第720話「転・経済表とVSバルバトス」★×4
現実世界、西暦2037年11月14日19時00分。
多想世界、今現在歴2037年、春の月、晴れ、放課後クラブギルド本部。
結論から言うと、機械種のアセンブラくんと日本銀行副総裁の内田金蔵のマッチングは悪魔的な融合だった。
金蔵から姫へ、F交換表とユーザー表と経済循環表を見せて貰った。
「さすが、今までのオーバーインフレよりは良くなったな」
金蔵の経験談とAIによる演算により理想の中に論理が組み込まれた、夢物語な物語表にはなっていない、再現性も実現性も比較的高い代物になっていた。
理論上はこれで動く、表も比較的解りやすい、あとは手で動かしてどうなるのか? の実戦のみだった。
仮説、予想、確信、実行。これらをほぼ同時に高速処理している、……とまでは行かないが。咲や姫じゃ出来ないことをやってのけた。
内田金蔵のF交換表を観ながら。一通り、買いたい物は買った放課後クラブ。
特に小精霊コロボックルの〈お助け券〉と〈警護券〉が大きかった、自分個人の手の届く範囲を超えて、これじゃあどうしようも出来ないことが多すぎて困っていたからだ。
他にも色々買ったが、放課後クラブも、最果ての軍勢も、非理法権天も、四重奏も、買いたいものを買えたからとりあえずBIG4の中だけでは何とか回っている。
まずは何事も小さく回すに限る。
例え中身がマクロ的に動いていたとしても、手の収まる範囲に治めるべきだ。
「お褒めに預かり光栄です、姫様」
「僕も頑張ったんだよ! 咲っち!」
金蔵とアセンブラは交互に自分達の労力を憂いて欲しそうだったので褒めたが。
……残念ながら本題はそこじゃない。経済も大事なのだがこっち側の本題はバーサスバルバトス戦なのだ。
「えっとー、確認だが6線時間軸は自分達で作っちゃったから通過Fは使わなくて良かったが。今後回線が壊れたら使うことになる。補佐用のデンライナーは買ったが、こっから先は未知の領域だ、いつも通りのな。だから気を引き締めろよ?」
「いえっさー!」
姫の忠告に咲が元気よく答える、やることはやったので、あとはさっさとバルバトスを倒してジゲンドンもさっさと倒そう。
「というわけで! 暦時空艦ヘリオ・ソル! 最古来歴600年、第2の街雲の王国ピュリアに出発じゃ!」
と、言った矢先、咲が自己紹介を昨日したし、改めて行くパーティーを聞く。
「あ、今日行くパーティーは結局どうなるの?」
「近衛遊歩と内田金蔵は今現在歴2037年ホームで商業活動やってていいよ。で、引き続き咲、姫、アセンブラ、トレント・フレンドリーで向かいますのじゃ」
以上4名、ホームで遊歩は料理担当、金蔵は財政担当だ。
「というわけで、パッと行くぞ!」
「おー!」
《暦時空艦ヘリオ・ソル、時空転移システム起動! 最古来歴600年、第2の街雲の王国ピュリアへ着きました!》
……、簡単に言うと、雲の王国ピュリアは戦場状態だった。
最果ての軍勢5系統トップは囲んで足止めは命令されていたが、反撃は許可されていなかったから。だから、街は戦闘の跡で溢れかえっている。
ほぼ一撃で倒せる実力を持っていながら、攻撃許可を今まで貰えなかったからだ。
それもこれも、この、ここ〈本隊〉が到着するまでの時間稼ぎ。
「ムーン! 忌々しい異教徒共め! 何故だ!? 何故反撃せぬう!? ツワモノドモが指を加えて見ているだけかあああああああああ!?!? 余裕か!? 余裕なのか!?」
宿敵、バルバトスが吠えるがそれは遠吠えに終わる。
強化系トップのバイタルが言う。
「焦りすぎだ、辛抱が足りんよ、ほら、おやつの時間だ、本隊が来たぞ……!」
ソコへ降り立った咲が第一声に吠える!
「待たせたな! 私達が本隊だ! ワンターンで終わるなよ!? ヨワザコ意気地なしの! 異教徒共めえええええええええええええええええ!?!?!?!!」
叫ぶ! 叫ぶ! ただただ叫ぶ!
我武者羅に、無我夢中に、荒ぶり猛る!
「わんわんわん!」
咲の影の中に入っていればいいものを、昼寝していた眞井も子供騙しにしては本格的な〈審判の眼〉を展開させる。
何人の真偽も看破する鋭い眼光を発動させていた。
射程圏外だったのか、バルバトスの秘奥義は発動しなかった。
「あ! 眞井ちゃん、危ないから見てるだけにしててね?」
咲が、子犬に対してドウドウと抑制・制御する。
「メインはアセンブラくんとトレントさんだからね! 踏ん張れ2人とも!」
咲が号令を出す。
「おっけい! この前の借りは倍返しだ!」
「行くでヤンス! スキルを使わなければ恐るるに足らず!」
機械種と樹命種の血が騒ぐ。
元滅種である6本腕の怪物は、奮い立つ。
「てことはあ~、やっと歯ごたえある奴が来たということか……! では力を、示せええええええええええええええええええええええいいいいいいいい!!!!」
《元滅種、バルバトス・ダイスロールとの戦闘が始まりました!》




