第602話「一番大事な時期だから国連に行くんだよ」
Q&A
お題「現実と仮想について」
1Q、仮想世界で行われていたことが、そうと知らずに現実世界で侵食されていたことが後から発覚した場合、その責任の所在は仮想・現実どちらになりますか?
A、現実世界の責任となります。この場合、認知・知らなかったというところが肝で。仮想世界で知っていたのに現実世界に影響を与える場合と明確に異なります。例えば、ギルド『放課後クラブ』を作って、それが現実世界に影響するとわかっていればそういう名前にする可能性は低かったこともあり。仮想世界で遊んでいたプレイヤーに責任があるとは言えません。したがって、良かれと思ってやった行為でも、現実側の責任となります。また、利益も現実側となります。
2Q、この〈神のゲーム〉で、もし現実世界の方で死者が出た場合、魔法・魔術・霊術などの実際の人間を創作キャラとして登場させるのは、アリですか? なしですか?
A、道徳的にナシです。ただし、英霊と呼ばれるサーバントや、基本的に50年前、100年前の偉人などを創作内で登場&美女化や擬人化はアリと言う風潮になっていますが、特に直近の死者で遊ぶのは道徳的倫理観に反しているのでナシです。どうしても出したいなら、ワンエピソードやモブキャラや、主軸にするのはよしましょう。
3Q、仮想世界や遊戯を、宗教・特に選挙に利用された場合どうすればいいのでしょうか? 泣き寝入りしかないのですか?
A、仮にギルド『神聖12星座』の被害者が現実世界で実際に行われ、主催者が知らなかった場合。それは普通に詐欺なので、相談所や警察や法律に則って天罰を下しましょう。もし、仮想世界の場合はこちらの領分なので、司祭や司長である星明幸=ミュウ=天上院姫が厳重注意します。「やりすぎだ!」……と。
4Q、もし仮想世界のAIが軍事利用されて戦争の道具として利用されている場合、被害にあったプレイヤーはどうしたら良いのでしょうか? ただし、実際に被害者も出ているものとする。
A、暫定処置ですが、運営に連絡。その軍事利用をしたプレイヤーのアカウントははレッドプレイヤーとなり、ペナルティとして防御力が強制的に0になります。被害状況によりますが、最長1週間は〈防御力0〉のペナルティを負わせる事はできます。
5Q、運営陣は確率論や運命論、因果律も操作で来ますが。現実世界でそれが行われたときの対策はしているのでしょうか?
A、想定の範囲外でした。今後はそれらを想定して対処していこうと思います、大変失礼しました。
6Q、具体的にはどのように現実社会と対応するのでしょうか?
A、こちらが主導権を握っているのであれば、1日目で起こった事件は2日目で解決するなど。1日で完結させない努力が必要になってくると思います。事件によって異なりますが、報告・連絡・相談は政府と密に連携を取りたいと思います。
7Q、政府と関係を持つというニュアンスでよろしいのでしょうか?
A、不足の自体時のみ、政府と連携を取ろうと思います。1会社では荷が重すぎるので、皆で分散して責任を取る連帯責任となります。
8Q、この現実と仮想のイタチごっこはいつまで続くのですが? いい加減飽き飽きです。
A、ゲームのやり過ぎです。ログアウトして、ゲーム機の電源を切って、寝るか、散歩をして気分転換しましょう。
◇
現実世界。
――その言葉に、妹咲は仰天した。
「え、お姉ちゃん今何て?」
「ちょっと国連に行ってくるって言ったんじゃよ、場所ドコ?」
「え、はぁ!? ナンデ!?」
目を背けたくなるほどの現実に、現人神は真っ向から全世界に挑む。
「何でって、こんな〈戯言や世迷い言〉がトリガーになって戦争にでもなってみろ、それこそ末代まで笑いものじゃ。四重奏、神聖12星座、放課後クラブ、非理法権天、最果ての軍勢は、桃花の父親が葬儀だいたい全部が終わるまで、現実世界の国連の領土で会談をする。これは決定だ!」
「え、マジ? 私国連に行くの?」
「当然、放課後クラブのリーダーなんだからな、イベントの成功条件はただ1つ、〈何もアクシデントを起こさない〉この一点だけだ! 絶対に争いのトリガーにはしない、粛々と、つつがなく桃花の父親の葬式を終わらせる。その一点だけだ、手が止まらない以上、現実世界で会話して、もたせるしか無い」
「……、で、場所も厳重に国連にすると……何もそこまで」
「本当にそう思うか? 桃花のお婆ちゃんの時とは違う、今は、知っているし、感情的な小説だし、その力を理解しているんだ。石橋を叩いて渡るぞい」
「……まぁ、お姉ちゃんがそういうんなら。国連の敷地内で寝泊まりするのはやぶさかではないけど……」
「で、場所はドコじゃ?」
国連の本部はニューヨークだ……。
「じゃあ行くぞ、当分ニューヨークだ。何があっても争いをするんじゃないぞ」
「圧が凄いけど……まじか……」
こういう時は、やっぱり神頼み何だなと思う妹だった。
そして、天上院咲と天上院姫は、今回のメイン舞台である〈ニューヨーク〉へ出発したのだった。
日本時間、西暦2037年8月25日の昼間の出来事だった。




