第61話「リスクVSスズ2」
先手は一切の迷い無く鍛錬を続けたリスクだった。
銀河が瞬くうちに爆発するような超新星の拳を、スズの無限の黄泉へ誘う木刀が一閃する。ギアとギアが噛み合ったように合致し、ゆっくりと力強く音を立てて動き出すのが観客にもわかった。
一点の不純物もない演舞が始まった、拳と刀が弾かれる。
途端に連続攻撃の乱舞は流星と流星が衝突し、弾き合い。
上段の刀からはライオンキングの肉を噛み切るような牙突、下段からはスカイツリーが倒れるような上段蹴り。
大合唱の反響音をもろともしない、新幹線がロードローラーの刀に激突した。スズはそれをいなし逆つの字に螺旋回転。電光石火の美味しさと共にリスクの口に、殺気満々の牙突を食らわせようとするが。リスクが中段前蹴りを氷山雄々しくブラックホールが飲み込む流れるようなネジれ切った回転蹴りだった。
スズはそれを真理を鍛えた鋼の腹筋で押しとどめ、バウンドとまではいかないが耐えきる。眼光が完全に戦闘モードに入りゾーンに没入する。
リスクが真空中、ひと呼吸出来るほどの距離へバックステップしたあと。地震による岩盤がズレる重い衝撃波を。スズは瞬歩、落雷を避けるスピードでリスクの顔面を数字がインフレして機械的に破裂するエンドレスナインの攻撃力を持って打撃する。が、リスクは怯まない。天元を突破するほどの上体でスズを体ごと押し戻し、腹へ向かってカオスが世の果てを知り絶命するまで突っ張りを入れ後ろへ大きく飛ばす。
リスクの内閣総理大臣を失神させるほどの眼光、威圧を放つが。スズには効かない、逆に合衆国大統領の正確無比な眼光によってリスクは喜びを覚えて。再び小気味よい挨拶代わりの連打を互いにお見舞いして、意識を共有確認する。
その全てを観客は観ていて唖然としていた中、天上院咲は呟く。
「自重しねえなこいつら」
スズが悪の秘密結社を1000人出撃させるほどの一閃をしたと思ったら。リスクが正義のヒーローを1万人ほど出撃させるほどの正拳で答える。スズが陸軍を10万人ほど出撃させるほどの下段一閃をしたと思ったら。リスクが空軍100万人ほど出撃させるほどの上段蹴りでコレに答える。
この繰り返し。
永久に続くリスクの桁外れの連続突きを、常識破りなスズの天地に足ついた重厚な巨大ロボットのごとく確かに踏みとどまる。
リスクの昇竜拳がロケット弾のごとく発射された、スズはコレを甘んじて受けて空中、重力の力も利用して。メテオスオームな下段かかと落としを天空を割りリスクに食らわせる。
音を追い越し、光を追い越し、神を追い越し、ルールを追い越したリスクの政権突きをスズは食らい空中回転する、自由落下して決着がつくかと思われたが。スズが。「まだまだまだ!」と王政法に乗っ取って足をドン! とつく。
Ω字にスズが剣線を描き、リスクの右膝にちょっと文法が崩壊するほどの打撃を与えるのに成功した。リスクが吠える。
「まだまだまだ!」
二人の実力の底が見えなかった。