第587話「神のゲームで遊ぶ」
朝、朝食前。
「天上院咲はゲームと言う言葉に興味津々で覗く」
「ねぇ、それゲームなんでしょ? どうやって遊ぶの?」
「言い手と返し手と教訓によて、盤上を貫く法の楔さ。できん事もないが……やってみるか? ただし、ここにはゲームマスター居ないので、不在となるが……」
「いいよ、やってみる」
「では言ってみようまずはイージーモードだ。最も簡単・単純な切り口で行くぞ……。言い手【天上院咲は主人公ではない!】」
それは、明らかに間違いな矛盾。
「こうかしら? 返し手【盤上の私は主人公であるのに何の疑いもない】こんな感じ……?」
「どうかな……? 言い手【神のゲームの教訓によると、作者・キャラ・GMという文言は出てくるが主人公は誰かという文言は記載されていない。これは数多の作品群を貫く楔だからじゃ! よって! 天上院咲は本作品の主人公が確定であったとしても。天上院咲は主人公であるという論調にはならない!! よって否定も肯定もできない!!】」
な、と咲は驚いてしまう。自分は今まで主人公であるつもりであったけれども、それは全く保証されていないという言動だったからだ。
「え、お姉ちゃんそれマジで言ってる?」
「マジでは言ってない、ちゃんとわしは咲が主人公だと思ってゲーム進行してるぞ? しかし、教訓はあくまで迷った時の指針。そこをどう使うかは、言い手・返し手にかかている」
咲は再び悩み……その議題に挑む。
「返し手【教訓54、GMはミュウ=星明幸=天上院姫の3名である。これが無いって認識でいいのよね?】」
姫が憂いながら返す。
「言い手【あぁ、その認識で合ってる。GMが不在な以上、教訓27、湘南桃花は歴史教師であることをGM権限で保証する。もない! つまり今は代行体でも何でもない、ただし、教訓38のレジェンドマンは除く、GM権限では無いからな】」
「じゃあいっくぞ~! 複合技! 返し手!【教訓25! キーボードで10万文字以上書き、公開したら。真実と対等な理想有り! 私の物語は120万文字を超えている! よってそれ相応の理想有りと認識出来る! そして、教訓45! 電子の付加価値は一文節につき一権利あり! これにより、私や私に連なる全ての人々の権利は保証されている! そして最後! 教訓21! 簡単だと「証の力」は卑小になり、困難だと「証の力」偉大になる! 私達は最も困難な状況を乗り越えた! よって卑小ではなく偉大だと言える!!!!】」
「そうだな、言い手【確かに。咲の物語は、〈理想と権利と偉大さ〉は保証されているかもしれない。だからといって、イコール咲が主人公だ、という論調にはならない。おっと、セルフイメージのバックアップは辞めておいたほうがいいぞ? 今の今まで、証の力が貧弱だったから、咲が主人公な証より、日曜双矢や信条戦空が主人公なカケラしか総合的に手に入らないと思うしな。あってヒロイン止まりだ】」
咲はいい感じの返し手をしたと思ったら、言い手でがんじがらめにされてしまった……。これでは咲自身が主人公であると証明できない。
そう、教訓上は……!
「ま、教訓は追記しておくからまた今度遊んでやるよ」
「まだだ!」
「ん?」
「返し手!【教訓05! ルールは他者ではなく自分達で決める! 教訓19! ルールは破る為にある。守破離の精神忘れずに! そう、ルール上はそうなんだ、でも! 教訓20! 〈神〉の定義とは、全次元をコントロール可能な存在であること! 他の者に無理でも、家族の善神である私には、私が私自身を主人公だとコントロールすることは可能だと言う論調も展開できるわ!!】これはいい感じなんじゃない??」
「ほほう、それは見事だな……。と、この辺にしておこう。私の負けでいいよ、どうせ咲が主人公なんだからな。元々場外乱闘用だし……」
「やった! ふへー、こんなに言葉を尽くさないと自分が主人公だという証明も難しいのか……」
「ま、真実なんてそんなもんさ。メシにありつければ大当たりだよ」
そう言って、朝ご飯を食べに階段を降りた。




