第637話「承・M管理委員会」
Mを管理することによって権力の1点集中から、分散して権力を分けて責任を分ける事には成功した。コレにより責任を転化することになってしまうが、そのそも国連が動くような情勢下で1人でコレを対策しようというのが間違いだ。
だから、1万5千Mの内、1万Mは他者に委ねても問題なかったが、GMの5000Mでも、〈ちょっと吐いた〉ほどにはストレスが多大にかかってしまったのも事実である。
国連が監視下に居るとわかっていても、自国の防衛のためだとしても。自分のせいで戦争のような180発の弾道ミサイルが現実世界で飛んだら、そりゃ間接的であれ一切関係ないとしても責任感を感じる。
人が死んでなくても責任感を感じるし、本当に死んでたらそれこそストレスがマッハでヤバイ事になっている。
問題は5000M分の権力が一点集中してストレスが全部、天上院姫1人に集中してしまったことによるストレス過多にある。
あと個人的趣味だが、同時にFXをやっていたことによる呼吸困難も2重苦に拍車をかけていた。
だからGMの5000Mであってもストレス分散のために何とかしようと決めた。
「まずこのストレスを何とかしなければ、何も始まらん」
天上院姫はそう思った。
ということでGM組織の中で〈M管理委員会〉という組織を設立。5000Mという大権力は姫の保有権だが、1人じゃ荷が重すぎるので少しでも分散し、ストレス分散、リスク分散をようという形になった。でなきゃ身が持たない……。
「というわけで、BIG4に5000Mを仮に分配しようと思う……」
BIG4とはギルド『四重奏』『非理法権天』『最果ての軍勢』『放課後クラブ』実力者ナンバー1位に預けることにした。
「意思決定はわし1人のほうが良いんじゃが、跳ねっ返りの責任やストレスがキツくて分散したい」
四重奏の信条戦空は、仲間思いに言う。
「本当はウチいらなくて、0Mで遊びたかったんだけど、困ってるならしゃあないな」
他3人も似たような同意見だった。
「じゃあ、信頼の置ける4人に、それぞれ1人800M預ける。残りの1800Mがワシ、天上院姫の責任じゃ」
800Mかける4人で合計3200M、実質のGM1人で1800Mは天上院姫の責任だ。
これでも500Mのサブマスター権限を軽く上回る。
「アメリカとか各国はどうするの?」
桃花は当たり前のことを姫に聞く。
「あっちはあっちで好きにやるし、気心知れない他人にGMのM渡しても責任の転化になるから意味ない」
もっともだった。
「じゃあこれで、何かあっても姫1人の責任じゃないって事でいいんだな?」
元よりそのつもりでM管理委員会を設立した。
「そうなってくれると助かる、すまんな戦空、0Mで遊びたかったはずなのに……」
「いいって、こういうのもお前がやりたかった〝交渉〟だろ?」
戦空は笑顔で返す、ちょっと潤んで涙を浮かべたGM姫であった。
真城和季は尋ねる。
「この800Mで何が出来るんだ?」
「意思決定はわし自身がやりたいから、それこそ責任転換、何も出来ないし変わらないがクッションになって欲しい。そういう感じじゃな、800M所持してても得点はない」
「おっけい、責任を持って預かろう」
「お姉ちゃん、無理しなくていいんだからね?」
天上院咲は自分の姉を心配する。流石に弾道ミサイル180発が現実世界で飛んだらビビるだろうて……。
「あんがと、咲……」
ということで、今回の緊急事態会議はとりあえずこれでお開きとなった。




