第625話「承・スキルビルダーズ⑤」
西暦2037年9月16日。
〈過去に戻って誤差修正Lv1〉
本来迷子の時に使うべき、時間干渉・体験改竄スキル。一見地味なスキルだが、これで多元宇宙迷宮を脱出できるとオーディン・ステラ・エイティーンは絶大な信頼を持っている。別のスキル〈不可逆の世界〉などと相性が良く、時間の流れに逆らわずにエピソードを割り込み改竄出来る。自分に有利な流れを作り出すことが可能。本来悪用する為のスキルではない。過去の時間の空白の時間に対して割り込みエピソードを追加してゆくスキルなので、そのエピソードは真実となり、特にデメリットもないがプレイヤーに対して高等技術を要求されるので誰も使いたがらない。故に立派なスキル、技術なのだ。
「……、……。」
〈リュビアー大陸、第三休憩所、憩いの洞窟住居『スヤリ』、ビルド工房拠点〉
「いや強くね?」
ビルドの第一声がまずそれだった、強いには強い、だがメインスロットに入れるかは微妙なラインだった。扱いが難しすぎる。オーディン・ステラ・エイティーンはいなくなっていた。「私もここまでかな……」とサキは呟きを零す。
「え?」
「お別れってこと、最前線に戻りたくなったんだ」
なんか知らんがサキのやる気に火がついたらしい。よかった、それはそれとして最前線が強すぎた。サキも強かったし、オーディンも強かったし、戦空も強かった。むしろ強かったプレイヤーとしか当たっていない。ちょっと負け癖がついたかも知れない。
「じゃあ俺は、始まりの街から再スタートするよ。何かサキたちと同じ苦労をしてから、第一線に行きたくなった。まあ、たまに? 結構ビルド工房には寄ると思うけど……」
「ふふ、そう言ってもらえると助かる。じゃ、いつか最前線で会いましょう」
《ワールドアナウンス、第零陣が〈西の大門〉を通過しました! 最後の大陸〈エウローパ大陸〉へのマップが更新されました!》
「じゃあ、最後の大陸で待ってる。あんま遅いと攻略終わっちゃうかもだけどね!」
「望むところだ! 全力疾走で追いついてやらあ!」
ここで、サキとオーディン、ビルドとデストロイは別れた。
〈アシアー大陸、第一の街『始まりの街ライデン』、ビルド工房2号店拠点〉
ビルドは、余ってたお金でさっさと〈ビルド工房2号店〉拠点を作って衣食住の住を確保した。そこには、ギルド『スキルビルダーズ』の相棒というか付き添いネズミみたいな相方デストロイだけが残った。……何だか一気に寂しくなる。
「ケケケ! お前と面と向かって喋るのは初めてかもしれねーな! 何かいっつもあのサキって女が付き添ってたからな!♀」
「……まぁ一理ある、正直頼りすぎてたかもしれない」
そこは素直に認めるビルド、何だかんだで一緒に付き添ってくれるデストロイもお人好しっちゃお人好しだった。……悪魔のような相方だが。根はいい奴なのかも、いややっぱり悪いやつだ。
「じゃあ、ちょっとあたしと1戦ヤッてくれよ! 生憎あたしまだビギナークラスなんだ! スキルとかのレベル上げ手伝ってくれ!♀」
サキが初心者に教えたように、ビルドもデストロイに教える……悪くない関係かもしれないとビルドは思った。
「いいぜ、仲間のスキルも覚えておかねーとな!」
「ケケ! 仲間とか言うなよくっすぐってえ!♀」
……というわけで、デストロイのスキル探しをするために、始まりの街を練り歩く所から始まった。
デストロイのスキルチューニングの時間に入ったわけだが、現状こうなっている。
プレイヤー名【デストロイ】、ランク【ビギナークラス】。
メインスロット3/8。
〈MAXデストロイLv1U〉〈追跡Lv3〉〈瞬間移動Lv1〉
サブスロット0/0。
(攻撃技がない。いやむしろ、何で今まで最前線に来れたのコレ……?)
で、詳細を観たのが〈追跡〉スキルだけレベル3だ、何だこれ? とビルドは思って詳細を読んだら。コレはもはや、ただのストーカーじゃん……! ビックリだよ!
〈追跡Lv1〉
追跡したい相手の位置情報がマップ上で判る。
〈追跡Lv2〉
追跡したい相手の位置情報がマップで上判る。相手に気配を悟られない、ヘイト効果軽減、自分がプレイヤーとして操作しなくても〈自動追跡〉が可能に。
〈追跡Lv3〉
追跡したい相手の位置情報がマップで上判る。相手に気配を悟られない、ヘイト効果軽減、自分がプレイヤーとして操作しなくても〈自動追跡〉が可能に。相手の位置情報まで〈瞬間移動〉が可能になる。自身が行ったことの無いマップ上でも〈瞬間移動〉が可能になる。
〈瞬間移動Lv1〉
指定した位置までワープ出来る、テレポーテーション機能。呼ばれたら来る。
◇
《物拾いにより、〈スキルの心氣〉500個を手に入れました!》
「なんだあ? スキルの心氣? 500個?」
いきなりの落とし物に面食らうビルド、デストロイは「お!」と知ってるような口で説明してくれる。
「スキルを作る材料だよ、スキルは心氣で形成されているって知ってるよな?♀」
「ん? ああ、どっかで聞いたような気がする」
ビルドは、どこで聞いたか忘れたが、それは内緒だ。
「お前のユニークスキルは〈ビルド〉だから、そのビルドを使って、〈スキルの心氣〉の合計量に合わせて〈錬成〉が出来る。スキルを作れるって寸法よ! たぶん今までの知ってるスキルだったら何でも〈錬成〉出来るんじゃないかな?」
「なるほどなるほど、そういうわけか。つまり俺のビルドショップが遂にオープンって事だな! やっとビルドを活かせるぜ!」
お陰でスキル屋さんに直に行く必要は無さそうだ。だって自分でデストロイにスキルを錬成出来るということだからだ。
で、ナレーションに話を聞いて、色々と試行錯誤した結果、今できる範囲。〈ビルド工房〉の〈スキルの心氣〉の値段? はこうなった。
第一回ビルド工房、スキル屋さん、品揃え一覧。所持スキルの心氣500個。
〈業魔剣Lv1〉レア度1、スキルの心氣25。
〈幻滅剣Lv1〉レア度1、スキルの心氣25。
〈風操Lv1〉レア度1、スキルの心氣25。
〈斬撃Lv1〉レア度1、スキルの心氣25。
〈物拾いLv1〉レア度2、スキルの心氣50。
〈学習Lv1〉レア度3、スキルの心氣100。
〈心眼Lv1〉レア度3、スキルの心氣100。
〈地図師Lv1〉レア度2、スキルの心氣50。
〈鷹の目Lv1〉レア度1、スキルの心氣25。
〈投影Lv1〉レア度3、スキルの心氣100。
〈奪取Lv1〉レア度2、スキルの心氣50。
〈鍵Lv1〉レア度2、スキルの心氣50。
〈鏡転Lv1〉レア度3、スキルの心氣100。
〈心喰Lv1〉レア度3、スキルの心氣100。
デストロイはなるほどね~と品定めをする。
「こん中から選べば良いわけか! いいねいいね~♀」
「お好きな品をどうぞ!」
「攻撃技の品揃えが悪いな~、ま~でも私は剣使わねえし、風操は確定で……、ビルドの戦闘スタイル見てたけど、やっぱ学習は欲しいよなあ~、あとは適当に、鷹の目、奪取、鍵、鏡転、心喰かな……」
「てことは、……スキルの心氣450個になります!」
「買った!」
「売った!」
《交渉が成立しました、デストロイのステータスに反映されます!》
で、色々とセッティングした結果、こうなった。
プレイヤー名【デストロイ】、ランク【ビギナークラス】。
メインスロット8/8。
〈MAXデストロイLv1U〉〈追跡Lv3鍵〉〈瞬間移動Lv1〉〈風操Lv1鍵〉〈学習Lv1〉〈奪取Lv1〉〈鏡転Lv1〉〈心喰Lv1鍵〉
サブスロット2/2。
〈鍵Lv1〉〈鷹の目Lv1〉
「よし出来た! 案外強くなっったんじゃねーか?♀」
「見た目だけな、実戦は知らん」
盗まれたり、奪われたりして困るものには鍵をかけておく……。この場合唯一の攻撃手段の風操と、ビルドと本気でハグレたら困るので追跡、そしてサバイバルでも生き残れるように回復技の心喰が彼女の〈鍵〉対象となった。中々に考えられている。
《スキル〈ビルド〉のレベルが3に上がりました!》
「んん? 何か上がったぞ!?」
〈ビルドLv3U〉レア度4。
①〈スキルの心氣〉を素材として〈錬成〉する事ができる。②「心は言魂で出来ている!」という短い呪文の後に発動。対象物に対して、理解・分解・再構築を実施する。③いつでもどこでも〈ビルド工房〉の〈移動型〉の〈拠点〉を設置することができ、〈スキル屋さん〉を経営することが可能に。拠点の中は寝泊まりができ、ちょっとやそっとじゃ壊れない。
「おおやった! レベルが上がったぜ!」
「ケケケ! やったぜ!♀」
しかも移動型の拠点になっている。これはありがたいとビルドは感謝した。
ついにここに来てお飾りユニークスキルだった〈ビルド〉が本領を発揮し始めた。
「さて、次はどこへ行く? デストロイ」
「始まりの街を散歩しよーぜー♀」
そう言い、丘を超える軽やかさも加えてさっさか街の店の外へ出かけるのだった。
◇
「クライマックススキル?」
テクテクと練り歩いていたら、街中で【スーパーランク】のプレイヤーと話が出来たので、聞いていたら、また何か知らん謎スキルの話が出てきた。
「おう。スロットの中で、たった1つしかセットできないスキル。それが〈クライマックススキル〉だ、簡単に言うと必殺技だな」
「なるほどつまり秘奥義か!」
ビルドの中でド派手なエフェクトの技の連続攻撃をイメージした。
「あるゲームをきっと想像してるんだろうけど、たぶん惜しい、それじゃない」
「え?♀」
デストロイもビルドと同じものをイメージしていたので、呆然とする。
「その〈クライマックススキル〉てのは、個々人でルールごと決められるんだ。ポ○モンで言うと、メ○進化・ゼ○ト技・ダ○マックスス・テ○スタル……皆、発動条件やルールが違うだろ? だから、攻撃技だけじゃないんだ」
「へー……ルールごと決められる、固有結界や領域展開みたいな?」
「そういう〈クライマックススキル〉をセットするプレイヤーも居るし、それらを打ち消すスキルをやる奴もいる。ま、共通することと言えば、皆〈インフレする〉て事かな~……」
冒険者プレイヤーが大空を見上げる。空には雲しか無いが……。
「そんなスキル何個もストックできるのか?」
「いや出来ない、1つ作ったら昔のスキルは破棄しなきゃならないな、そういう意味では結構リスク重いかもしれない。そしてクライマックススキルはこのゲーム世界でただ一つじゃないといけないルールがある。同じ能力・文面を持ってるプレイヤーは居ちゃいけないんだ」
皆が皆、違うクライマックススキルを持っている。しかし、ルールを作れるルールがクライマックススキルと言うのは解ったが、イマイチピンとこない2人の初心者プレイヤーだ。そして疑問が1つ浮かび上がる。
「それが本当なら、この世界に居る一人ひとりにクライマックススキルがあって、このオープンワールドはカオスにならねーか?」
だから制限がある、というスーパーランクプレイヤー。
「使用できるのは〈1日1回〉しかも〈1ギルド1プレイヤーだけ〉なんだよコレ! まさに必殺! 奥の手! 戦局が引っくり返る大技!」
「なるほど、集団戦専用の大技か」
じゃあそれは、基本レイド戦や、戦争系ゲームに発展した時の奴何だろうなと勝手に妄想を膨らませるビルド。
「でも具体例を出されないと、イメージできないぜ♀」
確かにその通りだな、と思うビルドだった。
「あと仮に1つのクライマックススキルを教えられても比較対象がないから解んない、4つぐらい代表的なの教えて」
と、言われて呆れるスーパーランクプレイヤーは街中で教える。
「いいぜ、じゃあ知らなかったじゃ済まされない。〈BIG4〉のクライマックススキルを教えるよ。流石に有名過ぎて知らないとちょっとドン引きされるスキルだしな」
「そうなのか? てか〈BIG4〉て何? バンドか? バンドの名前なのか?」
「それすらも解らなじぇ……♀」
そこからか……と、ため息をされるスーパーランク。肩の力がどっと抜ける。
「まて! まずこの世界で知らなきゃいけない最大最強ギルドが4つある、ギルド『四重奏』『非理法権天』『最果ての軍勢』『放課後クラブ』だ!」
「あ! 放課後クラブ……て!」
「まてまて! 話の続きだ! クライマックススキルを持ってるプレイヤーはその中で4人だけ! 信条戦空! 湘南桃花! 真城和季! 天上院咲! この4名! 常識だ! 雑学だがエレメンタルマスターじゃないのは不思議な事案の1つ!」
「げ! 天上院咲!?」
「さっきまで一緒に話してたじゃん!?♀」
「まてまてまて! 話の続きだ! そいつ等の持ってるクライマックススキルの話を俺はしてるんだよ!」
「そうだった!」
「……だった♀」
「で、今回は名前だけでも覚えて帰ってくれ、もう俺の時間が無い! 戦空のクライマックススキル名は〈無限大な爆弾鳳蝶〉! 湘南桃花は〈彼岸花の咲く夜に〉! 和季は〈最強無敵のその果てへ〉! 咲は〈天上院咲は勇者である〉だ! 今日はクライマックススキルの名前だけ覚えて帰ってくれ!」
そう言われて、スーパークラスはトイレ休憩か何かでログアウトした。
残された2人には、そう、サキの顔しか思い浮かべなかった。知らない事が山程出てきたからだ。これはそう、うん……。
「サキっちに聞かないと解らないね♀」
「だな……フレンド申請してたっけ?」
ビルドはステータスバーをいじくると、ソコにはフレンド登録していたサキの文字があった。
「まだランクバトルも、街のお外のクエストもやってないんだけど……?♀」
「でも知らないと恥かきそうな雰囲気だったし……本人から教えてもらおうか」
そうする他、道は無さそうであった。
そして、ビルドは知り合いにに対してメールを送った。
《おいサキ、この世界で何やった……?》
「ケケケ、第2回チュートリアルかな?♀」
それはちょっと困るけど、この世界の世界観だとしたら、それはそれで問題だな。
◇
現実世界、運営陣、ヴィラン育成計画。
ゲーム、エレメンタルワールドの会社員が、今日もせっせと働いている……。
「動機や目的は明白だ、悪役が居なければヒーローはヒーロたり得ない。日常系のほほんアニメしか作れない。すると面白くない、売れない、食べていけない。になるんだよ。この数ヶ月で悪役という名の悪の芽は潰されるだけ摘み取られてしまった」
「だから〈闇の秘密結社〉が居るの?」
「そうだ、〈怒りを売る会社〉がイル……〈怒りは金になる〉んだよ」
「でもそれじゃあ自分が〈痛い目〉に合うんじゃないの?」
「そうかもしれない、……だが、〈ネタを皆で温める行為〉は意図的に出来た。次は〈悪の芽を育てる行為〉が必要になる。それが出来なきゃお金は先細り……結局は食べれなくなって死ぬ……。善と悪、己の感情の上下関係を正しく出来なきゃ、いい作品は生まれない。これは自社の繁栄のためにあるんだ!」
NPCやAIをヴィランにする計画じゃない、そんな半端じゃ読者・消費者は感情移入しない……。つまり、この計画の肝は。
「プレイヤーを、人間をヴィランにする計画……」
「そうだ、悪役なんて生易しいもんじゃない、本物の悪者をプレイヤーの中から育む計画だ……。起承転結は出来た、皆のコントロールは出来た、あとは感情の上下関係を正しく理解し、正しく悪を育み、正しく警察に売る。その娯楽を消費者は楽しみ、私達は食べられる」
「それがお姉ちゃんの生きる道なの?」
「全部じゃない、私の大切な一部だ」
「家族の善神としては、……何だかなぁ~」
「……むう、悪い事だとも解ってる、悪い思想だというのも解ってる。だがこれはただの思想だ、善と悪、両方をちゃんと書いてこそ、ちゃんとした〈好い作品〉に巡り会える。そういう生きる道なんだよ、この世界はな」
「……悪に成りきれない悪役か、お姉ちゃんは……」
「ま、今はな」
◇
所変わって現実世界、学校の保健室。
第2回エレメンタルマスター、桜愛夜鈴が湘南桃花にナースの如く診断をする。
「痛い! いててててて!?」
「あーダメですね、右目がル○ィ、左目がシャン○スになってます。両方海賊です、流れが悪すぎます、模写をしましょう、重症なのでえんぴつじゃなく、インクで描かないと同等の力加減に成らないのでたぶん相殺できません」
「……ずっと? ずっとそうだったの!?」
「ずっとでしたね、流れ的に海軍のコ○ーを書いてから、天下無敵の幸運者、審判者のシ○ナを描けば。まあ少しは楽になると思いますよ? ご飯をインクで描いてもいい感じかもしれませんが、ちょっとソコはわからないですね。まずはコ○ーを模写で投影しましょう。変にアレンジせず、誤魔化さず、ただありのままを写す……」
「そんな! じゃあ作業は!? 投稿は!? 予約投稿のストックが無くなって……! イツツ!」
桃花の体のピクピクは全然治る気配がない……。これ本当に治るのか? ワ○ンダの技術なら治せるって言ってたけど……?
「落ち着いて、まずはコ○ーだけでもゆっくり描きましょう。海軍があなたの世界に居ません、だからまず、海軍を描きましょう。ゆっくりでもいいからまず絵描いて、でないとこの流れは好転しません」
「ま、マジか、お、おおう。今度こそ解ったぞ! でも本当にソウなのかな?」
「疑問を持つのも、もっともですけど……。えっと、予約投稿の効果で、見聞殺しが、ほぼ100%確定しましたので。まあ、今からだと【2024年7月22日】までに海軍を描いてくれれば、ほぼ100%効果が出ると思います。この1件は、見聞殺しで封殺しておくので、どうぞゆっくり海軍描いて下さい」
どうやら固有結界『見聞殺し?』でこの回は封殺しておくので、気兼ねなく気遣いなく休んで、どうぞ。とのことだった。
「それで治るの!?」
「それはわかりませんが、少なくとも流れは良くなります。好転し始めると思います。まずは海軍描いて、海軍。話はそこからです」
「お、おう、解った。じゃあまずはちょっと休む……」
「お大事に、ゆっくり描いていってね~~~~」
で、一晩寝て、海軍と王様と革命軍と新聞記者をインクで描き終わった。
あとは、【2024年7月22日】まで【結果待ち】となる形となる。
「これで治るのかなあ~? まじで?」
桃花の疑問は勿論だとは思う、しかし。
「確証はできませんが、今までの流れから言って、ある程度は保証できますね」
「保証ねえ~……」
その言葉に、若干の実績と信頼があった桃花先生だった。
闇と光が裏側で暗躍する。
世界がどこへ行くのかは未だにわからない。
だが、世界が好転する兆しは確かに視えていた。
「それはそれとして、私もう動いてもいい?」
「……、当分はそこに居てって言ったじゃない……」




