんなことをしていたら、咲へのヘイト値がグングン鰻登りに上がってゆく、起き上がったネオ・カジキは吠える、咲に。そりゃもう咲しか観てない顔で「私プッツン切れました」と言わんばかりに赤い流転状態の体を振るわせていた。
「ひえええー!」
自業自得とはいえ、フェザーソードと改良版ミラーシールドの軽さも相まってジャンプ力だけは高い咲は。兎に角ハイジャンプしてとりあえず上に、飛行能力には負けるが上空に逃げたというか避けた。




