番外編53「四宝剣」
ある日、森の中、ガチ熊さんに出会った――。
ギルド『放課後クラブ』は熊さんと戦った、そりゃあもう激闘だった。
サブイベントにしては強すぎたモンスターは、何だかんだで~中略~で撃破できた……。
強かった、めっちゃ強い熊さんだった。
出会う方法もポ○モンのガチグマ、赫月レベルには強かった。
で、そのイベントモンスターが落としたのが、『四宝剣』だった。
〈四宝剣〉
【古の国宝/攻撃力0/象徴武具】
この武器の攻撃力0だが、耐久値9999と振り切れている。
そして目立ったスキルもない。与えられているのは『権能』という独自のルールに則った、簡単に言うとこの異世界では国宝級の権力が手に入る、象徴武具だ。
最大のデメリットは〈戦う〉のコマンドが押せなくなる、つまりこの武器を装備していると戦闘が出来なくなるという事だった。
しかもおまけとばかりに〈走る〉コマンドも無くなっている、ずっと歩きっぱなしだ……。
んで四宝剣の武器の名前は……。
〈四宝剣『東三剣』〉。権能効果、1ギルドにつき1名装備可能。政法・警護・裁決の祭事を行う〈最高長〉を任命できる。
〈四宝剣『西九剣』〉。権能効果、1ギルドにつき1名装備可能。政法・警護・裁決の祭事を行う〈最高長〉を任命できる。
〈四宝剣『南六剣』〉。権能効果、1ギルドにつき1名装備可能。政法・警護・裁決の祭事を行う〈最高長〉を任命できる。
〈四宝剣『北零剣』〉。権能効果、1ギルドにつき1名装備可能。政法・警護・裁決の祭事を行う〈最高長〉を任命できる。
という、バトルでは使えないが。持っているととんでもない権力を持ってしまうというぶっ壊れの性能武器だ。
咲は困り顔で両手剣を観ながら言う。
「ほえー、どうするお姉ちゃん? 私、真昼ノ剣と真夜ノ剣で文字通り両手が手一杯だよ……」
姫はふむふむと、咲の方を観てから。東三剣を手にする。
「じゃあわしがこの剣を貰っておこう、今の武器に思い入れも無いしな」
《天上院姫は、四宝剣『東三剣』を手に入れた!》
「1ギルドのみ装備可能ってことは、残りの3つの剣はどのギルドにあげるの?」
「そうしなきゃ、面白くないからな。まぁ、あげるギルドは決まっている。四重奏・非理法権天・最果ての軍勢、これらがどう考えたって色々と飛び抜けていて、適任だ。こんな権力、おいそれと悪い奴に渡って良い代物じゃない」
そう言って、ウインドウを開き……。
「問題は、誰が装備するか、何だけどな。それは向こうに任せよう」
で、残りの3つの剣をアイテム転送し終わって……、しばらく時間が経ち、それぞれのギルドは考えた挙げ句。
どうやら決まったらしい……。
《四宝剣の所有者が決まりました!》
東三剣◇ギルド『放課後クラブ』所持者、天上院姫。
西九剣◇ギルド『最果ての軍勢』所持者、真城和季。
南六剣◇ギルド『非理法権天』所持者、湘南桃花。
北零剣◇ギルド『四重奏』所持者、京学文美。
「ふむ、これで治まってくれれば良いんじゃがのう~」
「治まるって何が?」
「何かじゃよ、たぶん……」
姫は咲にそう言って、東三剣を右手に持ちながら、この話は終わった。




