第640話「起・さあ、ゲームを始めよう。」
ゲーム、国際通貨M覇権争いのルール説明。
【1つ】心が強いほうが勝つ。
――心は、初心を曲げてまで勝つ勝利に、価値を見出さないから。
【2つ】想像を超えろ、想像できる全力で、でなきゃ相手に失礼だ。
――心は、自重を超えた表現にしか、価値を見出さないから。
【3つ】交換は物々交換と通貨交換をセットで行わなければならない。
――心は、交流と安定にこそ、価値を見出すから。
【4つ】右手で絵描いた物が、真の勝者となる。
――心は、第一志望を取り戻すことに、価値を見出すから。
【5つ】上記に違反する一切は、敗北とする。
――心は、これらに違反した世界やルールなど知ったことではないから。
以上――、想うがままに、好きにやる。
◇
湘南桃花・オーバーリミッツのサイド。
「M争奪戦。始まったねえ、終わったから始まったねえ」
「まあ、終わりがあったら始まるんだから。始まったのは良いんだけどさ、私めっちゃ加護受けてない? 豪運が凄いんだけど……?」
「上手く廻らなかった頃よりは良いじゃない?」
「……、あと言うの恥ずかしいんだけどさ、あんた隙あらば問答無用でキスしてくるよね……?」
「へっへっへ!」
「犬に成るな犬に……!」
「犬さん!」
「それは蒼葉っちでしょ……!」
そういえば、まだ『分配』しかしてなかったから『交換』しようぜ! て流れだったはずだ。そしてMがの単位が大きすぎて子供が遊べないのが難点だと……。
で、『Mの欠片』を作って子供達……下層ギルドに、末端にまで行き届くように分配したいんだけど。絶対量が1万5千Mを水増しするのもルール上めんどいし、ここはギルドで余ったMを使って皆に分配しよう、という思惑だったはずだ。
「で、また為替レート設定?」
「まあいいんじゃない、今回は余ったMつまり300MをMの欠片に分割して皆に分配するレートを決めれば良いんでしょ?」
まあ1M1万5625円じゃ遊べないだろうし、仕方のないことだろう。
「現状300Mあって、それを割るんでしょ? そうしたら絶対量を超えないっていう元で……そうなると、まず100円単位か1000円単位かで話が変わってくる」
「理想としては、駄菓子単位まで下げられれば良いんだけどねえ~」
「駄菓子……50円?」
「たぶんそう、キッズ向けに作らなきゃ交換も交流も生まれないからさ」
となってくると、1M1万5625円なので。割る50円なので。1Mは約312Mの欠片と交換、となってくる。
円計算だと、50円312Mの欠片ぐらいの計算だと、誤差はあるが0.5円ほどの誤差はあるが問題ない。
「これでいい?」
「うん、あとはこれも絶対量決めなきゃ破綻するね」
これを1万5600円で割る50円で。1M312Mの欠片、だから、それをかける300Mにすればいいから300倍……。絶対量は9万3600Mの欠片にすれば、破綻はない。
正しい計算は合わなくなるが。多くの人に出回る分には多い方が良い。
「細かすぎるから絶対量10万Mの欠片でよくね?」
大雑把すぎる桃花だった。
「いいよ」
寛大に遊びを受け止めるリミッツもリミッツである。
で、再計算。
絶対量10万Mの欠片として。
これがM相場では1M312Mの欠片で割る……小数点切り捨てで320Mの欠片である。ちょっと相場が上がった。
なので、相場レートは。
絶対量10万Mの欠片。
1M1万5625円。
1M320Mの欠片。
1Mの欠片48円。
「48円で決定?」
「49円いけるかな? と思ったら絶対量超えちゃったから、少ない分にはOKかな」
「じゃあ10万のMの欠片が市場に流れるのか~」
「こればっかりは国連も監視出来ないだろうね」
Mの欠片って特性的にMとは微妙に違うよね? これも詳細書くの?
「うーん……でも得点無いとやる気出ないだろうなあ~~とは思う」
「そっか~」
ある意味1Mを入手すると国連の管理下に入るので、それまで、320欠片を集める過程で何が出来るかの得点が必要になってくる。でなきゃモチベーションが保てない。
そこへ行くと、ギルド『遊撃隊愚者』への加入得点は面白いかもしれない。
が、あれはMを持たないことを加入条件にしてるので、欠片を充実するとむしろ逆効果になるだろう……。
桃花はこれ以上考えると沼りそうだったので、考えるのをやめた。
「んでこれでGMに送信っと……」
「ゲーム、上手く行くといいね」
「本当だよ、まだ始まってもいないんだぜ? たぶん『交換』の前段階が難しすぎた……」
「じゃあこれで」
「うん」
「「さぁ、ゲームを始めよう。」」




