第603話「五帝決戦」
結論はでた、予期せぬ自体に対してのアフターケアも万全だ、ならばもう好き勝手遊んでも構わないだろう。そもそも最初から全力だったかも怪しい。
ただ今はこれがやりたい、心がやりたがってて遊びたいのなら仕方がないのだ。
――やりたい奴だけやれば良い、好きにしろ。皆案外仲が良いんだから。
ではもう考えるのは放棄しよう、長考・考えすぎだ。
ならもう決めようじゃないか、誰が1番強いのか?
――と。
《ワールドイベント、西暦2037年9月1日、第三回EM戦争〈五帝決戦〉を開催します》
今回は大会ではなく、明確に〈戦争〉と位置づける。
《ルール説明、第1回・第2回のエレメンタルマスターは出場できません》
覇者が確定している者たちが参加するとゲームバランスが崩れるから。
《この大会の優勝者は三代目エレメンタルマスターの称号を与えられます。伝統と格式ある大会です》
《戦闘方法はバトルロワイヤル、参戦出場者は10名、最後の1人になるまで戦ってもらいます》
《それ以外のプレイヤーも参加・参戦出来ますが、勝利しても『マスター』の称号は与えられません》
そう、これはあくまでも、10名の戦争なのだ。
《参戦出場者は、ギルド『四重奏』から京学文美、信条戦空。ギルド『神聖12星座』から星明幸、オリオン座。ギルド『放課後クラブ』から天上院咲、天上院姫。ギルド『非理法権天』からレジェンドマン、湘南桃花。ギルド『最果ての軍勢』から真城和季、キャビネット。以上の合計10名です》
《参加したいプレイヤーはそれぞれの軍に所属して下さい。赤軍『四重奏』、緑軍『非理法権天』、青軍『神聖12星座』、黄軍『放課後クラブ』、紫軍『最果ての軍勢』、参加プレイヤーは5万人を想定――》
どうせ遊びたくて仕方がない奴は勝手に入ってくるだろう、なら来るもの拒まずだ……。
《バトルフィールドはカルテットタウン全域。戦闘方法は伝統に則り想像の許す限り〈何でもあり〉で行います》
《今回の出場メンバーの選考方法は、Sランクギルド上位5位から、実力のあるプレイヤー、1ギルド2名の選出までとさせていただきました》
《最後の1人になった優勝者のみが〈三代目エレメンタルマスター〉です》
《乱入は不可、武器の使用あり、超能力あり、会場は仮想世界、HPが0になったら退場、制限時間は24時間とさせていただきます》
サイは投げられた、投げたサイは戻ってこず、あとは数字の目がランダムに表示されるだけである。この場合10マスのコマの内たった1コマしか出ないゲーム……。自重なしの何でもありの開催である。
◇
「あーまー結局こうなるのね」
咲は衝動に任せた結果の大惨事世界大戦を〈しょうがないこと〉や〈起こるべくして起こったこと〉として、割り切る……。
貯まったストレスはどこかで爆発させないと、やはり抑止力にはならないのだろう、人間の身体も、戦争という生き物も発散させれる場所で発散させないとどうにもならなくなるのだろう……。
なら自分に出来ることは何だろう? と咲は考える。一刻も早くこの戦争を終わらせたい、……なんていう平和主義者では彼女はない、あるのは、起こってしまったイベントをいかにして楽しむか? という一点のみ。
豪華賞品があるわけでは無い、だが。
初代エレメンタルマスター、ギルド『四重奏』、日曜双矢。
二代目エレメンタルマスター、ギルド『四重奏』、桜愛夜鈴。
では三代目は誰になるのか? 誰だってまた四重奏がマスターになることを予想するだろう。
だが、
今の今まで頑張ってきた、ギルド『放課後クラブ』、天上院咲。
父親が亡くなって傷心中の、ギルド『非理法権天』、湘南桃花。
世界秩序を守ってきた、ギルド『最果ての軍勢』、不動武や真城和季。
『神聖12星座』でそれらしい主人公格は居ないが。神格化されているという面を見て、星明幸が最有力候補だろう。
そして、マスター最有力候補、ギルド『四重奏』、信条戦空。
これまで通りで終わるか、それとも流れを変えるか、この一戦にかかっている。
長くなるか、短くなるかはわからない。
だが、引き金は確かにあった……。
悲しさと、やるせなさと、無力さと、夢があった。
粛々と送りたい気持ちと、派手に祭りあげて送ろうという気持ち、どちらもあることは確かである。
なら他のプレイヤーはどっちをやる?
ゲームマスター天上院姫が出した答えは……。
「エンジョイ勢用の公園と、ガチ勢用の公園を用意した。好きに選んで遊べ」
――だった。
そして咲は選んだ。
「……、ごめん。今回に限ってはガチを選ぶわ」
それは〈獲りに行く〉という意味である。
「三代目エレメンタルマスターは、天上院咲がなります!!!!」
そして、5万人の兵力という名のプレイヤーは、戦闘開始前の陣地でのオッズはこうなった。
赤軍『四重奏』、兵力1万5000人。
緑軍『非理法権天』、兵力1万3000人。
青軍『神聖12星座』、兵力6000人。
黄軍『放課後クラブ』、兵力1万人。
紫軍『最果ての軍勢』、兵力6000人。
世にこれを〈五帝決戦〉と誰かが呼んだ。
誰が勝って、誰が負けても。
三代目エレメンタルマスターはこの一戦で決まる……!!!!




