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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
EX第6章「第5陣・新しい風」西暦2037年10月1日

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第623話「結・スキルビルダーズ③」

 カンカンカン! 怒涛剣(どとうけん)グラムボルトを錬成中……、鍛冶屋の爺さんは語り始めた。

「誰もなし得たことの無い、前人未到の世界一周。それだけは確かにまだ無理じゃが。その街・エリアを最初にクリアしたチーム名が刻まれる。人々ははこう呼んだ……【栄光(えいこう)碑銘(ひめい)】と……!」

 年季の入った爺さんは槌を叩きながら続ける。

「栄光の碑銘には表面上には〈ギルド名とプレイヤー名〉しか刻まれない。じゃが、このアイテム、【栄光(えいこう)指輪(ゆびわ)】をはめた状態でタップすると、特殊条件が満たされその経歴が閲覧できるのじゃ……」

 そこには本来視れないはずの情報。そのギルドとプレイヤーが何を一番大事にしていたかの経歴が明かされ・刻まれている……。刻まれている情報は、〈ギルド名とプレイヤー名〉以外に、1番お気に入りの情報が各1件、〈種族・職業・武器・スキル〉の詳細なデータが刻まれる……。

「折角だ、その〈栄光の指輪〉をやろう。栄光の碑銘を探し出し、そして過去の偉人達の足跡を知るのじゃ。今まで攻略された街の合計数は六件! その目にしかと焼き付けるのじゃ!」

 ギルド、スキルビルダーズにクエスト『栄光の碑銘』が受注された。そうしている内に、〈怒涛剣グラムボルト〉が完成した。


怒涛剣(どとうけん)グラムボルト】

 少し重い片手剣。荒れ狂う大波という意味を持つ雷を纏う嵐の剣。耐久値が高く壊れにくい。心氣を貯める総量が多く、沢山スキルを使っても壊れにくい特殊合金、守護神オーディン・ステラ・エイティーンから渡された、〈黒銀グラムのインゴット〉で出来ている。ビルドは主に右手に装備。


栄光(えいこう)指輪(ゆびわ)

 手に装備する指輪。〈栄光の碑銘〉の隠された情報を明かしてくれる指輪。栄光の碑銘はギルド【放課後クラブ】ギルド本部 (てん)、にあるらしい。


「あぁ、やっぱ片手剣にしたんだ♀」

「何だよやっぱりって……まるで未来予知?」

「いや、あのサキってベテランプレイヤーがが二刀流だったじゃん? だからあんたも真似するのかなって思ってさ♀」

 デストロイの言っていることは概ね正しい、だがビルドの真意は別にあった。

「実は俺、四刀流が夢なんだよな~」

「……はぁ!?」

「書物を読み漁って左右と前後を支配できる剣があれば良いなって。徹頭徹尾って奴さ。あと上下とか、戦闘中いちいち上下に体を移動させなくて済むだろ?」

 まあやりたい夢はわかるのだが……。

「その割には剣があと3本足りないな♀」

「お爺ちゃん、タダで良い剣くれねえか?」

 鍛冶場の爺ちゃんは話を聞いていたが、ビルドの意見を拒否する。

「悪いがこっちも商売なんでね、金が無いなら売れねえよ。代わりに要らなくなったゴミ剣、〈ナマクラの剣〉3本ならやるよ。処分する手間が省けらあ」


【ナマクラの剣】

 軽い重さの片手剣。耐久値が低く、圧倒的な実力差がある剣士と戦うとすぐに折れてしまう代物。100円ショップのナイフ程度の硬さと品質だ。

学習(ラーニング)しました、スキル〈四刀流〉を獲得します》


四刀流(よんとうりゅう)Lv1〉

 左右両手に2本剣を持ち、前後に心氣エネルギーを使って剣を浮遊させる高等なスキル。装備品が片手剣かそれ以下の軽い重量の剣でしか使用できない。


 今のビルドでは剣を浮かせて、前方と後方にに剣の盾を形成させるのがやっとだろう。自由に剣を浮かせることすら出来ない。まあ攻撃出来なくても夢なんだから仕方ない、相手への牽制(けんせい)障害(しょうがい)にはなるだろう。

 つまり、今のビルドは。右手に怒涛剣(どとうけん)グラムボルト、左手にナマクラの剣、前方にナマクラの剣、後方にナマクラの剣。という図式だ、実戦向きじゃなくロマン陣形剣と言う意味で子供が泣いて喜びそうである。

「じゃあ次の目的地が決まったな、一回拠点に戻ってから行ってみようぜ。ギルド放課後クラブ本部に!」

 〈第三休憩所、憩いの洞窟住居『スヤリ』、ビルド工房〉

 というわけで、ビルドはクエストが発生した事を、サキとヒメに報告してからお願いをする。ずばり、そちらのギルドにお邪魔したいと。

「せっかくここまで来たのにまた戻るの?」

「ちょっとだけ! サキん家のギルド本部見せて!」

「……しょうがないなあ、ちょっとだけだよ? すぐ戻って来るからね?」

 そういうわけで、ワープポイントまで行き、アシアー大陸までワープした。



〈ギルド『放課後クラブ』、〈栄光(えいこう)碑銘(ひめい)〉の前……〉

 そこには、知らない少年が1人居た。

「お前のビルドはつまらねえ」

「戦空……」

「半端に賢くなって、天井が視えて、解って、縮こまって、身動きが取れないってか? 何か凄いデッケー事をしたら回りが傷つくから怖いってか? 代償が怖くてノーリスクで事なきを得ようってか?」

「お前に何がわかる! 大いなる力には大いなる責任が伴う……!」

「そんなルール誰が決めた? お前の親か? 自分ルールも守れない奴に、大いなる力なんて宿るわけねぇ。そいつは誤魔化しだ」

「な、……お前は何もわかってない!」

「わかるさ、ウチの運命はウチが決めるだけだからな……!」


 そこへ、オーディン・ステラ・エイティーンが眼前に出る。

「お前! ここが何処か解っているのか!? ここは神聖な……」

 ドン! 一撃――!

 一撃で銀鎧を粉砕した。中には年季の入った青年が入っていた。

「こんな偽物に負けてるようじゃ、高かが知れてるな」

「い、一撃……」

「何で……あんなに強かったのに? レベル? テクニック? 心氣……?」

「理由なんかない……、屁理屈をネットで探しても屁理屈しか見つからないぞ?」

「……戦空」

「あ、あれは、俺の装備がナマクラな剣で……」

「武器のせいで負けたってか? テクニックはあるのに? 5%の力? それってさ、逆にお前はまだ5%の力量で良いやって、心の裏側では思ってるって事なんじゃねーのか? ウチはお前の本気が見たいな」

「お前は、……お前は一体何なんだ!」

 ギルド『四重奏』の少年、信条戦空は言う。

「ウチは、ただの戦空だ」

「こんのおー!」

 ココに来てビルドのスキルは進化した。


〈ビルドLv2〉

 「(こころ)言魂(ことだま)で出来ている!」という短い呪文の後に発動。対象物に対して、理解・分解・再構築を実施する。

(こころ)言魂(ことだま)で出来ている!」

 ドン! ――一撃! ――終わり。

 ビルドは戦空の一撃で死んだ。ゲームオーバー。

「お前のビルドはつまらねえ」

「ちく、しょう……!」

 何も出来ないまま、ビルドの意識は真っ暗になり。そして1つの目標が生まれた。……「あいつに勝ちてえ……」それが建前を叩き潰されたあとの本音だった。

 畜生、畜生、畜生。と、ビルドは反芻する。

 そして心の中の自分の声が聞こえた。


 死にたくない、殺したくない、傷つけたくない、それより快楽が単純だ。

 迷惑をかけたくない、皆の力になりたくない、弱さは見せたくない、隠したい。

 もう手遅れで、大丈夫じゃなくて、孤独で、お金がなくて、感情を抑えて。

 皆にあたり触りのない綺麗事を吐いて導かなきゃいけない。自分が司令塔だ。

 俺は生まれながらの指揮者だ、皆に指揮棒を振り、作り、良く回るように努力しなくちゃ。今までの自分が身勝手だったように、面白くなくても社会の歯車がよく廻るようにしなくちゃ。それが給料に繋がる、生きるに繋がる、長生きしたい、しかたないしょうがない気楽でいいや。無理なく、難なく、困難を避け、ハードルを下げ、皆がくぐりやすいように。1人の100歩より、100人の1歩を重視して……。

 でもさ、それって『逆』何じゃない?

 ……これ以上考えたくない……。俺はビルドだ、マイナスのスパイラルは生まない、作らない、それを作るのは他の知らない誰かの仕事だ、俺の仕事や趣味じゃない。

 ……じゃあさ。お前の闇はもう自分でビルドしないってことかい?

 正義と悪の中の正義しかいない優しい世界。それを作れば俺や俺の回りの人間は苦しまなくて済む。俺が本気を出すと、皆の仕事が忙しくなる。皆が、仲間が苦労する姿何て見たくない。

 だって、だってだって……! 俺が本気を出すと弱い人間の仕事がクビになって、生活出来なくて、生きていけなくて、苦しんで死んじゃうじゃないか……!

 そんなの嫌だ! なら俺は本気を出さない、のらりくらり生きて、いい感じの給料もらって、少ないながらでも小さな幸せを見つけて。それでビルド出来れば十分じゃないか。

 だから俺は、悪をビルドしない、それのどこがいけない! 悪は他の誰かの仕事!

俺の仕事じゃない! 俺が悪を書くと面白くなるけど面白くない! そんなの嫌だ!

 俺は面白いのしか書きたくない……だから……!


「やっとビルドを見つけられた気がするよ」

「お前は根っからの悪だっんだな、ケケケ♀」

 サキ……、デストロイ……。

 つまりこの話はどういうことかって?

 皆が100人の1歩を頑張るなら、俺は1人で1000歩頑張らなきゃ、殺す気で面白くならないって事だよ。凡人達に解りやすく言うとな。

 ――これは、大丈夫じゃない人間の物語だ。



 何かが通った。有無を言わさぬ新幹線のように、それは走り抜けていった。そこにいる虫・動物などお構いなしのように……。せっかく育てて芽が出てきた花達を(むし)り取られたかのような喪失感(そうしつかん)に似ていた……。


〈第三休憩所、憩いの洞窟住居『スヤリ』、ビルド工房拠点〉

「あ、起きた?」

 そこに居たのはサキだった。どうやらサキも昔、戦空に似たようなことをやられたらしい。そして一言。

「たぶんアレは、スキルじゃない。普通のパンチ」

「普通のパンチ? それであの銀鎧の男の甲冑も砕けるのか? 有り得ないだろ」

 そう、普通だったらありえないのだ。しかし、戦空に理屈は通用しない。

「心氣エネルギーを拳に乗っけて放ったとか?」

「たぶん違う。いくらあの一撃を分析しても答えなんて出ないわよ。理屈じゃない」

「……。もしかして、サキがリタイヤした理由って……」

「……当たらずとも遠からずかな……」

 自分より凄い人間が居ることは理解できる、しかしてそれで本当にリタイヤしたかと言うとそれとコレとは話が別な気がする。

「戦空が眼前に立ちはだかったってのは本当。でも、それを支えるだけの技術が私にはなかった……そんな感じかな」

 こういう時に経験者が居るとありがたい。

「そう言えば、戦空はお前のビルドはつまらないって言ってたけど、あんま気にしなくて良いわよ。例えば、同じ20%制作中の作品を、途中でつまらない、と言われてもそれは評価とは言わない。料理だって、具材を準備してる最中に、この料理はマズイ、何て言われたって意味ないでしょ? 戦空のアレは、何ていうかカンフル剤みたいな、そういう(かつ)を入れに来たんじゃないかな?」

 料理でいうとピリリと辛い香辛料を混ぜた感じだとサキは言いたいのだろう。


「まあ、落ち込んできたのはそうなんだが。やることが多くなってきたぞ……。①自分のスキルビルド生活。②ナマクラの剣3本をまともな剣にする。③栄光(えいこう)碑銘(ひめい)まで行って、過去の偉人達の情報を得る。④打倒、オーディン・ステラ・エイティーン。打倒、信条戦空(しんじょうせんくう)。……こんな所か」

 一回死に戻りして。何か一気にやることが増えたぞ、と思ったビルドであった。

「まあ、せっかく拠点に居るんだし。まずは自分のビルドの鍛錬から初めますか!」 気を取り直して、ビルドはビルドのプレイスタイルに戻るのだった。

「さて、〈仮想敵(かそうてき)〉が決まったぞ。オーディンと戦空、あれらを攻略するにはどうするか……」

 普通に倒すのは無理でも、特化型でビルドすればイケるはずだ……。

「まず、あんだけ強いと強力なスキル持ってないと無理そうだし、そのスキルの元、心氣エネルギーを支える器と言う名の武器の強化も必要そうだが……無いと話にならなそうだが、まずスキルの学習、学習(ラーニング)だ!」


 ビルドはナレーションを起動して、新しいスキルのイメージを膨らましていく。

「まず、アレ等の攻撃に反応で来なかった……それが問題だ」

《返答。学習(ラーニング)を開始します! 高速学習・高速思考・反応速度が学習(ラーニング)出来そうですが、スキルとして定着していません。加えて、投影(トレース)の新たな理念を学習したことにより、進化の兆しが視え始めました。材料は……》

「オーディンとの打ち合いは、単純に剣と腕の耐久値の違いから、一撃で剣が折れちまったので剣の品質の問題だが。戦空のは違う、あれは〈威圧〉〈反応速度〉そして〈常識外れ〉な理屈を飛び越えた〈何か〉……そこまでは解ってる」

《返答。まず投影(トレース)の新たな理念を提唱します。投影六泊。①創造理念の鑑定、②基本骨子の想定、③構成材質の複製、④製作技術の模倣、⑤成長経験の共感、⑥蓄積年月の再現。この〈投影六拍〉を始まりと終わりの構造構築の理解度を上げる事で投影(トレース)の品質が向上できる仮説が立てられます》

「まあ、ナレーションにはありがたい言葉を貰ったのだが、生憎今の仮想敵は戦空だ。そこまで投影(トレース)に専念してたら、あの反応速度に間に合わない……後回しだ」

《解答。〈反応速度論(はんのうそくどろん)〉というものがあります、反応速度の測定により反応速度式を求め、その内容を検討することが、反応速度論です》

「戦空は感覚派だが、生憎俺は理論派だ。その反応速度論をスキルとして採用しよう。よし! それを学習(ラーニング)だ!」

《〈反応速度論(はんのうそくどろん)Lv1〉を習得しました!》

「よし、これで少しはマシになった! レベル1なのは不安だが、最初だから仕方がない……。次! 〈威圧〉と〈常識外れ〉への対策だ!」

《返答。威圧とは、威力でおさえつけること。おどしておさえつけること。です》

「押さえつける……てことは抵抗力が強ければ良いのか!」

《はい。抵抗力とは外部からの力をはねかえす力です。よって、〈威圧抵抗力(いあつていこうりょく)〉を学習(ラーニング)するのが吉と考えます》

「それで決定! あとは〈常識外れ〉と〈何か〉に対する対応か……」

 ビルドは楽しみながら、仮想敵に対して想いを巡らせて行く……。


 〈反応速度論(はんのうそくどろん)Lv1〉

 反応速度の測定により反応速度式や理論を求め、その内容を検討・実施・反射速度として応用する。性質上測定してからでないと反応速度論が稼働しないので最初の一度目で反応するのは不可能です。


 〈威圧抵抗力(いあつていこうりょく)Lv1〉

 外部からの威力でおさえつけ・おどしておさえつける時に発生する抵抗力。これらの力を跳ね返す力の度数。



 仮想敵として信条戦空(しんじょうせんくう)を選択し、スキル〈反応速度論(はんのうそくどろん)Lv1〉と〈威圧抵抗力(いあつていこうりょく)Lv1〉を手に入れたビルド。残りは〈常識外れ〉と〈何か〉への対策だった。

「常識外れは、ルールの枠をぶち壊すようなプレイスタイルというのはよく分かる、型破りみたいなな……。だが、何かって何だ? 〈透明な何か〉があるという言い方しか出来ないぞ……」

 この〈何か〉を対策しなければ、本当の意味で対策したという事にはならない。抜け道が出来てしまうという事だからだ。たぶん何にでもなれるとか、何でも出来るとか、そういう意味だと思うのだが……。そもそも〈何〉とは何だ?

《解答。何、とは。物事をどんなものだとは、はっきり定めずに指し、また名がわからない物事を指すのに用いる語》

「あー、つまり『(エックス)』ってことか……。説明不要(・・・・)根拠(・・)ね……」

 ここを叩かないと終わる。何故ならこの滅茶苦茶を封じなければ、いくら理論を構築した所で無駄無駄無駄の無駄に終わるからだ。

「そんなの、フェアじゃない……!」

 これはつまり、永遠に解けない謎々のようなものだった。しかも解かせる気がないし、一生教える気もないと来た……。

「……」

 サキは沈黙する。ソレを封じる手がサキにはあるからだ。だが、ビルドにあげるにはあまりに強力すぎるのも事実……。サキはゲームマスターヒメに提言する。

「お姉ちゃん、私は理解出来てなかったからアレだけど……これって」

「そうじゃな、今後のゲームし支障をきたす……よってゲームマスターのワシがスキル〈禁ずる弾丸〉を使おう……」


 ゲームマスターヒメが赤き真実を使う。

 〈禁ずる弾丸〉

 『(なに)』とは『(エックス)』の事であり。今後、『何か』の答えが用意されて無い使用は不正・フェアじゃない行為と審判(・・)され、禁じられる。何も無い・透明な物でも構わない、だが永遠に決めていない、は不正となる。『何』が中身かは、後から決めてもいい。


 で、ビルドの場合はどういったスキルを持てばいいのだろうか?

「〈常識外れ〉は〈型破り〉だから、それをガードないし回避するスキルはと言うと……。ポ○モンで言うと、相手が型破りを持っているから、〈化けの皮〉や〈守る〉は貫通してくる……てことは、単純な防御力を上げるか回避率を上げるか。……になるか」

 ビギナーのビルドがマスターランクの戦空相手に、防御力で防ぎ切るのはまず不可能……。というか、戦空が攻撃特化型だから無理だ。

 となると、普通に回避率を上げるしか方法がない。〈反応速度論〉が一度は絶対に攻撃を受けたり、目視しないといけない以上。初撃の回避率を上げるのは、ビルドにとってはかなりの生命線になる。一回だけ回避して、一回目視すれば、あとは〈反応速度論〉である程度何とかなるはずだ。つまり特性で〈必ず一回は回避する〉というスキルないし特性がないと、戦空とまともに戦えないで一撃の型で終わるのである。

「ポ○モンだと、HPが必ず1残る気合の(タスキ)系か、絶対地面技回避の風船、とかそんな所だろう……」

 一回だけ絶対に回避できるスキルか道具……。仮に道具だとしたら、〈化けの皮〉絶対回避の道具持ってたら、2回攻撃を耐えてしまう化け物ゲームになってしまう。となると多少、大きめのデメリットが無いとゲームにならない……。

「じゃあ、スキル〈絶対回避〉、初撃の攻撃は絶対に回避出来るが、代わりにHPは半分ダメージを食らう。とかそんなスキルか?」

 ミ○ッキュ君も、〈化けの皮〉でダメージを〈身代わり〉したらちょっとHP減るし、タスキ対策上、そうなるだろう……。

学習(ラーニング)しました。ゲームの進行度合いと合わせて、スキル〈絶対回避Lv1〉を獲得しました》


「よし、これで〈常識外れ〉の対策は取れた。……で、後は〈何か〉だよ! どうやって俺自身が対策するんだよコレー!?」

 ビルドは頭を抱えてウオオオン! と唸った。サキが話の材料を提供する。

「ビルドにとっては、戦空の〈常識外れ〉な〈何か〉の攻撃がビルドを襲う! てゲーム上の表記になるのかしら?」

「たぶん、見てなかったからわかんないけど。いや待てよ、……〈何か〉てことは〈真偽看破(しんぎかんぱ)〉とかすれば、少なくとも対策は取れるのか? ……たぶん一瞬すぎて何も対策取れないけど……」

「考える時間も無いだろうね」

「となってくると、いよいよ〈加速世界(アクセルワールド)〉なるものを学習(ラーニング)しないと、戦空と戦えないんだが……」

 サキはそれはちょっと、と悩んだが。

「まあ良いんじゃないかな? 相手はマスターランクだし。どうせレベル1でしょ?」

学習(ラーニング)しました! 〈真偽看破(しんぎかんぱ)Lv1〉と〈加速世界(アクセルワールド)Lv1〉を覚えました!》


 〈絶対回避(ぜったいかいひ)Lv1〉

 一度だけ、目視・不可視・不認識だろうと、初撃の攻撃は絶対に〈回避率100%〉になる。自身の限界以上の動きをするので体が耐えられず。代わりに自身のHPは半分ダメージを食らう。


 〈真偽看破(しんぎかんぱ)Lv1〉

 物体不明の『何か』が何か判る。それが真実か虚偽であるかも判る。


 〈加速世界(アクセルワールド)Lv1〉

 思考が加速し、世界がゆっく動いているように視える。考える時間が増える。


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名を上げる。ボカロBGM:最終決戦~ファイナルバトル~
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