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少女は異世界ゲームで名を揚げる。~ギルド『放課後クラブ』はエンジョイプレイを満喫するようです~  作者: ゆめみじ18
EX第2章「EWO4さんぽ」西暦2037年8月20日

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第599話「桃花の父親・死亡」※ターニングポイント11

 西暦2024年XX月XX日。

 日本国、北九京都(きたきゅうきょうと)

 始まりのお寺の前。

 

 この日、湘南桃花の父親が文字通り瀕死状態だった――。

 

「……」

 ギルド『非理法権天』の副リーダーでもなく、吸血鬼大戦の覇者でも無く。

 そこにはただの湘南桃花が立っていた。

 

 そこへ、

 自由の悪神、天上院姫と。

 家族の善神、天上院咲が〈お悔やみ〉に来たという感じだ……。

 大丈夫、大丈夫だと思っていたが、全然大丈夫じゃなかった。

 

 桃花から出た言葉は一言。

「だれ?」


「始めまして、2037年あたりで先生の生徒をしている咲と申します」

「同じく生徒。13年後の未来から来た感じ、……驚かないんじゃな」


 枯木のように落ち込んだ風体の桃花の涙は、もう枯れていた、泣いて泣いて悔やんで、泣き止んだ赤ちゃんのようだった。

「まあ、この2024年代の私も場数踏んで来たし、不思議には驚きはしない」


 もうすぐ、桃花の父親が亡くなる。……そんな時期……。

「まあ、死んだ後に作品残すより。死ぬ前にその心情を作品に残したほうが良いかな~って。一種のエンディングノートだよ、私的には」

 生があれば死がある、それは逃れられない運命。桃花の父親は、何だかんだで桃花の好きなように遊ばせてくれた。鬼のような時もあったが、それももはや良い思い出……。

 壊れない物はない、何もかも変化する。

「まあ結局、私はこういう生き物だってことだよね……」

 桃花は、誰に対しても、何処までも遥か遠くに聞こえるように、小さく呟く。


「――父さん、もし私が子供を授かったら、その時は〈(よん)〉の数字を入れる事を、ここに誓うよ……」


 咲にも解る、姫にも解る。その数字の意味……。

 桃花は、誰に対しても強く、言う。

「世界は複雑だ。今まで受け継いできた意思、想い、未来への系譜。この(ひろ)い世界は、簡単なゲームとは言わずとも。この必ず世界は解けるんだよって、未来に残したい」

 

 それは、一から始まり、二で広がり、三で発展し、四で奏でる物語。

「確約は出来ないけど、今私が我が子に名前をガチで付けるなら……【四空(よぞら)】、かな……! 変わるかもだけど……!」


 桃花は空に向かってほくそ笑み、空は桃花へ向かってほくそ笑んだ。

 全ての人々が望んで待ち望んだ主人公達、ギルド『四重奏(しじゅうそう)』。4人で奏でて初めて1人前の立派なカルテットを奏でられる。そんな演奏。


 信条戦空(しんじょうせんくう)桜愛夜鈴(さくらよすず)日曜双矢(にちようそうや)京学文美(きょうがくあゆみ)、彼等四人がきっと未来の子供、四空を導いてくれる。そんな誓い。

「ま、もしかしたら養子とかそんなんかもしれないけどさ!」

 とか軽々しくいいつつ。

「血縁を断てど、この意思は受け継がれる……」

 そこには固い決意が紐付いていた。

 

 この世界は必ず解ける。

 未来永劫解けない難問ではないという細やかな道標だ。

 

「だから、安心して……行ってらっしゃい」

 そよ風に吹かれて、風はどこまでも世界を廻りて、巡りて往く。

 この日、確かに世界は悲しみで包まれたが。

 桃花の父親は確かに、微笑みを浮かべて逝った。



 この日、湘南桃花の父親は亡くなった――。

 

 

「さようならお父さん……、こんにちわ四空(よぞら)……」

 自由の悪神と家族の善神は、深く深くお辞儀をし、力の限り祈りを捧げながら。


 次への冒険へ出かけるのだった。

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