第68話「レイドバトルになってしまったの巻き2」
話が全然前に進まないので紆余曲折あり、だんごをサイド・バイ・サイドの3人に食べさせて回復させましたとさ。まる。
「え、まだ続けるのこれ。もう帰って良い?」
やる気も勝つ気もまるでみせない、モモカプレイヤー。飽きるのが速い。折角蘇生させたのに礼の一つもないことを、サキはカンに触りながら。
「まだ、モンスター生きてるじゃん! ちゃんと倒さないと!」
「えーもうつまんない、死んでも良いゲームなんて温すぎるぜ」
「やる気があるのか無いのかどっちなのよもー!」
そうこうしている内に、アジモンスターは賢者の石を発動。
何でこんな三文芝居のようなイベント戦でやってくるのか解らないほど、無駄に色とりどりな属性魔法弾を放ってきた。
「来たよ! 皆避けて!」
「あひゅん」
避けなかった。モモカだけ、グンとアオバはちゃんと避けたのにこの人避けてくれない。サキは察した。
「この人、強い弱い以前にやる気がない!」
▼モモカはなまけるを使った、特殊防御がぐぐぐぐぐぐぐぐーんと上がって止まるところを知らない。
変な音声ナレーションも追加された。
「私はさ、死ぬ思いをしたんだよ。なのに今更あの戦場に戻る理由もない
。守るべきものも攻めるべきものもなければ、ただ風のように凪びく風鈴のようにただただ、のらりくらりと平和に生きてくだけさ」
「背筋伸ばして生きていけや!」
サキの声が、いや、口が条件反射で動いてしまった。
「私は観測者、見守るもの、第三者。雨にも風にも雪にも夏の暑さにも負けて、軟弱な体を作り。だらける」
まるでステータス画面に、やる気のなさがあったら。そこに可能な限りの持てる全ての可能性を全部振り込んでいるような、そんな選択や力の入れようだった。
「守るものがあればいいのね! ほら私可愛いよ! 愛らしいよ! 守りたくなるよ! だから動いて」
「ダメ、触手が動かない」
「めんどくせぇえー!」
サキとモモカのやりとりはまるで漫才のようだった、アジ魔術上等兵は空気を読んで待っていた。高性能アジだった。
アジモンスターがステータスログから話しかけてくる。
▼負けてあげましょうか?
「敵モンスターにも同情されてるぅううー!」
サキのモモカへのツッコミが止まることを知らない。
「まだよ! きっとこの人は本気を出す前の儀式のように、わざとなまけて力を貯めているに違いない!」
「あ、これワイロなんでこれで勘弁してください」
「金で解決すんなやあぁあああああああああー!」
▼モモカはアジを夕飯のおかずにしてごちそうさましました。
▼やる気のなさがレベルアップした!
▼おや? モモカのようすが? B
「食べたぁあぁあああああああああああああー!」
天上院姫は悟すように咲に手をポンと置いて言う。
「諦めろ、元からやる気の無い奴を誘っても。どうでもいい結果にしかならんさ」
モモカは元気一杯にサキに言う。
「今回君が得るべき教訓は君はツッコミが旨いという事だけさ!」
「学校帰りの児童みたいに元気になってんじゃねぇよ!」
結果的にサイド・バイ・サイドの圧勝に終わっていた、内容は名状しがたいほどひどかったが。幸か不幸か、咲は桃花の弱さを拝む事には成功していた。