第624話「起・スキルビルダーズ④」
【速度より】公式総合掲示板1【作品の質】
◇
ギルド『四重奏』、桜愛夜鈴。
【こら戦空! あんたまた何かやったでしょ!? 栄光の碑銘の所がザワザワしてるし! あそこは神聖な場所なんだから暴れたらダメ!】
ギルド『四重奏』、信条戦空。
【だって、ウチ何かつまんなかったんだもーん!】
ギルド『放課後クラブ』、天上院咲。
【悲報、戦空の為に用意された戦空に似た強さのオーディン・ステラ・エイティーン。戦空がやっつける】
ギルド『非理法権天』、オーバーリミッツ。
【そういえば、桃花はどこ行ったの?】
ギルド『非理法権天』、秘十席群。
【あいつなら悠々と大自然の中遊び回ってるぜ、迷子だがな】
ギルド『放課後クラブ』、桜愛蒼葉。
【それ、ダメな奴じゃね? 誰か助けてあげないの?】
ギルド『四重奏』、日曜双矢。
【助けるとゲームが進行しちゃうし、最前線の前線が伸びちゃうからなあ~~助けてあげたくても、放って置いても自力で何とかするから何とも。なんてったって大監獄とか、多元宇宙迷宮を脱出した経歴のあるお方だしな……】
ギルド『非理法権天』、湘南桃花。
【そうだ! 掲示板で助けを呼べばいいんだ! ヘルプ! ガガガガ、メーデーメーデー! ここはわけがわからない所! どうぞ!】
ギルド『放課後クラブ』、天上院姫。
【諦めて、戦乱都市アスカに戻って、どうぞ。】
ギルド『非理法権天』、湘南桃花。
【そんなー! あ、ジャガイモ! ガブリンチョ!】
ギルド『放課後クラブ』、天上院姫。
【そもそも1人で脱出出来るように難易度設定してない。帰って】
ギルド『非理法権天』、湘南桃花。
【そんなー! あ、バナナ! ウッホ! ウッホ!】
ギルド『放課後クラブ』、天上院咲。
【……ねえ、ちょっと新人さんや私の閲覧数? ての見てるけど、……明らかに少なくない? 気のせいじゃないよね?】
ギルド『非理法権天』、秘十席群。
【恐らく放課後クラブ親衛隊らへんが、ストレス与えないように気を配ってくれてるのかと。驚くほど静かだし・集中できる環境は良いことだろ?】
ギルド『放課後クラブ』、天上院咲。
【まあ、それも気になってる一つだけどさ。……今、データを予約投稿してるじゃん? コレは何? 見聞殺しで封殺出来るの?】
ギルド『放課後クラブ』、天上院姫。
【出来ないことは何も無いんだから、出来るんじゃねーの? てか今更する必要あるのか? なのじゃ】
ギルド『非理法権天』、湘南桃花。
【皆グルなら別に封殺する必要なくね?】
ギルド『非理法権天』、秘十席群。
【賛成、投稿速度の遅い速いは関係ない。作品が面白くなるならそれでいい。本来そうであるべきだろ? 面白い作品を作るために最善を尽くす! そのために作品の鮮度が命なら先取り投稿すればいい。俺達は自分のペースで投稿するだけ。〈作品の質〉と〈自分の健康な体〉が第一な今だ。だから面白ければ〈先取り投稿もOK〉ってのが今のスタンス】
ギルド『四重奏』、京学文美。
【まあ、知らずに泥棒ー! て言ってた時代はもう終わったよねえ~】
ギルド『非理法権天』、湘南桃花。
【心の中で、「神速」って呟いてから皆が神速やって先取りされて何も出来なかった時の不毛さよ……。せっかくの装備も使いこなせなかった時……哀れ】
ギルド『非理法権天』オーバーリミッツ。
【そもそもWEB用だとしても、紙媒体に残さないで作った作品は、何も残らないので本末転倒な件について……紙で残せる形で作って】
ギルド『放課後クラブ』、天上院咲。
【ふーん、まあ何でもいいけど。消えたら嫌だけど】
ギルド『非理法権天』、レジェンドマン。
【ところで、咲は最前線に戻ってこないのか?】
ギルド『放課後クラブ』、天上院咲。
【ん~、今は新人さんみてる。まあ辞めたわけじゃないからそこは心配しないでちょうだい】
ギルド『放課後クラブ』、天上院姫。
【おっけーなのじゃー、ちょっと不安だが、それも含めて自由……!】
ギルド『最果ての軍勢』、真城和季。
【辞められたら困るってスレ読んだ時はちょっと笑ったな、今までの苦労は無駄じゃなかったんだって思えるよ】
ギルド『最果ての軍勢』、キャビネット。
【作者は人気無いが、作品やキャラは人気なのは御愛嬌だなくぎゅくぎゅくぎゅ!】
ギルド『放課後クラブ』、天上院姫。
【まあ、そこは平和に行こうぜ!】
ギルド『放課後クラブ』天上院咲。
【あ、じゃあ私は新人君の面倒見てるからこの辺で!】
ギルド『放課後クラブ』、桜愛夜鈴。
【おつ~】
ギルド『四重奏』、京学文美。
【またねー!】
ギルド『四重奏』、信条戦空。
【怪我すんなよー!】
ギルド『四重奏』、桜愛夜鈴。
【お前が言うなやバカ!】
◇
ビルドは、感情をサキに対して吐露する。
「他の事なんてどうだっていい。あいつが空を自由に飛ぶ竜だってんなら、俺は地を這う虎になりたい。どんな形だっていい、俺はあいつに勝ちたい。あいつを憎んでるとか、酷いやられ方をしたとか。そんな事はどうだっていい、頂きを見つけた、だから登ってみたい。あいつを、戦空を超えたい! ヤツの、奴の為だけの天敵に俺は成りたい! あいつと、並び立ちたい!」
その姿に、サキは女の子には無い男の子を見た。
「……男の子だなあぁ、キミは」
《物拾いが発動しました。〈先取り披露〉を覚えました!》
〈先取り披露Lv1〉
相手が使おうとしている攻撃技を自分の技として使い、ダメージを増倍する。後攻になった場合や、相手の技が変化技や必殺技の場合は失敗する。
だがしかし、恋愛感情は芽生えるはずもなく、むしろ悪落ちしそうな初心者に対して、その話の展開なら、と、話を続ける。
「んで? その戦空に勝ちたいってのは具体的にどう勝ちたいの?」
「何? ……勝ったこと前提で話を進めるのか」
「ビルドの心意気、立派だと思う。勝てたらそれこそ気分がいい……ただし。たった1人に勝つことなんて最前線は考えてない。全体論、その時その状況で正しく勝ち続けるからこその第一線なのよ。例えば、戦空だけに勝てる戦法を考えて、実際に出来たとする。誓約をより強固にすればそれも可能でしょう。でも、〈どう勝つ〉か決まってない」
「……」
「相手を一方的にマウント取って勝ちたいか。戦いの後に余力を残すか。戦い終わり、目的を達成したら死んでもいいのか……。悪いけど、死んでもいいから勝ちたい何て子に私は技術を教える気は無いわ。その上で、どう勝ちたいか聞いてるの」
「……」
この話は泥沼にハマりそうだったのでサキはビルドに対して本来の話題に戻す。
「ま、この話は一旦保留にしましょう。話を戻して……、剣だっけ? ナマクラの剣3本を何とか揃えたいって言う……」
「あ、おおう。そうだった、いくらスキルでセンク……、勝てそうに思えても、実戦で使えなきゃ意味ないもんな」
怒涛剣グラムボルトは自分で用意したが、残り3本の剣となるとアテが無さすぎるし材料もないし。そもそも戦闘も実戦も、モブ敵ともバトルしてない……。
そこで、サキは後ろ頭をカキカキしながら「しょうがない、あたしのお古を貸してあげよう」と言ってくれた。
「いいのか!?」
「ただし、貸すだけだから返してね? えっと、何処にあったかなあ~……」
サキのストレージの中は、アイテムや武器がゴッチャになりすぎてわけがわからない状態になっていた。
持っていたサキのお古は……。
呉剣『ジーラダガー』、荒ぶる神の化身の鱗を素材とした短剣。エンドコンテンツ。
罪剣『黒山羊八式』、贖罪の山羊の瞳が刻まれている片手剣。エンドコンテンツ。
星剣『ミルキーウェイ』、宇宙の中心点にあった片手剣。エンドコンテンツ。
「全部エンドコンテンツじゃねーか!?」
「まぁ、アルテマウェポンが無いだけマシということで……w」
「それの何処がマシなんだよ!?」
ビルドがサキのお古にツッコミを入れる中……。そしてあとは、怒涛剣『グラムボルト』を装備すれば……。
《右手に怒涛剣『グラムボルト』を装備しました! 左手に呉剣『ジーラダガー』を装備しました! 前方に罪剣『黒山羊八式』を装備しました! 後方に星剣『ミルキーウェイ』を装備しました!》
「出来た! 〈四刀流〉の完成だ!」
あとは実戦あるのみ! なのだけれど……。という所でサキが察した。
「試し斬りでしょ? いいわ、相手になってあげる」
戦空にスキルが効くかもわからないし、いきなり四刀流の夢が叶っても、技術や実戦が皆無じゃ意味がない。
〈第三休憩所、憩いの洞窟住居『スヤリ』、ビルド工房拠点〉の外側の広場。
「えー審判は、不本意ながらこの私、デストロイがやろうと思います~!♀」
ビルドとサキは広場の中心に陣取り、臨戦態勢に入る……。
「ルールは簡単、何かそれっぽくいい感じに一本取ったほうが勝ち! 私がソコマデと言うまで続きます……それではさっさと……ハジメ!」
サキはステータス画面を手で移動させながら表示。愛刀、真昼ノ剣と真夜ノ剣をストレージからタップし、実体化させ、剣を抜く……!
(エンドコンテンツがお古って、こいつは、こいつとその剣は何処まで強いんだ?)
「「よろしくお願いします!」」
ここに来て初めての対戦、お互いの力量がわかるいい機会になりそうだ。
試し斬りと言う名の、決闘が始まった――。
「では先手はもらいます! ただの普通の〈森羅万象のワルツ〉!」
(来た! このスキルは貰ったから知ってる! 連続8属性、8連撃攻撃!)
シュババババン――!
と、戦いが始まった――。
◇
「おい! あっちでサキちゃんが模擬戦やるってよ!」
「おいおいマジかよ見なきゃ!?」
と、野次馬の視線が増えてきた。やはり最前線と友達の第二陣となると、流石に顔が知れているのだろう。何故かSNSで拡散されて倍々的に視聴者が増えてゆく。
でも対戦相手のビルドって誰? と、疑問文を付けるプレイヤーがほとんどだった。
「8属性8連続攻撃! コレなら捌ける!」
ビルドにしてみたら、4本の剣で1本2回ずつ相打ちにすればいいだけである。方や相手は剣も腕も一本……反撃に転じればこちらに分があると踏んのだろう。その理屈は正しい……。カキキキン! と、全てを捌き切ったら反撃する隙が出来た。
「これで一本!」
スキルを発動し終わったら大きな隙・間が出来る。この世界の常識だ。だが口は動く……! サキは演唱呪文を唱え始めた!
「空想庭園、獄帝の竜王! その覇道を貫きしは漆黒の灯!」
何かの演唱呪文を初められた! マズイ! でも何の演唱を初めたんだ?
「学習!」
《〈見聞殺し〉により、〈学習〉が封殺されました! 学習出来ません!》
コノ! 止めなければ! と思い、反撃をするビルド……だが。サキは呪文を、演唱中断した。
「〈一時休止〉! 〈天翔る光の矢〉!」
シュバン! と古の光の矢が、左肩に突き刺さって取れない。左腕を封じられたビルド! 「ググッ!」と痛みを抑えきれずに仰け反る間に。サキに剣を構えなおす時間を与えてしまったビルド。
「混沌世界の概念を浄土と化し、黄昏の日の元に壊滅せよ!」
「絶対の焔よ、円廻の理より還るは覚醒成る両翼!」
ダメだ、演唱が止められない。だがこのままジリ貧で大技を食らうほど、変な鍛え方はしていないビルドは超接近戦へ持ち込んで、左手に持っていた呉剣『ジーラダガー』を捨てて、何とかサキの肩に触れる! ……と同時にサキも手で触れる!
〈奪取Lv1〉素手で触った相手のスキルを奪い取る。奪われた側のスキルは無くなって使用出来なくなる。
《〈スーパーフレア・フルバーストLv1〉を奪取し、手に入れました!》
「ッ!?」
「バースト系だったか! 〈真偽看破〉! 〈加速世界〉! 〈学習〉!」
ビルドは、簡単に言うと速読学習術で残りの演唱呪文を学習し・し終わった!
今度はビルドが演唱呪文の続きを唱える!
「大いなる破局を我が神眼に示せ!」
「森羅万象、誓約の名の下に、あまねく魂に悠久の炎を!」
「終わりだ! スーパーフレア・フルバースト!」
万事休す! と思われた所に、サキは笑みを零す。
「〈奪取〉&〈鏡転〉!」
「へ!?」
《サキは奪取により、鏡転を奪いました! 鏡転の効果発動!》
〈鏡転Lv?〉眼力を込めると相手のスキルをそっくりそのまま跳ね返す。力の方向を変えるので転写とは違う。
「スーパーフレア・フルバースト返し! 返しよ!」
ドカン! と放ったビルドのフルバーストは、グルンと180度、一回転して自分の方向へ戻ってきた! が、クン! とサキは微妙に方向をズラして。ビルドの横スレスレに炎は通り過ぎて、爆発した……!
「……、ふむ。まああんたの土俵で戦ってあげた分には、いい勝負だったんじゃないかしら?」
相手の土俵で、と言うのは。サキは今回スキル〈エボリューション系〉を使っていないとィう意味である。
呆然と見ていたデストロイは、我に返って審判をする。
「しょ! 勝負あり! 勝者!サキ!♀」
なお、お互い〈奪取〉されたスキルは勝負が終わったら元の持ち主に戻った。
つまり、〈スーパーフレア・フルバースト〉はサキに。〈鏡転〉はビルドに戻った。
〈一時休止Lv?〉
演唱中、技巧中スキルを中断するスキル。このスキルで意図的に中断されたスキルは途中で続けたり、途中で終わらせたりという〈途中続行〉〈途中中断〉が可能となる、テクニカルな技巧。応用すると〈立て直し時間〉なしで行動できるので非常に便利。その分必要とされるスキルポイントがちょっと高い。
◇
模擬戦が終わったので次のステップに入るサキとビルド。
「ふむ、ここまで出来れば。ビギナークラスは卒業かな、次はノーマルクラスだね! 行ってみよう! やってみよう!」
《ビルドは、ビギナークラスから、ノーマルクラス1にランクアップした!》
「? ノーマルクラスにランクアップしたらどうなるんだ?」
「メインスロットとサブスロットいう項目が追加される。メインスロットには8個、サブスロットには無制限でスキルがストックできる。そして戦闘中はメインスロットしかスキルが発動できなくなる! これはマスタークラスでも同じで、ずーと、続くルールなのです! メインスロットは8個! これは固定!」
メインスロット8個以外のスキルは戦闘中では使用できなくなる、つまりどれを使用するか、使用しないか。考える時間が必要になるのだ。同時にいらないスキルが判る時間でもある。
「なるほど、本当は戦闘中8個しかスキルを使えないのか……」
「本当は4個でもいいと思うんだけど……お姉ちゃんが味気ないって言うからそうなったんだ!」
「……お前の姉ちゃんって、ゲームマスターだっけ?」
「そう、んじゃ戦闘中に使える8個のスキルを考えよう!」
やけにテンション高いな、とビルドは思うがそこは気にしても仕方ないので明るく笑顔でビルドも返す事にした。
「お、おー!」
プレイヤー名【ビルド】、ランク【ノーマルクラス1】。
・メインスロット8/8
〈業魔幻滅剣Lv3U〉〈学習Lv2鍵〉〈四刀流Lv1〉〈投影Lv1鍵〉〈鏡転Lv1〉〈絶対回避Lv1〉〈真偽看破Lv1〉〈加速世界Lv1〉
・サブスロット17/17
〈ビルドLv2U〉〈物拾いLv2〉〈ウインドカッターLv1〉〈地脈Lv1〉〈心眼Lv2鍵〉〈トランジスタLv1〉〈連鎖反応Lv1〉〈地図師Lv1〉〈鷹の目Lv1〉〈森羅万象のワルツLv1〉〈秘匿Lv1〉〈鍵Lv1〉〈奪取Lv1〉〈妨害Lv1〉〈反応速度論Lv1〉〈威圧抵抗力Lv1〉〈先取り披露Lv1〉
「へー〈心眼〉取らなかったんだ! あと〈奪取〉と〈先取り披露〉とか……」
「別に驚くほどのことじゃないだろ? 必須スキルとして、業魔幻滅剣は攻撃技だし、学習は今までの見てたら必要だって判る。四刀流だって取らなきゃ剣の意味ないし、あとは選択技かな……」
〈投影〉〈鏡転〉〈絶対回避〉〈真偽看破〉〈加速世界〉は、業魔幻滅剣・学習・四刀流を補佐するスキルだというのがこれで判る。
強いて特に役立ってないスキルをあげるなら、〈ビルド〉と〈先取り披露〉だろうか……。〈ビルド〉はユニークスキルなだけあって、今後化ける可能性があるが、ビルド自身が先取り披露しても意味ないので、これだけは完全に死にスキルだ……。
「しっかし、これだけ〈学習〉使ってもレベル上がんねーな……」
デストロイが熱心なサキトビルドに対して、進言をする。
「あの~、そろそろ栄光の碑銘まで行かない? めっちゃ対策してるけど、敵が居るか解んないし。でも鍛冶屋の爺ちゃんのクエストは勧めたいし♀」
そうだった。ついつい強化と戦闘システムにお熱だったと頭を冷やすビルド。
「おっとそうだった。とりあえずもう一度行くか。栄光の碑銘まで」
スキルビルダーズは、放課後クラブのギルド本部までワープした。
〈栄光の碑銘〉の眼前。そこにはオーディン・ステラ・エイティーンが立っていた。
そこにはもう、滅茶苦茶強い覇者、信条戦空は居なかった……。
「来たか、早速戦闘を……と言いたい所だが、ここは神聖な場所だと言ったのは我自身……、さっさと碑銘を調べて情報を得、終わったら我と戦え」
と、言われたのでさっさと【栄光の指輪】を翳したが……。
《〈鑑定〉スキルがありません、詳しい情報は得られませんでした……!》
と、ナレーションが入ってしまった。どうやらこの指輪と、事前に鑑定スキルを身に付けていないと。条件は達成出来なかったらしい。鑑定スキルは、ごく簡単に入手出来るスキルだ。その辺の店でもスキルは売ってる。スキルビルダーズは困ったが、サキは名案を思いつく。
「あ、じゃあさ、とりあえず写真撮ろうよ! この四人で一緒に!」
「おー写真! いいね! 記念になるし!」
「そういやここ、観光スポットなんだっけ?♀」
「なに? 何故私まで人数に入っている!」
サキ、ビルド、デストロイ、オーディンは口を揃えて言うが。サキがどうしてもやりたいと言って引き下がらなかったので写真を取ることになった。
ハイチーズ! パシャ!
《ビルド、デストロイ、サキ、オーディン・ステラ・エイティーンの〈スキルビルダーズ〉は、記念写真を撮りました!》
《クエストクリア! 〈栄光の碑銘〉のクエストをクリアしました!》
「ありゃ?」
何故か鍛冶屋の爺ちゃんのクエストをクリアしたことになっっているスキルビルダーズ。それはそれとして、オーディンはビルドに非礼を詫びながら言う。
「ついこの間は悪かった、手加減をしてしまって……お陰で我の面目は丸潰れ、騎士の誇りとは何たるかを、あの戦空に教えてもらった。もう一度言おう、ビルド。今度こそ、本気の真剣勝負をしてくれたもう!」
そう言われて、ビルドは放課後クラブ本部の外の広場まででてから言う。
「あぁ良いぜ。オーディン・ステラ・エイティーン。今度こそ真剣勝負だ!」
◇
「古の教訓を知っいるか? 想像を超えろ、想像できる全力で、でなきゃ相手に失礼だ。という格言だ……! 今、お主を真の強者と認めて全力で持って相手しよう!」
《全力! 守護神オーディン・ステラ・エイティーンが勝負を仕掛けてきた!》
名前【オーディン・ステラ・エイティーン】、ランク【ハイパークラス1】。
メインスロット。8/8
〈心喰Lv2〉〈ステラバーストLv1〉〈元始回帰Lv1〉〈環境操作フィールドLv1〉〈過去に戻って誤差修正Lv1〉〈風神豪波斬Lv1〉〈神速の反射神経Lv1〉〈全自動自然回復能力Lv1〉
〈心喰Lv2〉
①自分、または相手のスキルの元となるエネルギーソース、心氣を喰らう。②人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果、文化を喰らう。
〈ステラバーストLv1〉
全属性を大砲のように一斉発射する大技。
〈元始回帰Lv1〉
全ての事象はあるべき場所に帰ってゆく。
〈環境操作フィールドLv1〉
全ての環境フィールドの操作・変更が可能になる。
〈過去に戻って誤差修正Lv1〉
足りないと思われたエピソードを、過去回想で補填するスキル。
〈風神豪波斬Lv1〉
荒れ狂う風の神様による怒涛のような嵐。
〈神速の反射神経Lv1〉
全ての攻撃を見てから、理解・分解・再構築し反応・反撃できる。
〈全自動自然回復能力Lv1〉
何もしなければ、自然とずっと回復し続ける能力。
「前回の非礼を詫びる為に先に言っておこう、私の最大の秘技・奥の手スキルは、〈過去に戻って誤差修正〉である! 一見地味なスキルと思われるかも知れないが、これで多元宇宙迷宮を脱出できたと言っても過言ではない! 絶大な信頼をしている! 今回、その片鱗だけでもお見せしよう!」
オーディンの威圧に対して身じろぐビルドだが、しかしサキが助言をする。
「落ち着いて! 目新しい技が並んでるけど、やってることは私と同じよ!」
「私も全力とは言え、勤務中だ。力の片鱗だけでも味わってもらおう!」
《オーディンが、スキル〈過去に戻って誤差修正〉を発動しました!》
10分前の出来事。ビルドはオーディンに対して質問を投げかけていた。
「なぁ、あんた見た目強そうな騎士様だけど弱点とかあるのか?」
「あるぞ。私はトウモロコシが苦手だ、そういうビルド殿には弱点は無いのか?」
言って、オーディンの問に、ビルドは答える。
「弱点ってほどではないが、さっきサキに左肩を光の矢でぶっ刺されたからそこがまだちょっと痛いな……はは」
10分後、現在。ビルドには見知らぬ記憶が改竄されたかのような錯覚に陥る。否、これは真実だ。真実に成っている……!
「何だ……、この記憶は、何だこの体験は……! いきなり飛び込んできたぞ?」
「真剣勝負だと言ったし、手心は加えぬが説明はしてやろう。これは他のスキルと違った時間干渉能力だ! これは別のスキル〈不可逆の世界〉などと相性が良くてね……。時間の流れに逆らわずにエピソードを割り込み改竄出来る……。コレにより、我に有利な流れを作り出すことが可能となる代物だ! 本来悪用する為のスキルではないが、お主には全力で相手しよう……!」
「ごちゃごちゃ言ってるなら俺から行くぜ! 〈業魔幻滅剣〉!」
「まだ解らぬか……〈過去に戻って誤差修正〉……!」
1分前。
「ごちゃごちゃ言ってるなら俺から先に〈業魔幻滅剣〉を放つぞ! 行くぜ!」
1分後、現在。
(な、何だ今の体験は! さっき言ってた時間改竄スキルか!?)
「〈神速の反射神経〉からの〈風神豪波斬〉……!」
ビルドは、左肩の弱点に成ったソコを攻撃された。
「ぐ、ぐわああああ! い、いってえええええ!?」
攻撃を放つ前に見切られて防がれた。それを体験したビルドにはわかる、自分が何をされたのか……。さっきまで無かったエピソードを2個追加されただけでこのザマである……!
「本来、かなり昔の過去改竄をするので、相手は流れを変えられたことすら気づかずに倒れるが、お主は特別だ。その体験を知ってもらう事にした」
まさに一方的だった、というより。オーディン・ステラ・エイティーンが最初から奥の手を使ったことにより、一方的に視えるだけというのも多分にある。
(なら〈鏡転〉は、ダメだ。難しすぎて出来ない……! これは勝てねえ……なら次へ活かす!)
「〈投影〉……オン!」
ドスドスと、鈍い鎧の音と共ににじり寄ってくるオーディン。
「ほう、投影か、良いだろう。そのスキルはくれてやる。ただし、生半可なテクニックでは身につかぬし扱えぬ高等技術と知れ!」
「ぬおあああああああああああああああああああ!」
ザシュ――……!
《〈投影〉に成功、〈過去に戻って誤差修正〉を会得。リスポーン地点へ戻ります》




