第62話「リスクVSスズ3」
天上院姫がどこを解説すれば良いか迷いながら、咲になんとか解説をしようとした言葉は。「な?」だった。
咲はなんとかイメージの海から這い上がろうと必死になりながらエンペラーに話をふる。
「二人の実力的にはどうなの?」
「一応、五分と五分だな。このゲームのシステムで言えば超接近戦だ」
姫は足を組みながら、これぞ面白いものだと言わんばかりにワクワクな笑みをこぼす。
「さあて、今後はどうなることやら」
咲は冷静になりながら微笑をこぼす。
「理解が追いつかない、でも熱いのは解る」
エンペラーは二人に一男として促す。
「二人の世界だ、変なヤジ飛ばしてこの決勝戦を汚すのはいただけないな」
咲も姫もそれはないと激情して反論する。
「んなこと言ってないじゃん!」
「そうじゃぞ! 見せ物に魅入ってるだけじゃ!」
リスクとスズの熱さが伝播してるのが解った。3人は再び決戦の場を眺めるのであった。
湘南桃花と秘十席群も見守りながら、感想を言い合う。
「因縁ありありね、どう観る?」
「そうだな、懐かしい。て感想になる」
二人は咲や姫達よりもより落ち着いてその場を眺める、間違っても冷静という意味ではない。
「私も昔はあんなだったなぁ」
「嘘つけ、お前はもっとこう悪魔っぽかったぞ」
「本当よ、種類っていうかベクトルが違うだけで」
リスクとスズの激戦はなおも続いている。片方も本気、もう片方ももっと本気だった。
「勢いが加速するばっかりで弱まる気配がないな」
「だけどいつかは勢いが落ちる、その時どうサバクか」
「先を観てるな」
「未来予知なんてあてにならないわよ、私の場合はね」
リスクとスズは互いに距離を空ける。
熱い吐息混じりにはあはあ、と深呼吸する。二人は互いに思い出を埋めるように、円を描くように歩きながら会話する。
「久しぶりねこんな戦い」
「ああ、でも負けねえ」
「こんな舞台でやれるなんて思ってなかったけど、私すっごく嬉しい」
「うちもだ、でも勝つ」
「む、勝負のことばっかりね。私は今のあなたの生の言葉を聞きたいのよ」
「そうか。ん~よくわかんねえけど。お帰りって感じがする」
「お帰り…………」
「だから、ただいまって言え!」
「言えって何よ! 命令しないで!」
「いいから言え!」
「だから!」
「言え!」
スズの、彼女の頬が赤くなって、そして果てなき冒険をさ迷って泣いた悲しみを癒すように、言う。
「ただいま!」
「おし! じゃあやるぞ!」
お互い戦闘の体制になり構え直す、力強く。心も、意志も信念も固く。スズの感情は吹っ切れた。
「うん!」
東と西の衝突がより激しさを増した。




