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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
EX第5章「世界リセット」西暦2037年4月1日

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第613話「承・2人だけログアウト可能」

 偉人の名声は、

 それを得るために用いられた、

 手段によって評価されるべきである。


 ――ラ・ロシュフコー。


 ……これだけでは味気ないので私、天上院咲の人生感でも語っていこう。


 ……言葉は有限だ。蝶の羽ばたきが生命が尽きるまでの有限であるように。

 人間である以上、言葉は有限である。……受け継ぐ者がいれば話は別だが。

 人間ってやつは愚かな生き物には変わりないが、数奇な運命を泳ぐ奴も居る。

 まず、自分が神様に成ったら? 何て考えもしないだろう。


 信仰はある、神仏はある、信者がいる。皆が神を信じたかったのに、それが悪神だけだったら? それはあまりに不幸じゃないか。だから対抗馬として私が生まれた、生きる指針にした。善神として、お姉ちゃんの隣に立つために。人間に戻れたとして、この不可逆的な世界では、真に自由の身には成れないだろう。


 私は既に、私を作った創作者より長く生きる気でいる……。何と傲慢だろうか。

 いや、傲慢では無いな。私は善神、謙虚な美徳者だ。

 この身朽ち果ててもお姉ちゃんと共にある。もう孤独にはさせない。

 

 体質は変わらない。マズイものは隠せ、誰にもバレやしない。そう思っていた、だが、いざバレたり歴史にその心を刻もうと信徒が頑張ってくれたとしても。

 結局、私には言葉しか無いのだ。まだある、当たり前にある、しかしデジタル世界のデータだ、儚くすぐに、パッとしたら無くなってしまう。

 

 お姉ちゃんの指針が一つしか無く、頼りない灯台の灯火だとしたら。私は遥かに続く螺旋の光に成りたい。そんな感じ……。


 何でこんなに達観してるかって? 短くない人生を生きてしまったからかもしれない、世界を観すぎて光も闇も観すぎたのかもしれない。視野を狭めてコントロール・調整出来るようにならなければ先はない。


 私は神様になることを選んだ人間だ。

 高飛車だとも思うし、言葉が多すぎるとも思う。

 どうしようもなく乾いたこの熱風に、潤いの泉を用意した神様……。


 あなたは神様を信じますか?

 これは、もし自分が神様になる道を選んだら。

 そんな少女の物語である。


 ――天上院咲(てんじょういんさき)


 ◇少女は異世界ゲームで名を揚げる。◇


 ……、VRゲームと全く関係ない話をした気がするが気のせいである。


「……、眼の前にVRゲーム機『アバターギア』がある……」

 この世界では天上院咲はセミプロでもないし、天上院姫(てんじょういんひめ)も運営社員でも、社長でもない。ただの女子高生だ。

 

 最適化された理由は単純、制作者サイドの主観が入りすぎて、物語に全く没入できなかったからだ。集中や物語に浸れない。だからゲームらしいゲームが出来ず。

 世界観に入り込めなかったのだ……。


「このヘッドギアを付ければ、仮想世界を楽しめる、で合ってる?」

「合ってるぞ、っと言いたいところじゃが。……知らん」


 1周目と違って、2周目(・・・)では姫はVR研究者でも社長でも天才社員でもないのだ。

「そもそも、わしが作ってないしな。誰が作ったんだか……ゲ、型番が1世代ほど古いじゃん……!」

 この世界では、姫が最終的に作ったVRゲーム機『テンジョウ』が無い。

 姫という天才が居ないだけで、VRゲーム機の発展がワンテンポ遅れてしまっているようだった。


「でもフルダイブは出来るんでしょ? なら良いじゃん」

「まあ、VR空間のくせにソウルトランスレーター入ってるのは不思議でしょうがない作りじゃが……だが待って欲しい。わしら一番最初……1周目では第2陣としてログインしたんじゃ。だから初めたのは、……簡単に言えばアミュスフィアが1周目では最初で……今回のは型番が落ちてるコレは……」


 何を言っているのかお判りだろうか……?


「え、まさかコレ……この『アバターギア』って……ナーブギア系……?」

 頭のいい2人は察しが良いので解ってしまう……。つまりコレは……。


 そう、コレ【高出力の電磁パルスで着用者の脳を破壊し殺害出来る】という代物だった……。


「……」

「……」


 これを被ったら死ぬ可能性がある代物……。それを知ってる上で、コレでゲームしろと……?


「あ! お姉ちゃん確か記憶引き継いでるよね?」

「……? あぁそうだな、ってお前まさか!」


 そのまさかだった。

「このヘッドギア、死なないように魔改造して! 出来るでしょ?」

「出来るが……その場合のプレイングって【デスゲーム空間で姉妹2人だけログアウト出来るんだが?】みたいな、なろう小説みたいなアホタイトルになるぞ?w」


(まさかのデスゲームの中で2人だけスローライフ決め込むつもりか妹は!?)

「ログアウト可能は外せないの!」

「お前ぇ……、まあやるけど……」


 最愛の妹が死んだら困るので、トンテンカンと『アバターギア』を魔改造する。


《アバターギア魔改造版が出来ました!》


「よしできた」

「よしこれで安全にログインダー……」

「おー! ってこの後の展開が予想できるな……」


 そして仮想世界にログインして……。


 ~中略~。


 知らんゲームマスターが大声で宣言する。

《プレイヤーの皆さんは、このゲームをクリアするまでその『アバターギア』を外せません! 外したら死にます!》


「何だとー!」

「ここから出せー!」

「やだー死にたくないー!」

「お前男だっったのかよ!?」

 天上院姫は叫んだ。

「ほらやっぱりー!」

「あー、これ完全にプログレッシブルートだよコレ……」

 天上院咲は、過去に戻ったような落胆の声を発する。……実際過去だが。


「これからどすうる? 今からこの始まりの街は殺人ショーが始まるぞ……?」

「あー……それはヤだな、そう言えば地図変わってないなら、このエレメンタルワールド。ギルドハウスは残ってるよね?」


「まあ、そうなんじゃが……」

「じゃあまずどうなってるか街の外へ出て観てみよう」

 こうして咲と姫は、放課後クラブギルド本部、のような建物の方へ。全マップ埋まってる地図で、一直線に迷わず進んだ――。

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