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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
第3章「豪華客船ミルヴォワール」西暦2034年6月21日

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第70話「飛ぶうみねこも落とす遅さ」

 真夏のような太陽の光が彼女たちを照らしていた。

「そういえば私たちってめんどくさいってよく言うよね」

「ん? ああ~、そうだな」

「めんどくさいの反対ってなんだっけ?」

「ん? 対義語のことか、だったら簡単、やさしい、おもしろい。だな」

「へ~」

「なんだ、それがどうした?」

「ううん、別に何となくそう思っただけ」

「なんじゃそりゃ、くだらない」

「良いじゃんさ~、別に急ぐ旅でも無いんだし~」

「それもそうじゃな~」

 長い間が出来る、海風気まかせ波まかせ。ゆっくりゆっくり止まってる亀のように、遅い船は海を撫でるように進んでゆく。

 豪華客船ミルヴォワール、天上院姉妹は甲板の上に居た。二人の間に緊張感や圧力は無く、不可逆的な不自由さもない。何もかも気の抜けた炭酸飲料のように適当だった。

 どれくらい遅いかというと、ライトノベルを平均1日1P進めるくらいに遅かった。1巻進むのに1年かかりそうなとんでもない遅さだ。しかし数年間この船は全く変わらず動かなかったゲーム的な設定を考えると、まあまあ進んでいることになる。

 ゆっくり確実に一歩ずつ、でもやっぱり遅く感じるほどには前に進んでいた。待たされる身にも成ってみたらたまったものじゃない。たまにブーストして速くなるが、それでも速読うさぎさんから観たら、ブーストしてもやっぱり遅いと思われるだろう遅さだった。

 そんな眠くなる遅さを、水平線とうみねこを観ながら。何処で作ったのか解らない氷入りのオレンジジュース片手に眺めていた二人に対して。まるで、りくいぬが通るような速度でエンペラーがやってきた。

「お前ら何やってんだ?」

「「ダレてる」」

 よく解らない間がまた発生し。

「前のモモカのだるさが電波したのか?」

「「そうかもしれない」」

 姉妹特有の訓練してる訳でもない声で、ハモった。

 自衛隊が観たら「何処で訓練したんだ?」とか言われるかもしれないハモり具合だったが、多分彼女たちは「コモってた」とか不思議な感じで言うのかもしれない。

「エンペラーも何か飲む? 取ってくるよ」

 サキが滅多にない優しさで話をふってきたので、彼はカンを頼りに烏龍茶を氷なしで。と言うに止めた。

「それよりヒメ、この先の地図は無いのか?」

 ヒメはエンペラーの方をちょっと動揺して観る、観るが視線を海に戻してだらりと水平線を観ながら言う。

「ない」

 どう答えれば良いか悩んだ後。エンペラーとしては似つかわしくない、というか珍しい言葉を発する。うみねこを何故か可愛いと感じながら。

「まぁ、いいか」

 船旅は続く、人々の想いを乗せながら。

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