第69話「現実世界の学校ぐらし」
天上院咲はストーリーに興味がある子というのは何度もしてきた。逆にストーリー性のないテ○リスとかオ○ロとかの類はしない。ので、彼女が学校で勉強をしている授業の合間には、携帯端末で漫画、アニメ、小説、ゲームなどを食い入るように漁る。もちろんまだ観ぬストーリー目当てでだ。補足しておくと、前回の姉病院送りの件も鑑みて。ちゃんと勉強はしている。
そんな中、学校の何気ない友達から話をふられる。
「え、VRじゃなくてAR?」
「そう、拡張現実。バーチャルリアリティじゃなくて、オーグメンテッド・リアリティ」
天上院咲はきょとんとして、一部の間を持って話返す。
「初めて聞く名前だけど、その単語って新しいの? 古いの?」
「古いよ、昔の技術」
咲のいる時代は2030年初頭、拡張現実は2008年に一般向けゲームとなっている。2016年にプチモンGOが発売されている。要するに
プチモンGOの進化版だ。
「昼食の空き時間でもちょっと廊下でやろうよ」
「え、でも学校でARって大丈夫?」
「平気平気、携帯が良くてARがダメなんて学校が遅れてるだけだから」
いつの時代も学校にゲームは持ち込み禁止なのは、万国共通な気がするのだが。と咲は思ったがその話はとりあえず置いておく。
「なんのゲームするの?」
「カードゲームでも良いけど、軽く卓球でもやろう」
咲はストーリーじゃないのかー。と思ったが友達とストーリーの読み合いっこも変なので当たり前かと思う。
「うん、いいよ」
そんなこんなで学校での時間は過ぎていった。
放課後、学校の校庭。生徒達が部活を始めるまっただ中。天上院姫が咲に話しかける。
「咲、ちょっとEMOのAR実験に参加してくれないか?」
セミプロと詠っていた咲は若干の責任感を持って断れなかった。
「え、良いよ、何すれば良い?」
「敵エネミーとの戦闘。勝っても負けても良い、データさえ取れればいい」
そう言って、二人は片メガネ型のAR機。シンクロオーグマーを付ける。
姫はステータスバーをタップして出てくる、エネミーモンスターは人間型をしていた。
というか、黒くてデカくて筋肉質ででかった。エネミー名はエレメンタルマッチョ。
「えーっと。飛べないんだよねこれ?」
「飛べないな」
「じゃあ、足しか攻撃出来ないじゃん」
「できないな」
「えー」
「まー、何でも良いから遊んでみな」
相変わらず、姫の一挙一動は軽い。
咲は剣が足しか攻撃出来ないのなら。とりあえず魔法で何とかするか。と考えた。
「ファイアバード!」
火の鳥による攻撃により、エレメンタルマッチョは一撃でポリゴン片と成って四散、片づけられた。
「ん、あんがと」
「え、良いの? また一撃しかやってないけど」
「ん、良いよ。終わったから」
何がなんだか解らなかったが、姉の協力になったなら良いやと思った。
「お小遣い増額も考えといてね」
と冗談混じりに入れ知恵も挟み込んどいた。




