第63話「リスクVSスズ4」
とりあえず極光と極闇がぶつかった。つづいて、どちらが最弱をぶつけられるかチキンレースをやった。そのあとなんか適当にじゃれ合った。
次の先手はスズだった。蒼い雷速の一閃が迸る、それを頭下に避けて膝蹴りをした、スズはよろけたがリスクに顔面肘蹴りを食らわせた。
二人はよろけて、でも体ごと上体を前を進めるのをやめない。下段から上昇気流に乗るように、火山を噴火させるアッパーカットを放った。
両手で頂点と底辺を手で合わせて力比べをする、スズの方が力で負けて空中回転させられる、が。その回転力で木刀を真横へ、電車50台分なびかせる。その衝撃でリスクは3歩ほど後ろへ引いた、ダメージが効いている。
「まだまだ!」
「あたしが上で、あんたが下だ!」
木刀とグローブの点元がぶつかった、理系のドリルと文系のドリルがぶつかったようになり。やがてガギンとズレる。二人とも足を蹴り上げて両方とも彼方の空中へ吹き飛ぶ。
「「はぁあぁ」」
間を貯めて気合いを取り戻す。その時、夕焼けから風が届いた。
お互いの髪がなびいたと同時に、二人の体は反射的に動いていた。
蹴り蹴り蹴り、拳腕頭腹。この戦いは地面に手をついても負ける。
ので見た目派手なモーションがない、ほとんど相撲に近かった。
「蒼竜剣!」
「ビックバンバースト!」
ここにきて初めてお互いの必殺技が炸裂した。
スローモーションのようにゆっくりゆっくりと進むその殺撃は、急加速。上方、下方、正面、正面、上段、下段、中段と連撃が炸裂する。砂埃は起こらない、ただ生々しい低く重い打撃音だけが響いたので観客の歓声の方が音としては大きい。
どちらが勝つか未だ解らない戦いが観客に電波する。
方や。勝つことが確定していると、根拠のない自信であふれている歴史の重みを持った者の一撃。
方や。託された風の息吹を持つ正義は必ず勝つ光のような眩しさを持つ、今を生き続け鍛錬し続けた者の一撃。
時間は無制限だが、決着の時は近い。
この戦いの勝者が第2回エレメンタルマスターとなる、大きな人生の転換点。本人はその意味を自覚出来ないだろう。だが、ここにいる観客達が生き証人となって。語られ、記され、残り、消えて残らないものもあるだろう。
だから!
だからこそ!
この戦いはお互いに!
絶対に負けられない!
その真の勝者を知るものは今現在誰一人としていない!
長く遠回りをした、体力の続く限り時間いっぱい遊んで戦った。
互いにお互いをよく知っている、この大舞台で。
長きに渡る真の決着が決まる!
ガキンッ!
蒼竜剣とビックバンバーストは相殺され、弾かれた。
お互いに距離をとる、相手の領域の外まで。
決着の時は近い。いや、来る。もうそこまで。
そして、
決着の時が来た。