第647話「結・安らぎ憩え、そして未来を愛せ」★×2
仮想世界、エレメンタルワールド、リュビアー大陸、第五休憩所、温泉旅館、鈴の湯ガーデン。
桜愛夜鈴、通称黄スズ人間本体は、は自分の都合を自然放置した。
「まあ、私の都合の事後処理を咲ちゃん家の土俵でやるのも違うよね~ってことで。我らが宿にお客さんだ」
GM天上院姫とサブGM天上院咲としてのご入店だ。鈴の湯ガーデンにお客さんだ。
「ん? もしかして込み入った話でもしてたか?」
「あらお花の装飾綺麗……、ん? 何の話?」
GM天上院姫は知らないわけにはいかないから知っているが、サブGM咲には全てを知っている義務は無いわけだ。
つまり、全てを知っている必要は無いわけである。
「まあ、超簡単に言うと〈昔話〉かな」
桜愛夜鈴本体が、漢字ニ文字で終わらせた。
この緩急、意外と難しい……。
VR世界に来てからというもの、言いたい放題というか、語彙力過多になるというか、文字制限が無制限なので説明過多になってしまうのは難儀である。
VRゲームにどっぷり浸かっていたせいで、その緩急も難しい……。
もっとも、天上院咲は漫画で例えると戦空の土俵には、完成漫画原稿で言うと数回しか上ってないし、まだ指で数えられる程度であるが。ネームの階層では一応練習と言う名のキャッチボールをしたので。数回はしている。
まあ、その土俵で言うと、何百回と戦空の土俵で戦っている、湘南桃花先生の方が圧倒的・数段上位に来るのだが……。
咲VS戦空の〈同じ土俵戦〉はまだ無いので、他のプレイヤーが戦々恐々、今かまだかと、観戦を待っている声もちょっと耳に入った……。
咲の土俵で戦空が戦うと、何回か戦ったが。ほぼワンパンチマン・一撃の元で沈められる訳だが、実は鍛錬を積んだ咲は今でもそんな感じの実力差である。
ほぼ勝負になってない。
が、そんなことより〈やるべきこと〉があったり、〈後回しだったこと〉があったり、不自然無軌道歪曲テキトウな暴言ばかりを紙面で綴って来たので、こちらとしてはまだ軌道修正したりない雰囲気ではある。
なのだが、他のスズ達に「未来を向いて!」と夜鈴は言われたので渋々無理やり方向反転したわけである。これも中々難しい。
「とりあえず、温泉卵ちょうだい、食べたい」
そんなことどうでもいい、というより知らない咲は持ち前のフットワークの軽さを見せる。
「お前食欲旺盛になってきたな、まあ折角の温泉宿だ、他プレイヤーの件は自然放置で、温泉に入るか」
GMも、ここの所、他に目を配り&制御し過ぎ、案件だったため、折角の憩いの場……ゲーム内でも休むことにする。
他プレイヤーにとっては、先生の目が届かない、自然放置と言う名の自由行動時間である。
「あんたら本当に気楽というか、軽業というか……、ま、とにかくいらっしゃい」
夜鈴は「ま、いっか」と、さっきの話をタンスに仕舞うようにストンを入れ込んだ。
遅まきながら桜愛夜鈴の分身達、赤スズゴーレム、青スズ機械、桃スズ人形達は接客を開始する。過去にマジで色々あったそうだが、ここは温泉宿、そういうのも含めてお湯に流そう。
『いらっしゃいませー! 鈴の湯ガーデンへようこそー!』
数十人はいる、美少女ツインテールでちっちゃくて可愛い分身達に宿の中を案内される普通のお客さん2人であった。
「ところで、国際通貨M覇権争いはどうなったの?」
「あ……」
「忘れてたなこのGMは……」
夜鈴の質問に現実逃避&忘却逃避してた姫は我に返るが、……鈴の湯に流された。




