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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
EX第10章「四獣王ジゲンドン討伐攻略戦」西暦2037年11月10日

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第714話「起・食糧とラスボス」

 現実世界、西暦2037年11月16時45分。

 多想世界、最未来歴1年、第1の街ライデン、春の月、晴れ。

 ギルド本部。


 6線時間軸の話題がギルド本部内で共有されてから、もし、可変性有りの時間軸で記録をしていたら、世界線変動時に空間という記録媒体自体が変化してしまうんじゃないか? という話題で持ちきりだった。

 つまり、この多想世界で記録を長期間保存するためには。極神速歴か、亜空間歴じゃないと記録が変化してしまう可能性があった。

 で、極神速歴は存在優先度4以上じゃないと観測できないという縛りがある以上。


 一般的に閲覧可能で共有も用意な〈亜空間歴に重要な記録を保存すべきじゃないか?〉という話題が出るのは、至極真っ当な普通の対応である。


 そんな話題がギルド本部内で錯綜している中。

 咲と姫は食糧エネルギー問題の話題をしていた。

「食糧エネルギー問題?」

「うん。とりあえず現実世界の肉体が何も食べてないから、ログアウト後の現実世界で食べたカロリーを数値化して、心氣エネルギーとしてゲームに繁栄させるは出来たじゃん?」

「そうだね、現実でちゃんと食べる描写をするって制約をしたんだから大丈夫じゃないの?」

 咲は今の状態でも十分だと考えるが、姫は今の状態では不十分だと考えている。


「私達2人だけならな。細かな描写は下手でも咲と姫は食べたって結果は残るが、他のプレイヤーやNPC・AIが食べたって描写が欠片も無いのがちょっと心配だ、結果的に物価上昇と食料価格の高騰に繋がってるしな」


 姫は現実世界の物価高騰についての心配事をしているようである。

「たしか米の価格が2倍ぐらいになったんだっけ?」

「かと言って、1人ずつメシの描写をしてたら、それこそ作画カロリー高いし、文章でも描写カロリーが高いんよな、多想世界でも」


 咲は他のプレイヤー達に対して解りやすく、例え話を交えて話す。

「ゲーム風に言うと、まだ心氣という強い種族に対しての食糧対策をした、上流階級の貴族への米は渡ったが。下流……というか貧困層への食糧が行き届いていない、みたいな?」

「そうそう、プレイヤーだけなんだよ対策したの。NPCやAIの食糧問題を解決したわけじゃない、魂、ソウルは依然としてエネルギー不足は続いてるんだよ」

 その上で、咲は姫に提案を出す。

「ふーん、マナとかエーテルとか魔素とかでエネルギーで転換出来ないの?」


 姫は、街や村に対する今後の食糧対策を考える。

「出来ないことも無いんじゃが……で、そこら辺を相談してるわけ。街に1体デッカイ精霊体を置いて、そいつが食糧を食べる描写をしたら、街の皆もエネルギーを食べた事になる……みたいな発想はどうかな? そうすりゃ、描写的な作画カロリーは1体分で解決する、みたいなアイディア」


 姫のやりたいことは解るのだが、食べた気がしないのもまた事実なので、面倒な所に思考が及んでいるなと感じる咲。

「ん~、イメージが沸かないなあ~。花は色んな所で咲いてるけど、心の根っ子は繋がってる、みたいな感じ?」

「そうなんだけど、……そこらへんを相談している」

 このまま食糧問題の話題が広がるのかな? と思ったがそうはならなかった。



 姫が咲に対して食糧問題について話題にしている最中……、ふとあることに気がついた咲は。

「話変わるけどさあ、お姉ちゃんの夢はラスボスなんだよね?」

「ん? そうだな、何だ? いきなり話題が変わったな」

「てことは、ラストダンジョン作らなきゃラスボスに成れなくない……?」


 2人とも場の空気が微妙になったことを感じる。

「……え?」

「……え?」

 どうやら何も考えて無かったらしい。街の食糧もそうだが、本来の目的はラスボス倒してゲームクリアのはずで、街の発展がイコール、ゲームクリアでは無かったはずだ……。


 そういうことで、今でもラスダンの迷宮の重要性を語る咲。

「いやさ、だってさ、無いと挑めないじゃん、プレイヤーだって、いっぱいプレイヤーに挑んで欲しいんでしょ? ラスダン」

「……そういえばそうだった……」

「……えっと……。だから野生のラスボスとか言われるんだよ……」

「ガーン……!?」

 どうやら自覚が無かったらしい。


「えっとさ、確認なんだけど、お姉ちゃんはラスボスとして倒されるのが〈夢〉何だよね? てことは倒されないと夢は成就しないよね……?」

「そうだった――!?」

 どうやら世界一周の夢と、ラスボスの夢を勘違いしていたらしい。


 姫が食糧問題よりラスボス問題を優先したのは、皆のゴール地点が無いからである。

「あーじゃあやる? ラスボス戦、地下100階層の、公式の」

「んーβテスト戦だったらやる」

「そっかー、じゃあ本当にラスボス戦のつもりで、星明幸=ミュウ=天上院姫戦で行くか」

 言って、姫はステータス画面でラスボスダンジョンの設置を始めた。


《第1の街ライデンの図書館の隣に、ラスボス地下迷宮を設置しました。ラスボス第100層、星明幸=ミュウ=天上院姫戦βテストを設置しました、誰でも参加可能です》


「あー、闘技場じゃないんだ」

「長居しそうだから建てた」

「ふーん、いいけどルールは? 言っとくけど〈何でもあり〉はゲームじゃないから興味無いからね?」


「ぐぬう、注文が多いな……挑戦者は3名まで、制限時間は15分かな、1戦ごとにアイテム・スキル・体力などはフル回復。途中でセーブもあり。こんな所か?」


「挑戦者は3名か~……、ちなみにラスボスがその3名なら、裏ボスは誰にするの?」


「ん~、やっぱゲームだし。BIG4じゃないか? これなら誰も文句は無いだろ」

 BIG4とは、信条戦空、湘南桃花、真城和季、天上院咲の事である。


「いやいやいや、私入ってるじゃん……!」

「わしは裏ボスには興味ない、あくまで本編ストーリーのラスボスに興味があるの!」

 はたから見たら要らぬ拘りだった。


「んで、咲以外の残り2名だが、誰を呼ぶ……? 誰でも相手になってやる」

 と、負ける事前提で語ってくるラスボスの姫。


「……、ん~信条戦空くんと……、日曜双矢くんかな? いや、まだ確定じゃないけどね……?」

「ほーん、その組み合わせね、オッケイ準備しておく。残り2名の〈私〉もこの時空に呼ぶわ」

 言って、〈ラスボス地下迷宮〉を設置した場所に天上院姫は入っていった……。

「……、……むう」

「くう~ん?」

 咲の影の中で昼寝していた守護霊獣の子犬、眞井はあくびをして、ちょっと起きた。


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