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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
EX第8章「鈴の湯ガーデンリベンジマッチング」西暦2037年10月4日

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第658話「転・止まれ、オーバーリミッツ」★×2

 ――湘南桃花、まだ治療中……。

 今度は横になって、和の文字が入ったヘッドホンを装備し、両目を隠された状態で。

 〈弱点の耳元に福音が届いた〉、やったのはオーバーリミッツ。

「どう? 体調は……?」

 時間は折角なのでたっぷり1時間……。


「……耳が幸せになってヤバい……」


 それが彼女の率直な気持ちだった……。何? この永久機関? と思った。

「よかった、やっと届いた……気がついてくれた……」

 心が、縁が、絆が、繋がった。

 なので、呟きが、声が、歌が、鈴の音が行ってから還ってきた。


「あの、もう取って良いですか? 目と耳の、これ……」

 それは、桃花にとって初めはただの暗と音でしかなかったが、どんどん幻想と福音に変わっていったもの。

「うん、起きていいよ」

 返事の脇腹をつつかれて起こされた。いや、目覚めさせた。

 湘南桃花は目と耳のそれを取り外した。


 湘南桃花の夢は覚めた。


 オーバーリミッツが安堵の顔を顔を浮かべて見守っていた。

 で、ピンクスズが。

「だからフルダイブ型のVR空間で寝るんじゃないって本体が言ったじゃないですか……」

 などと申しており。


 遠目から見ている天上院咲と天上院姫は「何やってるんだこいつ……」という一歩引いた目線で追っていた。

 で、桃花の第一声は。


「ここは現実世界ですか?」


 咲と姫が答える。

「いいえ、VR空間です……残念ながら、あの、〈そっちの事件〉を〈こっち〉に持ち込まないでくれませんか?」

「本当に残念だな、一歩惜しかった、仕方ない。じゃあもうめんどくさいからメンテナンスってことで全プレイヤーを一回強制ログアウトさせるか……えーっと告知告知……」


《告知、5分後に全プレイヤーを強制ログアウトさせます》


 ――、そうして5分後、今度こそ全プレイヤーを強制ログアウトさせて、中のゲーム世界のメンテナンスを始めた。


 本当の本当の本当に今度こそ、全員目覚めた。

 今回の大型メンテナンスは念の為に8時間取るそうな。

 というわけで、全プレイヤーは強制的に最低でも8時間現実世界で過ごしてもらうこととなる。


 天上院咲もとばっちりを受けて現実世界で目覚める事となった。


 ――パチリ……。咲はベッドから起き上がる。

「またか、やっぱ桃花先生強いな……」

 自然と口から愚痴が呟かれた。

「湘南桃花先生は、えーっと全部繋げると出身地は京都って事になるのか」

 ここは神奈川県だ、京都の事はわからない、ついでに東京で何をやっているのかもわからない。

「ここは死の世界、……か……」

 天上院咲には訳が解らなかった。

 


 ここは場外乱闘場、天上天下。

 群馬県高崎市、とあるマンションの一室。

 湘南桃花はドリームウォークして見つけた答えを微睡みの中呟く。


「1つも……無いんだ……」

 

 湘南桃花は目を閉じていて。

 信条戦空は目を開けていた。

「よく解んねーけど、とりあえずここだな」


 空の中、風が来た。

 戦空はパーの緑色の武装を纏い、オーバーリミッツの攻撃は赤色の武装を纏っていた。

 それは(えにし)が繋いだ微かな希望、その遥かな攻防の中、桃花は微かに目を開ける。

「止まれ、オーバーリミッツ。もう戦う理由なんて無いはずだ。桃花は薬飲んどけ先の時代に進めなるぞ」

リスク(・・・)……」

 桃花に対して無造作に置かれる薬の束、桃花は無意識に信条戦空の真名(まな)を呼んだ……。


 西暦2010年6月14日。

「リスク……何でここに居るの……?」


 リスクは嘘偽りなく正直に話す。

「天上院咲が鍵だ、彼女が思考してくれたからここまで速く来れたんだ」


 西暦2037年10月4日。

「また場外乱闘かぁ~……」

 神奈川県、天上院咲は早速現実世界で、ジャンケンを操る能力を使っていた。


 再び群馬県のとある部屋。

 信条戦空とオーバーリミッツと湘南桃花の硬直状態は続いていた。

「今……、何年何月? 場所はあってる……?」

「西暦2024年の11月8日、群馬県で桃花は片道切符で神奈川県に帰れ、話はそれからだ」

 湘南桃花は起きて早々に夢の中(・・・)でグッタリしている……。

 ドリームウォークしすぎて力が果てていて、尽きていた。


桃花(過去)(未来)じゃ力不足だ、オーバーリミッツ……まだ暴れ足りないなら、ウチが世界のドコだって相手してやる!」

 現れて開幕一言がそれだったので、オーバーリミッツは呆然としている。

 気がついて、意識して、オーバーリミッツの暴走がゆっくりと解けた――。


「私は、時間を操れるってこと……? 止められるってこと……?」

 オーバーリミッツの狂気は、正気に戻った――。


「!? 桃花! 大丈夫!? 意識ある!?」

「正直、全然大丈夫じゃない……です」

 オーバーリミッツは再び(・・)、桃花のフォローの看病をし始めた。

 戦空は、緑色の武装を解除した。

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

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