第626話「転・スキルビルダーズ⑥」
VR空間、仮想世界。
この世界の神と言っても差し支えないだろう。ゲームマスターヒメとサブゲームマスターサキが速度と流れについての研究をしていた。あと色彩について。
――神速の心氣。スパン! スパン! スパン! とキャッチボールをしているが、その速度はありまりにも速すぎた。
その速度は、普通に生きている人々にとっては当たり前で、小説家にとっては少し物足りなさを感じ、漫画家にとっては速すぎるイメージ、と言った所だろう。
あとの人達が追いつけるのは、普通の一般市民ぐらいで、俗にう〈軽くて弱い〉威力しか出なかった。
だが、予約投稿を1日ぶん間を開けて投稿することにより、週刊連載も、月間連載陣も準備ができた。前もって予約投稿の内容を確認できたので、リアルタイムライブ感と違って、ターン制の形が色濃く出たのだった。
よって起こった現象は、自分のあとの人の工程がしやすくなった、という事である。
つまり何が言いたいかというと、GM2人は〈速度のコントロール〉が出来始めていたのだった。
「そっか、速すぎたのか。ついでに色も指定されてないからさっぱり判らないと」
「そうなるな、世界は絵で出来ている。そうなるように作られてたんだろうな、何も知らなかった、頂上戦争の時に。先人の知恵は……。現に、お前の動作が速いとか遅いとか、言われたことないだろ?」
サキは、確かにその通りだ、と思った。
「人より急がなきゃ、て思ってたのかな……?」
キャッチボールは続く……どんどんゆっくり遅く、取りやすくなってゆく。
「追いつけたのは、本当にライダーかプロぐらいだったんだろうねえ~……」
「まあ、だからこそ絵描けってのも変だけど……、要するにカラーイラストを定期的に描けば良いんだろ?」
「でもそれで効果って発動したっけ……?」
していない、というより。した感覚がないと言ったほうが良いだろう。実際には〝変化〟はあったはずだ。吸血鬼大戦が強すぎたが故に、世界がソレに順応したのだろう。そのあとの混沌した時期も何とかそれで持ちこたえた。
「ボールというものは手放すしたら制御できない、だが予備動作はコントロールできる、ソコからは手による変化球で決まっちゃうから。要するにリリースする前が大事何じゃろうな」
「これを絵や漫画に応用できれば……いや、出来てれば……」
「むしろ、……2002年から2012年? までは絵に順応して、2013年から2024年までは小説に順応した形が非常に強い。だから例えばソードなアートなオンラインは。アートしてなかったら微妙に動けなかった。という言い方のほうが強いかもしれぬ」
「あとは色……質感か……」
心氣には〈型〉があるとは設定したが、速度や色彩については設定していない。
「速度は設定しなかったっけ?」
「……した気がするなあ……忘れた」
「むう、じゃあ心氣には速度レベルと色彩指定しないといけないって〈設定〉すれば? そうすれば少しはコントロール出来るんじゃない」
「あー、そうじゃな。色は開拓されてるが。特に速度レベルは0かマイナス1かプラス1かで変わってくる……、ちなみに0がリアルタイムな」
「誰に設定する? やっぱBIG4の4人か?」
「設定してもいいけど、まずGMである自分達で出来なきゃ……」
「あ、そっか……」
というわけで、〝今回は〟テストフェーズに入った、ちなみに見聞殺しはしていない。プレイヤーも運営もNPCもキャッチボールを見ていて、それぞれ何だ何だと会話をしている。
ヒメの方にボールが向き、そして発射台に立ったようだ。
「えっと、じゃあまず。心氣の色は〈赤〉、文法型。速度レベル0、リアルタイム制で……一球、ほい!」
――神速。ズドン! と、弾道ミサイル級の何かが飛んできた。サキはソレを普通に受け止める。一応、領域の外側だ。
「えっとじゃあ、心氣の色は〈黒〉で、えっと遅いのを知りたいから……、環境型、速度レベルマイナス2ぐらい。1日か2日遅れの球かな~……! えい!」
言ってサキはジャイロボールを投げた。一泊、ニ泊の間があってから……。
――神速。ぽすん! と、ボールがヒメに届いた。一応、領域の外側。
「んじゃ次、問題の一発だ。心氣の色は〈七色〉、速度レベルはプラス2。射程範囲はアメリカ全土にして、領域の内側だ! これで、……どうだ!」
――神速。パスン! と、ボールがサキに届いた。サキの右手はヒリリと手の内側が痛くなった。反動である。サキにとっては屁でもない。
「終わり、この状態で、えっと一泊間を開けるの?」
「そうなる、ターンエンドじゃな。全王型は流石に今回の実験では投げる気にはなれなかったけど、まあとりあえずこれで様子見。あとは予約投稿した後に、どうなるか、何だよなあ~~~~」
回りの観客には、何か恐ろしいものを見た目で見られるが。
変質する前の神業なので。家族の善神と自由の悪神にとっては「?」なのであった。
◇
第一の街『始まりの街ライデン』。ビルドとデストロイはサキを呼び出して、クライマックススキルの話を聞いた。現在確認されているクライマックススキルの情報はこちらとなっている。ちなみにビルド視点の情報である。
〈無限大な爆弾鳳蝶〉
力S、速度C、範囲A、制御C、反動A、成長A。
ギルド『四重奏』、使用者『信条戦空』。
効果情報、なし。
〈彼岸花の咲く夜に〉
力B、速度D、範囲C、制御S、反動C、成長D。
ギルド『非理法権天』、使用者『湘南桃花』。
効果情報、なし。
〈最強無敵のその果てへ〉
力A、速度B、範囲S、制御A、反動B、成長E。
ギルド『最果ての軍勢』、使用者『真城和季』。
効果情報、なし。
〈天上院咲は勇者である〉
力B、速度S、範囲B、制御B、反動D、成長A。
ギルド『放課後クラブ』、使用者『天上院咲』。
効果情報、なし。
「え、なにそれ知らない、聞いてない、どゆこと? あ、本当だ何かスキル欄に追加されてる……〈天上院咲は勇者である〉いやー照れるなあ~!」
「照れてる場合じゃねぇじぇ~……♀」
どうやらサキ令嬢、本気で知らなかったらしい。しばらくログインしてなかった時期にアップデート・バージョンアップされたのだろうか?
ビルドはサキに更に気になったことを聞いてみる。
「まあそれもツッコみたかったんだけどさ、前々から思ってたけど、この天上院咲って本名だよな? お前、身バレしてね……?」
そうなのである、身バレないし、本名バレしているのである。
「まあ、上位陣は自然と顔見知りばっかりになっちゃってさ、何か自然な流れで咲で統一されていったんだよねえ~不思議な流れで。あいや、一時期ヤエザキって偽名で遊んでたんだよ? でもサキに戻っちゃったんだ」
生々しい話である。で、色々と脱線したが、やっと本題に入る。
「でさ、暇ならクライマックススキル使ってくれよ、勿論タダとは言わねえ、ちゃんとバトルしようぜ! オーディン戦はやっぱ真剣勝負で楽しかったし!」
と、ビルドはサキに言うが、ランクマッチを希望しているプレイヤーに、ノーマルランクとマスターランクが戦ってどうするんだ? と言うのは冷静に考えてそう思う。
とは言え、断るる理由もないし。てかヒマだし。スキルの威力も試したいし。ということで、マッチングをしようと思った。デストロイとのレベル上げは、一旦お預け。
「えーいいなぁー私も戦いたーい!♀」
キャットファイトか、ソレも悪くない。
「せめてノーマルランクになってから戦いましょう、PVP戦は、ウチの仲間は基本的にウエルカムです! ……しっかし、1日1回1ギルド1人までかー厳しい制限だね」 というわけで、早速ビルドVSサキが戦う形となったが……。
「そう言えば、これ自分でルール決めるんだよね? 決めてないって事は決まってないって事だよね? つまり名前だけ用意されて、中身空白みたいな……」
……そうなる。
「んー今すぐか~……思いつかないなあ~」
つまり、出ないものは出ないということらしい。ならばとサキはデストロイに話を続ける。
「じゃあさあ、私がクライマックススキルを考えてる間に、デストロイは始まりの草原でモンスター退治してレベル上げしててよ。そうすれば私も考える時間が出来てウインウインかなって」
「お! 遂に私のターンか!?♀」
何かノリノリでやる気に満ちた表情と仕草のデストロイである。
「でもあんたら強いからなあ~、そこら辺のモンスターじゃ味気ないかも……そうだ! あのイフリート戦やってみたら! 新人プレイヤーの登竜門!」
流石にイフリートの名前ぐらいは聞いたことあるので反応したビルドとデストロイ。
サキは号令を出す。
「じゃ! 早速〈イフリートの熱山〉へゴー!」
「おー!♀」
「お、おー! てか俺等って強いのか? サキとオーディンしか戦ったこと無いからいまいちわからん」
〈イフリートの熱山〉初心者プレイヤー最初のボス戦である、本来。というか、ビルドの場合いきなり最前線のオーディン・ステラ・エイティーンとバトルしたので今イチ勝手が解らない〈スキルビルダーズ〉である。
……で、ダンジョン内をサクサクと進み。ボスエリアへとなだれ込む3人。
『我の眠りを妨げる不届き者め、その貧弱さを思い知……ゲエ!? 最長文学少女サキー!?!?』
何かボスに認知されている上に、挙動がおかしくなった威厳のあるイフリート。
「知ってるのか? てか何か怖がられてね?」
「まあ昔ね。さあ! イフリートVSビルド&デストロイの始まりですよ!」
◇
『げえ!? 最長文学少女サキ!?』
「よ! イフリート!」
「知ってるのかサキ?」
「何かボスがヒヨッたじぇえ♀」
実はカクカクシカジカで……。
『なるほど、話は大体解った。オーディン・ステラ・エイティーンと戦ったのだな。ならば私が本気を出してもお前の望む〝楽しさ〟は得られぬだろう』
「いやいや、そうじゃなくて今はデストロイちゃんのレベルアップを……!」
『しからば、お主等の世界のシステムで難易度を〈アンノウン〉にしてみてはどうだ? さすれば、本気の私とシステムの本気、両方味わえてニ度美味しいというものだろうて』
「いや、そういう話じゃなくて! 今はデストロイちゃんの戦闘を……! てか、私まで戦闘に参加したら考えてるヒマが無くない?」
「諦めろサキ、話が進まない」
《ビルドが、難易度アンノウンを設定しました!》
《神殺しのイフリートが勝負を仕掛けて来ました!》
「ねえ! 話聞いてる!?」
「ケケケケケ! わーい戦闘だー!」
そんなこんなで、戦闘が始まった。
『かあ! フレア!』
灼熱と業火の意志が全てを焼き尽くす……!
ビルドとデストロイがちょこちょこバトルをしている間。咲は咲のクライマックススキルを考える。
〈天上院咲は勇者である〉ルールを決められるというのも中々乙なものだが、いざ、白紙の紙に好きな絵を描いていいですよ。と言われても手や思考が止まる。のでここは皆の模範となるような、典型的な〈固有結界〉で良いだろう。とサキは思考。
つまりフィールドを自分の有利な環境に書き換えるというものだ。
「そして心象風景……」
そう、固有結界とは心象風景のことであり。その空間に何を絵描きたいか? で全ての構築が決まる。つまるところ、自分は〈何のために〉この心象風景を絵描いたのか? という動機づけが重要となってくる。
(私の望む心象風景は何だ? 消去法で行こう。まず軍勢はバツ、私は強い軍隊を作りたいわけじゃない。次に最強の攻撃力が欲しい? これもバツ。 私は最強に成りたいからこのゲームを遊んでいるわけじゃない。私は、私の信じるお姉ちゃんの面白いゲームを遊びたいだけだ……。 ! それか、イメージするのは常に最高にエンジョイできるゲーム……!)
骨組みは出来た。サキのテーマはこうだ。
「仮想世界の中に、〈更に理想の仮想世界を作るスキル〉! 最高にエンジョイできる空間! いや……逆だ!」
エンジョイしたいのにエンジョイできない狭間の葛藤を私は絵描きたい!
太鼓の達人でポップンを叩くような温度で世界を崩壊させてゆくような魑魅魍魎な世界観! ポン! ポン! ポポポン! 和ロック! ビートを上げて激しくポップに叩く! エイトビート! シュンシュンシュシュシュ! シュバババババン! ギュイーン! ヨオー!
「そう、エンジョイポップン太鼓音楽を最後まで聞き終わるまで終われない固有結界とか! ……出来た!」
〈天上院咲は勇者である〉クライマックススキル。
力B、速度S、範囲B、制御B、反動D、成長A。
ギルド『放課後クラブ』、使用者『天上院咲』。
効果情報。典型的な固有結界。この世界ではサキが支配者であり魑魅魍魎の魂が開放され、何でも出来るエンジョイ空間になる。内部空間は世界の崩壊から始まり、エイトビート。〈エンジョイポップン和ロック太鼓音楽〉を最後まで聞き終わるまで終われない。音楽は3分間で音楽が終わり、世界が再生されて終わる。サキがエンジョイできる展開であれば音楽と言うなの秒針は進み、サキがエンジョイできない展開では秒針は止まり、世界は止まり、音楽は止まり、世界は再生されない。曲が終われば世界は再生され、元の通常世界に戻る。どんなに世界が破壊されていようと、始点が崩壊から始まるこの固有結界は再生完了で曲が終わる。
まさにサキは世界を救ったエンジョイ勇者となる。
グワアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?
わけもわからずイフリートは吹き飛んだ。どうやらサキがイメージを膨らませただけでダメージを与えられたようである。
「どうよ! ポン! ポン! ポポポン! って!」
サキが自信満々に自分ルールを説明するが。
「つまり一言でいうと?」
「フィーバータイム♀」
小説内で、音楽を表現するってことか~。などとビルドは思った。
「ストレス貯まってて、太鼓をバンバカ叩きたいんだなって気持ちは伝わったかな」
「曲を聴いてる限りだと、こういうノリで盛り上がりたいんだって気持ちはくめたかな。気持ちだけ」
皆が乗れるかはそれはまた別問題だけど、魂を開放するような空間だということは良く解った。
というわけで、気持ち良くバッタンキューになったサキの姿があった。
「最高ー!」
満足できたようで何よりである。
《ビルド&デストロイ&サキで、イフリートを倒した!》
◇
「……腹減った、そういや一番いけないことはお腹を空かせる事だってお婆ちゃんが言ってたな……♀」
《学習しました、デストロイはユニークスキル〈美食家〉を獲得しました!》
《続けて、アンノウン・イフリートを倒したことにより〈美食家〉のレベルが3上がりました!》
《デストロイのランクが【ノーマルクラス】になりました!》
〈美食家Lv1U〉
系統◇変化
現実世界で食べたゴチソウによって、仮想世界でフォームチェンジをする。
〈美食家Lv2U〉
系統◇変化
現実・仮想世界で食べたゴチソウによって、仮想世界でフォームチェンジをする。
〈美食家Lv3U〉
系統◇変化
①現実・仮想世界で食べたゴチソウによって、仮想世界でフォームチェンジをする。 ②スキルを構成する心氣を両手で食べる事によって、相手のスキルの吸収・解析をした上で、自身は体力を回復する。
〈美食家Lv4U〉
系統◇変化
①現実・仮想世界で食べたゴチソウによって、仮想世界でフォームチェンジをする。 ②スキルを構成する心氣を両手で食べる事によって、相手のスキルの吸収・解析をした上で、自身は体力を回復する。
③〈美食家〉が成功した場合〈お裾分け〉が発動し、他者に〈心氣エネルギー〉または〈吸収したスキル〉そのものをお裾分け出来る。
④〈美食家〉が成功した場合〈配膳〉が発動し、吸収した〈心氣エネルギー〉を指定した全員に分け与えて心氣エネルギーを回復させる。敵味方を問わないフィールド全体回復スキル。
③と④の効果は、一回の戦闘で一度しか使えず。また戦闘以外では1時間のクールタイムが必要となる。
ビルドは、デストロイの成長しビートに驚く。
「おお、一気に成長したな、しかもユニークスキルだ」
そりゃあ、難易度アンノウンを倒してしまったのだ、経験値はバカでかい。デストロイは自分のスキル成長に喜ぶ。
「まあ色々ツッコみ所はあるが、フォームチェンジって何だ?♀」
「変幻自在ってことじゃね? 食べるゴチソウによって変化するっていう」
「なるほど……じゃあ、スロット整理してから、一回ログアウトしてメシ食うわ♀」
「おっと、もうそんな時間か。俺もログアウトしてメシを食おう、今ログアウトしても第一の街がセーブポイントだよな?」
と、ビルドはサキに確認する。
「うん、じゃ私もアウトするわ。じゃーねー!」
「おーう」
「んじゃー!♀」
《ログアウトしました、お疲れ様でした。》
こうしてビルドにとっての仮想世界での旅は、一時の終わりを迎えた。
「知ってる天井だ、……ふわー久々の現実世界……! 結構ゲーム進んだな……」
プレイヤー名【ビルド】、ランク【ノーマルクラス第80位】。
・メインスロット8/8
〈業魔幻滅剣Lv3U〉〈学習Lv2鍵〉〈四刀流Lv1〉〈投影Lv1鍵〉〈鏡転Lv1〉〈絶対回避Lv1〉〈真偽看破Lv1〉〈加速世界Lv1〉
・サブスロット18/18
〈ビルドLv3U〉〈物拾いLv2〉〈ウインドカッターLv1〉〈地脈Lv1〉〈心眼Lv2鍵〉〈トランジスタLv1〉〈連鎖反応Lv1〉〈地図師Lv1〉〈鷹の目Lv1〉〈森羅万象のワルツLv1〉〈秘匿Lv1〉〈鍵Lv1〉〈奪取Lv1〉〈妨害Lv1〉〈反応速度論Lv1〉〈威圧抵抗力Lv1〉〈先取り披露Lv1〉〈過去に戻って誤差修正Lv1〉
プレイヤー名【デストロイ】、ランク【ノーマルクラス第101位】。
メインスロット8/8。
〈美食家Lv4U〉〈MAXデストロイLv1U〉〈追跡Lv3鍵〉〈瞬間移動Lv1〉〈風操Lv1鍵〉〈学習Lv1〉〈鏡転Lv1〉〈心喰Lv1鍵〉
サブスロット3/3。
〈鍵Lv1〉〈鷹の目Lv1〉〈奪取Lv1〉
プレイヤー名【サキ】、ランク【マスターランク第4位】。
クライマックススキル
〈天上院咲は勇者である〉
メインスロット8/8。
〈森羅万象のワルツLv?〉〈一時停止Lv?〉〈奪取Lv?〉〈雷天大壮Lv?〉〈天翔る光の矢Lv?〉〈スーパーフレア・フルバーストLv?〉〈見聞殺しLv1〉〈禁ずる弾丸Lv?〉
サブスロット?/?
※見聞殺しにより封殺されています。
◇
ここは運営制限スキル会議室。簡単に言うとゲーム難易度調整会議である。
〈学習Lv2〉系統◇勉学
マスターランクを学習したことによりレベルが上がった。
ある程度の剣術、技術、タイプ術は無条件で学習・習得が出来るようになった。
※①悪・鋼・妖・全系統のタイプは習得不可。②〈見聞殺し〉の下位互換で完全封殺される。
運営A「えっとさ、まず〈学習〉強くね?」
運営B「うん、強いな」
運営C「エピソードやイベント、話の最中でもポンポンスキルが生えるわ生えるわ……、産まれるのが問題点っちゃ問題点」
運営D「最初こそ、スキルが少なくて味気なかったが。今やスキルのバーゲンセール。そんなポンポン新しいスキルを出されても困る」
運営E「それだったら初めにシステムとして経験値と一緒に学習がオート実装か、学習自体を1日1回とか制限設けないと、ゲームとしてのシナリオクエスト無しで速攻で報酬のスキルが手に入るのがまず問題なんよな……〈投影〉はまだシナリオにそってるだけマシ」
運営E「〈投影〉は今回までは使用頻度低かっただけで、活躍の場が増えればどんどん使うだろあれ……投影は準制限」
運営A「そういや投影って、さらっと敵側は全スキル投影したけど、プレイヤーが使うと1スキルパクる効果じゃなかったっけ? アレどっちが正しいんだ?」
運営B「それテキストに書かれていないな、準制限は賛成だけどそこはテキスト修正も必要なんじゃないか?」
運営C「もし投影が全スキルパクる効果なら禁止か制限級、1スキルだけパクる効果なら制限か準制限級かなと思う……」
〈投影Lv1〉修正案 系統◇技巧
一定時間スキャンする時間を有するが、成功したら相手の1スキルをそっくりそのままうつす事が可能。スキル〈鍵〉をされていたら投影出来ない。どれだけ時間をかけようとも1日1スキルしか投影して自分のものに出来ない。
運営A「ほんそれ……スキルがポンポン手に入るクセに、そのスキル背景エピソードも何も無しでスキル手に入るのがマズイ……っす」
運営B「そりゃ、シナリオテキスト増えると運営側は困るけど、安易なスキルの安売りも困るっていうね。まだ〈物拾い〉の方が良心的。だってその世界観の背景で落ちてる物を拾うんだからまだ判る」
運営D「それで行くと使われてないだけで、〈連鎖反応〉も危ない」
運営E「連鎖反応は大丈夫だろ」
運営C「とりあえず、満場一致で〈学習〉は禁止スキルで良いな?」
運営全員『異議なし』
運営A「他に禁止にすべきスキルは?」
運営B「〈過去に戻って誤差修正〉はどうなんだアレ?」
運営C「アレは問題ないだろ、強すぎるのは同感だが、技術レベルが高くないと出来ないだけまだマシ」
運営B「でも、何回もそうポンポン使って良いものでもないんだよなあれ……」
運営E「確かに、準制限ぐらいが妥当なんじゃないか?」
運営D「話戻すけど、いきなり〈学習〉禁止はまずいんじゃないか? 運営陣は良くても大多数のプレイヤーが実際に居るこの世界で……いきなりそのスキルはダメです何てやったら大混乱だぞ」
運営A「確かに、じゃあ制限にするか、1日1回のみ使用可能な制限スキル」
運営全員『異議なし』
運営A「GMの姫様、問題はないですか?」
天上院姫「ん、いいよ」
◇
《運営からのお知らせ、以下のスキルが制限スキルに指定されました。制限スキルはテキストに書いていなくても、1日1回しか使用できません。なお、今まで学習したスキルに関しては対象にはなりません》
制限スキル◇テキストに書いていなくても、1日1回までしか使用できない。
〈学習〉
〈投影〉
準制限スキル◇テキストに書いていなくても、1日2回までしか使用できない。
〈過去に戻って誤差修正〉
現実世界、円卓心八/ビルドは自宅で仰天していた。
「マジか!? あの超便利スキル〈学習〉制限になったの!? うわー! これから先スキル取るのが大変だあー!?」
むしろ今までがスキル大量入手し過ぎで制限になった事を、心八は知る術を持たなかった。
皆が皆こぞって入手したがる〈学習〉、プレイヤーは皆スロットに入れていただろう。何せ戦闘中に学習したらどんどんスキルがサブスロットに増えるのだから。こんなに美味しかった事はない……。
まあそんなこんなで、1日1回限定の制限スキルと化してしまった訳であった。




