第583話「花枯れ萌える~ストップ・クライ~」★
教会第2階層。
《真昼ノ剣の記憶解放術が発動しました!》
《〈カーディナルの絶対障壁〉5個が破壊されました!》
《5個の記憶開放なされました! 真昼ノ剣が上限解放されました、武器レベル3から武器レベル4へ上方修正します!》
《カーディナルの絶対障壁が残り0枚になりました! 封絶は解かれました!》
《ゲームクリア! 条件により、オーバーリミッツは倒されました》
「ふう、やっとか」
「……ありがとうございますリミッツさん! 怖かったです、でも私……何か掴めた気がします!」
リミッツは咲に対して激励を飛ばす。
「うん、行ってきなさい。次に待ってるのは、覚醒した桃花先生だ」
「……! はい!」
ということで、オーバーリミッツとはバトルに成らずに。そこを通り過ぎた。
《教会第3階層へ移動します》
◇
本当の強者は、世界の運命は握らない、そんな力は持たないよ!
確かに彼女は、あの時に何も持たずに身1つで守った。
頭の中で、少年の言葉が木霊する……。
「この手の、力か……」
デスノート! 確定だ……! とか言いたい所だが、これは死のノートなんかじゃないし。
ましてやノートじゃなくてペンの方だ。
空と白なら空の方……。
それを握るはこの力。
湘南桃花が無意識の内に襲われた。この手の力は何を持ち、使ったかで変わるらしい。
ことが、確定した。
「この手の名前、なんて言おう……」
「有何無鏡じゃダメなん?」
オーバーリミッツが助言をするが、アレは世界の名前で固定されてるしちょっと違う。
かと言って、幻想殺しや、理想送りともちょと違う。
あれは素手で何かをする芸術なわけで……。
「ん~フェイトっぽい長ったりしい名前でも良いから何か無いかな~」
そう、この力とは世界に震度5弱程度の影響力を意図的に引き起こす何かだ。無意識にやってたみたいだが、今回ので確定した。
子でも小でも全でも大でも。
この力は、手に何かを持って・もしくは使ったことで発現する。
模写の上位互換。
アナログペンもデジタルペンも、手で持った時に発現するこの何か。
……やっぱり名前が欲しい……。
「何かを手で持った力を変換して、世界規模で加算・拡散を加える力か……」
内容は解るのだが、それが能力なのかも怪しい、権能? いや、これは技術だ。
コントロール出来たという意味では、神のゲームの多次元をコントロール出来た事にも繋がる。
そしてソレは、力が偏るとこの世に歪みが生じる、バランスが大切だ。
……、その事象の効果ばかりが出てきて、肝心の名前が出てこない。
「何」と「持」は確定だが、ただの人間が神になるつもりもないし。解ることと言えば「技術」なのだが……。
〈我、何持ち故に右手有り〉
【概念領域/技術/何か手に持ってる】
概念領域、手で触った物を概念系の緑色の歯車を作り出し、社会の歯車としてギアとギアを複数個廻す【概念技術】。湘南桃花自身は、それをもうコントロールでき。あらゆる事象を書き回して残す。
この概念技術者は、複数人居るが具体的な名は差し控える。
「……まあ、厨二病っぽく名付けたのは良いけどさ。略すとき何て呼べば良い?」
「……、……ん~〈例の手〉????」
◇
教会3階層、そこには治療を終えて完全回復した湘南桃花先生が立っていた。
「先生……元気になったんですか!?」
「ん、あーまーたぶん。ほとんどブロードの記憶だったけどね」
「ブロード? 誰のことですか?」
「んーなんて言えば良いのかな? 愚か者の記憶さ。とはいえ、咲ちゃんとは剣で戦いたいけど、あたし素手なのよね~。待ってて武器を生成するから」
「はあ……」
姫が用心するように言う。
「気をつけろ咲、あいつの怪物性は本物じゃ」
言ってから、桃花先生の怪物性が目を覚ます。
「システムコール、夜空の剣と青薔薇の剣を生成……変換!」
《素材を元に武器生成を開始……、名前を付けてください》
「ふーむ、そうねえ~~。あんまり強そうな名前を付けても、体が追いつかないだろうし……。運命の剣と人間の剣でいいよ」
右手に人間の剣、色は緑色。
左手に運命の剣、色は青色。
を構え方は適当だ……。だが姫は、緊張感を緩めない。
「両手剣……」
姫の額から汗が流れ落ちる。
「まあタイミング的に日曜双矢くんじゃないのは悪いけどさ、咲ちゃんの物語を優先しないとね!」
言って、桃花の髪と瞳の色が変化した。
髪は黒色、瞳は赤色。全身は黒スーツに姿で、ネクタイは白色ベースの黒色の斑点模様……。
「さて、お二人が望んでたいよいよバトルだ! きばっていこー!」
瞬間、桃花の固有能力なのか、辺り一面が夜空と輝く星が、満天に広がった。




