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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
EX第8章「鈴の湯ガーデンリベンジマッチング」西暦2037年10月4日

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第650話「転・それでは決闘、ハジメ!」★

 あんまりにも今いるメンツが人間離れしているので、置いて行かれる読者・もといゲーム配信視聴者の事も考えて、一般人人間代表、湘南桃花先生を解説役に呼ぶ事にした。

 ということで先生も鈴の湯ガーデンにログイン。

「あーまー、何回か呼ばれてたから別に不思議じゃないけど……」


 桃花先生は半ば諦めたかのように解説席と言うなの宿屋の外に立ち、星を見上げる……。完全に現実()に屈していた、愉快な意味で心が堕天使になっていた。

 ちょっと休めたと思ったら、もう出番を要求される。コミカルに不憫であった。


 まーまさかこんなに観客数が居るとは思っていなかった、と言うのは何度目だろうか? と思うほど認知度が高かったので、完全に逃避するの諦めモードである。


「初めていいか? 心の準備はいいか? 時間を走りはじめてもいいか?」

「ん、いつでもどうぞ」

 こういう運動会みたいな集団戦は、号令をしっかりしないと皆ダッシュできないので。ゲームマスター天上院姫がイベント開始を宣言する。しっかりと、声高く、大反響するように。


『ではこれより、名前はまだ決めてないが。〈大イベント〉! ハジメええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!』


 ドカン! ドカン! ドカン!


 盛大に、豪華絢爛に大花火が爆発して、大イベント開始の幕が〈今〉あがった。

「始まっちゃったか……」

 湘南桃花解説役員は脱力気味に、そう言った――。


その時……、天上院咲は長考して動けなくなった……。

 そう、視野が広すぎるのだ。これまで歩いてきた別の絆によって。とても声を大きく、とても言葉を多く、とても情報を集めようとしてしまう。

 その中からまるで謎解きゲームの正解を見つけ出すように思考が加速し、長い間が生まれて、手足を止める、そこまでは夜鈴の行動パターンと一緒だった……。


 だが、デート戦争の頃と違い、今は応援してくれる仲間が一緒に居る。

 戦空は手加減はしない、だが、最善手で攻めてこようとする咲の行動は〈善〉だった。

 それによって、戦空の本能は、その無謀な行動も止める。

 ……恐らく最高の攻撃をド正面から打ち砕きたいのだろう。

 だから、彼女を待つ。本能的に、下手に攻撃すると返り討ちにあう。

 まさに、本当の死合(しあい)そのものだった。


 湘南桃花先生が成功例をアドバイスする。

「あの、咲ちゃん、あんた意識がめっちゃ上層に行ってるから正直に話すけど。物語は面白いが絶対正義で、1人でも読んでくれる読者を楽しませる為にあるの。それ以外は邪道。それは変わらない、言いたいこと解る?」


 バカでもアホでも無い、賢い咲には理解は出来るが答えが計算できない……。

「っ……、……、……」

 尚も咲は、長考で言葉が出てこない、極度の緊張もあるが。本質を見失っている。

 桃花先生はかつての心と失敗を、説いて教える。

「一 点 集 中、雑念は悪。間違ってもストレス発散のために手を動かしてはならない、そこには破滅しか無い。自己満足ではなく相手の為に手を動かす。その先にしか正解はない」


「一心不乱? いや読者だから……えっと……でも手は自分だし……、手・脳・心・相手・相手・相手……お姉ちゃん?」

 必死に思考を回転して出した答えがそれだった。

 つまり、想定読者だ。

 何のために行動しているのか?

 それはお姉ちゃんの為に行動しているからだ。

 だから、〈こうなっている〉。

 家族の善神になっている。


 固まった賢い頭で弾き出した声は短かった。

「お姉ちゃんの為に、戦う……?」


 それは桃花の恋や愛とは全然違うもの、〈善しかない善人〉だっておまけの雑念だし、本当はただお姉ちゃんのゲームが面白いと信じて、今までやって来たはずだ。

 その信じる心に嘘偽りは無いはずだ。


 ――つまり、それ以外は邪道。

 ――桃花先生の思考はシンプルだった。

「まー、私にとっては。世界とか単細胞とか、花とか空とか正直どうだって良いのよ。解る?」

「……、私は……、私は、この世界が面白いと、お姉ちゃんが作ったこの世界が面白いと信じて、今まで遊んで来た、……そのはずだった(・・・)


「ってことは~~~~~~????」

 桃花先生がハニカミ笑いで言う。

 咲は誘導されるがままに答えを出す。


「それ以外は邪道」


 つまりだ、桃花の世界も戦空の世界も、咲の世界にとっては邪道でしかない。

 つまり逆だ。一つの傲慢な真実だけじゃ、全てを支配できないと思ってるゲームマスターには、この世界は守れない(・・・・)


「……」

 茫然……、咲の頭の中は空白という名の真っ白になっていた。

「えっと、つまり、先生は一つの傲慢な真実だけで事足りると……????」


「少しは肩の荷物は降りた?」

「まあ、……桃花先生が正真正銘のバカだってことぐらいは……」

「ふ、……それは褒め言葉として受け取っておくわさw」


「でも、屁理屈には聞こえませんでした。何かこう、ビックリしたというか……」

「まあ、私だもん(・・・・)、しょうがないさ!」

 湘南桃花先生は、ただ、笑う。


 何かこう、今までの論法(ロジック)がぶっ壊されたというか……、これが恐れ知らずの最前線を我武者羅に突っ走ってきた開拓者なんだな……と、思った咲。


「……話は終わったか?」

 信条戦空が、全てを変える風を、世界になびかせる。


「うん! ちょっと気が楽になったっていうか! 世界なんてどうだっていいって気分になりました!」

 咲の体と心と気持ちが軽くなった。空中をピョンピョン跳ねる。

「手に力が帰ってきた感じがします! これなら!」

 咲は翅を思いっきり広げる。

「お待たせしました! ではやりましょう!」


「うん、待ってました!」

 戦空も、ただ、笑って返した。

挿絵(By みてみん)

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