第698話「起・心氣のエネルギー源」
《ログアウトします、お疲れ様でした》
天上院姉妹はPCの電源を手動で切る、今日の所のゲームはこの辺にしておいて、予定していた活動時間、21時までの残り30分は夜食を食べて談笑するに時間にすることにした。もっとも談笑すると言うよりかなり真剣な人生相談だ。
現実世界、西暦2037年11月9日、20時30分。
姉妹は夕食は既に食べ終わっているので、お行儀は悪いがお菓子。
カロリーの高いポテトチップスうす塩味を2人広げて話題をすることにした。
冷蔵庫の中から持ってきた、ひんやり冷たい炭酸入りのサイダーのジュースのおまけ付きである。
咲はポテチを食べながら、今後のゲーム進行の【あり方】を聞く。
「素服な疑問なんだけどさ、心氣のエネルギー源って何なの? いや、もっと言うと心のエネルギー源って何……? 氣はええねん、何となく米だって解るからさ……」
姫はポリポリとカロリーの高いポテチを食べながら、その疑問に思考を巡らせる。
「確かに、桃花先生の件だと……現実世界で脳に異常があって、その拒否反応か何かで脳と筋肉が融合し、筋肉が胸に危険信号を出してるとしたら、紙や小説、創作の世界で殆ど食べていない事になる、そして食事シーンは面白くないものとしてバッサリシーンカットしてるのが、健康上良くないという訳わからんエピソードになっている」
咲は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「そして、セルフイメージのバックアップ。仮想世界で提唱されてる〈心の定義〉が〈脳〉だったので、それと知らずに現実世界で脳の異常だから体が痙攣してるとか……そんなトンチキ現象になっている……?」
姫は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「何で、空想したものが実現したり、それを実行できる力がある、その不思議な謎は置いておいて、もし仮に実行できる力が有ると信じるのであれば。過去の事は取り消せないにしても、今後どう動くかは選択できる」
咲は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「つまり、ゲームの世界で何食べたって現実世界のお腹は何も膨れない訳だから、心技体の中で、特に〈体〉が疎かになってる可能性が非常に高い。脳が体に異常を感じているということと、何故かは知らないが実現できる力が有ると仮定した場合、心氣のエネルギー源は……」
姫は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「まあ、【現実世界の食事の描写】にするのが一番手っ取り早いな。でないと、何も無い所から心の力が湧き上がるってことになるし、今まで〈心=不思議な力〉だと思ってたから、〈心=脳〉だと誤認識していた場合、脳が異常を感知しているのはつまり、体が食事をしてない事に直結する、たぶん」
咲は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「つまり今後も、健康的にゲームをするためには、まず最初に食事の描写から始めないと、えっと……極論、現状だと核融合物質を何故か食べてるルートに入るってこと……?」
姫は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「たぶん……」
咲と姫の2人は、2つ目のポテトチップスの袋をバリッと開けた。
咲は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「日常の食事描写とか……、それ面白いの?」
姫は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「面白いかはとりあえず置いておいて、心技体の描写のバランスの中で、体がヤバいことになってるのは多分当たってる。バランスの問題よバランスの、VRゲームは基本ずっと寝てるんだから……」
咲は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「ふむ……」
姫は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「だから、気をつける点として、現実世界の食事の描写力が心氣の動力源って面白エピソードを挟めば、もうちょっと現実世界の健康体は維持出来るのではないだろうか……?」
咲は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「なるほど……、和洋中の食事の質で、心氣の質が変わるとか……?」
姫は、変わらず、ポテトチップスを食べ続ける。
「それは後で細かく設定するとして、方向性としては間違ってないと思うんだよね、とにかく現実世界で食べる描写が無さすぎる、だから現実の体は、こうなってる、と……」
咲と姫の2人は、2つ目のポテトチップスの袋を平らげてポテトチップスの中身は空になった。
「ふむー、なるほどなー!」
姉妹2人は最後に、サイダージュースをグビグビグビっと飲み干して、小腹と言う名の空腹を満たし、お腹いっぱいの満足感で満たされていた。
現実世界、西暦2037年11月9日、21時00分。
約束の就寝時間である、今日の所は、この辺で終わりだ、すっかり暗くなった夜と星を見上げて、また明日、と。ベッドに横になり、本当の意味で就寝する事にする2人であった……。
そして今日の2人の大冒険は終わり、普通の眠りへと誘われる……。




